2021年12月17日

ブナの葉染めを体験してきました

 先日町内でブナの葉染めのイベントがありましたので体験してきました。
 講師は「ぶないろくらぶ」のみなさん。
 ブナの落葉等を染料に使い、絞り染めの手ぬぐいやきんちゃく袋などを作製されており、その作品は「「自然首都・只見」伝承産品」として認証・販売されています。
 今回のイベントではブナ林から拾ったブナの葉で、大きなハンカチを染めました。

 最初に、只見町の草木染の歴史と、自然と共生してきた只見町がユネスコエコパークに登録された経緯をお話しいただきました。
 只見町でもかつては各家々で養蚕を行っており、糸紡から織物、草木染めに至るまで全て自分たちで行っていたそうです。

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▲昭和初期に草木染で染められた絹の帯揚げ
 正絹(絹100%)は当時の人にとって特別なものだったそうです

この日使ったのはブナの落葉。拾ってきた葉からごみを取り除き、細かく切って染料を作ります。今年はブナの実が凶作で葉に養分が多かったせいかとても濃くて良い色がでたそうです。

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▲ブナの落葉

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▲ブナの落葉を煮出した染液

染液を煮出している間に、石やゴム、箸などを使ってハンカチに模様を絞っていきます。

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▲出来上がりを想像しながら折ったり絞ったり・・・

思い思いの模様を絞ったら、染液へ入れて2回の染め作業を行います。
(媒染はミョウバン液で行いました)

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2回目の染めの作業を行い、よく水洗いしたら完成です。

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絞りを外してびっくり!浮かび上がる様々な模様に皆さん感動されていました。

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僕たちもできました!

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会場には様々なブナ染めの作品が展示されており、どれも素敵でした。

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 「自分で使うものは自分で作る」昔は当たり前でしたが、今となっては貴重なことなのではないでしょうか。
 自然と共に暮らしてきた只見町の暮らしの一部を体験することができました。
posted by ブナ at 10:10| Comment(2) | イベント

2021年12月08日

企画展解説シリーズNo.16「只見の猛禽類」販売開始のお知らせ


 ただ今開催中の企画展「只見の猛禽類」のパネル内容をより詳しく紹介した『企画展解説シリーズNo.16 只見の猛禽類』を刊行いたしました。

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 企画展では、豊富な生態写真を交えた解説に加え、イヌワシやクマタカの剥製、トビやサシバの羽標本、餌となる動物の剥製など、現物資料も併せて展示しているほか、記録動画の放映も行っております。
 さらに本書もご覧いただくことで、只見町のワシタカ相の特徴や成因、各種の生態、そして環境と猛禽類との関わりについてより深く知ることができます。

 ★1冊税込500円です。
 お買い求めは、ただみ・ブナと川のミュージアムやふるさと館田子倉のほか、郵送での販売も受け付けております。
posted by ブナ at 13:03| Comment(8) | イベント

2021年11月28日

企画展「只見の猛禽類」開催のお知らせ

只見町ブナセンターでは12月4日(土)より、
企画展「只見の猛禽類」を開催します。

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【内容】猛禽類(もうきんるい)とは鋭い嘴(くちばし)や爪をもつ肉食性の鳥類であり、本企画展ではタカ目とハヤブサ目、いわゆる「ワシタカ類」に焦点を当てます。只見町では、2021年現在14種のワシタカ類が記録されており、中でもクマタカを始めとする山地森林性の種が多くを占めているのが特徴です。猛禽類は生態系の上位捕食者に位置付けられ、豊富な餌や広い環境などを必要とするため、生態系の健全さの指標とも言われる存在です。
 本企画展では、豊富な生態写真を交えつつ、只見町のワシタカ相の特徴と餌生物・生息環境との関係性や、サシバなど代表的な種の生態を紹介するほか、人の利用により変遷してきた自然環境が猛禽類に与える影響など、様々な観点から只見町の猛禽類にアプローチしていきます。大型猛禽類であるイヌワシ、クマタカの剥製標本は必見です。ご来場のみなさまに、猛禽類の面白さと、猛禽類の視点から見る只見町の自然の魅力をお伝えします!

▼会期:2021年12月4日(土)〜 2022年4月4日(月)
▼会場:ただみ・ブナと川のミュージアム
    2階ギャラリー
▼入館料:高校生以上310円/小・中学生210円
     ※20名以上の場合は団体割引があります。
     ※只見町内在住の小・中・高校生は入館無料です。
▼お問い合わせは只見町ブナセンターまで:
 電話 0241-72-8355 午前9時〜午後5時(火曜休館)

posted by ブナ at 13:56| Comment(5) | 企画展

2021年11月03日

自然観察会「恵みの森で紅葉のブナを見よう」開催報告

 2021年10月24日(日)、布沢地区にある恵みの森で秋の自然観察会を開催しました。前日のブナセンター講座「ブナを利用する昆虫たち」で講演していただいた、三田村敏正氏にも同行していただきました。
 観察会前日まで雨が降ったり止んだりの不安定な天気が続いていましたが、当日は一転して晴れ間が見える観察会日和となりました。参加者は17名で、大滝沢沿いのブナ林を歩きながら、生きものを探しました。ブナ林の紅葉の進み具合は昨年よりも少し遅いようで、見頃はあと数日から一週間後といったところでしたが、色づき始めたブナ林を堪能することができました。

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▲色づき始めた恵みの森のブナ林

 大滝沢沿いの散策路の途中には、渡渉地点がいくつかあり、そこでは山地の渓流に生息するシマアメンボが見られました。アメンボの仲間は、池沼や小さな水たまりなど止水域に生息する種がほとんどですが、このシマアメンボは山間部の流水域、中でも比較的緩やかな場所に集まります。体長5mmほどと小型ですが、楕円形の体と独特の縞模様から他種と一見して区別できます。

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▲楕円形の体と縞模様が特徴的なシマアメンボ

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▲シマアメンボの解説をする三田村氏

 散策路沿いに生えているチマキザサには、昆虫が食べることでできた様々な形の穴が見られました。葉を裏返していくと、ササの葉を食べて育つヒメクロバという蛾の幼虫を複数確認することができました。幼虫の近くには白い繭も見られ、それがヒメクロバに寄生したコマユバチ類のものであることを三田村氏が解説しました。

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▲チマキザサの葉裏にいたヒメクロバの幼虫とコマユバチ類の繭について解説する三田村氏

 ブナ林内の湿ったところにはヒロロと呼ばれるカンスゲ類の仲間が生育しています。そのような場所では、前日の講座で三田村氏が紹介した体長4mmほどのヤスマツケシタマムシを探しました。ヒロロの葉につけられた細長い白線が、本種がいる証拠です。成虫は秋口に現れ、ヒロロの葉の表面をかじります。食べた痕は塵状になって残りますが、時間が経つと乾燥して白く変色します。探し始めてすぐに三田村氏がヤスマツケシタマムシの成虫を発見し、参加者も食痕をたよりに見つけることができました。

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▲ヒロロの葉で見られたヤスマツケシタマムシの食痕

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▲ヤスマツケシタマムシが食べた痕は、塵状となって残る

 上記の生きもののほか、オオナミザトウムシという人の手のひらほどもある大きなザトウムシや、ボーベリア菌に感染したシロチャチホコ(鱗翅目)という蛾の幼虫、樹木では沢沿いに生えるムラサキシキブやサワフタギ、ケアブラチャンなど広葉樹の実が観察され、秋の恵みの森のブナ林を楽しむことができました。

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▲オオナミザトウムシの雌雄。体の大きいほうが雌(左)、小さいほうが雄(右)。

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▲沢を渡る参加者

 前日までの雨で増水の心配もありましたが、渡渉が難しい場所もなく無事に観察会を終えることができました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

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posted by ブナ at 14:21| Comment(5) | 自然観察会

2021年10月29日

只見町ブナセンター講座「ブナを利用する昆虫たち」

 2021年10月23日(土)、只見振興センター1階ホールにて、ブナセンター講座「ブナを利用する昆虫たち」を開催しました。本講座では、福島県内の昆虫相に詳しく、蛾類(特にヤママユガ科)の生態や水生昆虫類を専門とされる、三田村敏正氏(福島県農業総合センター浜地域研究所・専門研究員、只見ユネスコエコパーク支援委員会委員)を講師にお招きし、ブナ林に特徴的な昆虫や只見で記録のある冬虫夏草、最近国内で確認された外来昆虫のことまで幅広くお話いただきました。

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▲講座の様子

 はじめに、三田村氏はブナ科植物や針葉樹各種を食べる鱗翅目(チョウ目)の種数を比較し、ブナを利用する昆虫が他の樹種に比べて比較的少ないことを説明しました。そのため、ブナ林における昆虫相はしばしば単純化するとされます。一方で、ブナ林にはブナのみを食べる種やブナ林を主な生息環境とする種も存在し、三田村氏はその中から代表的な種を取り上げ、それらの生態について解説しました。只見町のブナ林において特徴的な種としては、カンスゲ類の葉を食べるヤスマツケシタマムシが挙げられます。奥会津地域では、カンスゲ類(ミヤマカンスゲやオクノカンスゲ)をヒロロと呼び、干した葉を縒って細長い縄にした後、カゴやミノなどの編み組み細工に使用します。ヤスマツケシタマムシは体長3〜4mmと小さいですが、ヒロロの葉を直線状に食べた痕が白い線として残るため、それが本種を探す手がかりになります。

 次に、三田村氏は冬虫夏草という昆虫やクモから生えるキノコについて紹介しました。成熟したブナ林の中は暗く、地表部の湿度も高いため、冬虫夏草が生える環境として好適とされます。ブナ林が豊富にある只見町では冬虫夏草が多く、これまで30種近く記録されています。昆虫に寄生する冬虫夏草では、ハエ、カメムシおよび甲虫の幼虫、ハチ、トンボなどと幅広い分類群を宿主としており、色や形も様々です。中には新種と思われるものもあり、今後も詳しく調査すれば、さらに種数が増えると思われます。こうした冬虫夏草の豊富さは、宿主となる昆虫やクモ類の多様性の高さを反映していると言えます。

 近年国内で確認された外来種の昆虫については、それらの生態や侵入・拡散の事例とあわせて解説していただきました。今年になって、福島県中通りで発見された外来カミキリムシ2種(ツヤハダゴマダラカミキリとサビイロクワカミキリ、以下カミキリ省略)が、メディアに取り上げられたことは記憶に新しいと思います。いずれも街路樹を食害し、ツヤハダゴマダラは主にトチノキ、サビイロクワはエンジュおよびイヌエンジュを食べることが分かりました。ツヤハダゴマダラは、在来のゴマダラカミキリと見た目がよく似ており、普通種であるゴマダラに見間違えられてきた可能性もあることで、発見が遅れたのかもしれません。これら2種の識別点は、ツヤハダゴマダラは、1)胸部の白い斑紋を欠くこと、2)上翅の前縁部がなめらかであることです。

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▲外来種ツヤハダゴマダラカミキリと在来種ゴマダラカミキリの違いを説明する三田村氏

 ツヤハダゴマダラとサビイロクワは、幼虫・成虫ともに樹木を食べるため、海外から輸入された何らかの樹木(木製のもの)に紛れこんでいたと思われますが、侵入ルートは定かではありません。植物防疫が万全に敷かれた状況であっても、外来種は思いもよらない抜け穴から侵入してきます。そのため、専門家の目をかいくぐって、知らぬ間に在来の生態系に定着しているのです。早期に発見・対策を講じるためには、その土地に住む方々の協力が重要であると、三田村氏は指摘します。常日頃から見ている自然の中で、見慣れない生きものを発見した際は、すぐに博物館施設や詳しい専門家に連絡することが、その後の迅速な対応につながります。

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▲昆虫標本を鑑賞する参加者と解説する三田村氏

 質疑応答の後、参加者は三田村氏が作成された標本を鑑賞しながら、昆虫トークに花を咲かせました。
 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

 本講座の録画動画は、近日、ブナセンターYouTube公式チャンネル(URL:https://www.youtube.com/channel/UCRfrLUp9Vx3CSs7yatZp-lg?view_as=subscriber)にて公開予定です。
 動画を公開しましたら、改めてお知らせいたしますので、今しばらくお待ちください。
posted by ブナ at 16:58| Comment(0) | ブナセンター講座