2022年12月23日

12月17日(土)講座「自然を活かした里山の知を地域博物館で『見える化』する」・観察会「冬のブナ林観察会」開催報告

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午前中は、十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」(通称キョロロ)の学芸員・小林誠氏を講師にお招きしての講座「自然を活かした里山の知を地域博物館で『見える化』する」を開催しました。会場の只見振興センターには、渡部勇夫町長をはじめ16名が聴講に来られました。

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▲講師:小林誠氏

講演では、十日町市と只見町が共通する「豪雪地ならではの自然と生物多様性、それらがもたらす文化の多様性」について解説して頂き、続いて「里山の知を地域博物館で『見える化』する」ためのキョロロの諸活動の紹介、そして最後は「見える化」の成果として表れてきた地域の変化などが、豊富な具体例とともに話されました。「伝統知」の話題では、用途のわからない民具は「伝統知が失われた可能性が高い」と指摘され、文化が継承されない場合の危機を改めて感じさせられました。ブナセンターと同規模の博物館で活躍されている小林さんの優れた取り組みの数々から、多くを学ばせて頂いた2時間でした。

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午後の「冬のブナ林観察会」では「季の郷湯ら里」近辺の林を観察地としました。講座に出席された方々など12名の参加がありました。12月中旬としては珍しく好天で、積雪深も30 cm程度と少なく、長靴だけでも問題のない条件でした。
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湯ら里の入口から、まだ踏み跡のないまっさらな雪上をスノーシューやかんじきで銘々が自由に歩き始めました。
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林縁から先は一列で進み、集落裏手の山裾に広がるスギ林に入りました。大きなスギ林では、冠雪害によって先端部が折れた木が目に入ります。小さな水の流れにはミソサザイ、立枯れたコナラには餌を探すコゲラの姿もありました。スギ林を抜けると急斜面の先にお目当てのブナ林が見えてきました。
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かつて薪炭林として利用されていたブナ二次林の中に、今回の目玉である5本のブナ巨樹が聳え立っていました。これらのブナは、あまりに太かったため伐採を免れ、今日までその姿を保ち続けたのだと考えられます。ここで小休止して、巨樹を囲んで集合写真を撮るなどして楽しみました。
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その後は山裾に下り、スギ林に混交する落葉広葉樹を観察しました。スギとともに大きく育ったオオバボダイジュ、カツラ、ハリギリ、キハダなどについて、ブナセンター職員が解説すると、只見町内の参加者からは「カツラは香ノ木と呼ばれるように香りが良いため仏壇に用いられた」「漢方薬に使われるキハダは虫除けにもなるので着物の染料に用いた」といった地域の伝統知が語られました。
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午前の講演から学んだ伝統知を観察会の参加者が披露する実践の場ともなりました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
posted by ブナ at 13:53| Comment(0) | イベント

2022年12月15日

只見町ブナセンター後援による写真展のお知らせ

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「おかえり只見線〜只見線と奥会津の生きものたち〜」

 猪苗代町にある「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」にて、写真展「おかえり只見線〜只見線と奥会津の生きものたち〜」が開催されます。計 47 点に及ぶ写真のうち、只見線沿線で見られる四季折々の生き物を捉えた 21 点を、只見町ブナセンター指導員が提供しております。詳しくは、カワセミ水族館HPをご覧ください。

【会期】2022/12/17(土) 〜 2023/3/5(日)
【会場】アクアマリンいなわしろカワセミ水族館 1号館
(〒969-3283 福島県耶麻郡猪苗代町大字長田字東中丸3447-4)

▼アクアマリンいなわしろカワセミ水族館 HPへのリンク
https://www.aquamarine.or.jp/kawasemi/
▼写真展紹介ページへのリンク
https://www.aquamarine.or.jp/kawasemi/project/
posted by ブナ at 11:30| Comment(0) | イベント

2022年12月03日

12月の講座・観察会のお知らせ

ただみ・ブナと川のミュージアムで開催中の企画展「自然素材を活かす技 〜木地、編み組、草木染めと伝承産品の魅力〜」に関連する講座が12月17日(土)に「只見振興センター」にて催されます。同日には、深沢地区での自然観察会も予定しております。

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講座「自然を活かした里山の知を地域博物館で『見える化』する」

▼日時:2022年12月17日(土)10:00〜12:00
▼場所:只見振興センター 1階 集会室(只見町只見宮前1390)
▼講師:小林 誠 氏(十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロ学芸員)
▼参加費:無料

観察会「冬のブナ林観察会」

▼日時:2022年12月17日(土)13:30〜15:30
▼集合場所:「季の郷 湯ら里」駐車場(只見町長浜上平50)
▼持ち物:防寒具、ホットドリンク、マスク、スノーシューまたはかんじき
▼参加費:高校生以上400円、小・中学生300円
     町内在住の小・中学生および高校生100円(保険料込み)
▼定員:15名(事前予約制 ※締切は12月16日(金))
▼申込み:只見町ブナセンターまで(電話 0241-72-8355)

ぜひ暖かくしてお越しくださいませ。
posted by ブナ at 10:22| Comment(0) | ブナセンター講座

2022年11月30日

11月26日(土)野鳥観察会(塩沢地区)開催報告

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2022年11月26日(土)、塩沢地区において全3回のうち最終回となる「秋から初冬の野鳥観察会」を開催しました。今回は県内在住者および只見町民を中心に14名の参加がありました。天候は、朝方は濃い霧に覆われて視界不良だったものの、やがて霧も晴れ、しまいには小春日和の青空の下、絶好の観察会日和となりました。

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▲開催地・塩沢地区の景観

開催地の塩沢地区には、滝ダムによって堰き止められた只見川に人工湖である「滝湖」が広がっています。ここでは上流からの土砂の堆積によって浅瀬や中州が形成され、岸辺に植物が生育するため、冬にはこれらの植物を餌とするカモ類が数多く飛来します。つまり、この時季には絶好の探鳥地となるのです。

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滝湖は広い上に歩道のある区間が狭いため、大人数で歩いて回るには不向きです。そこで今回は公用車を2台用意して、眺望の優れた各ポイントを車で移動しながらの行程を組みました。

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▲オオハクチョウの家族

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▲コハクチョウ

冬の滝湖の主役は何と言ってもハクチョウ類です。滝湖には毎年オオハクチョウとコハクチョウの2種が飛来し、冬の間はいつでも観察することができます。一般的に、平野部で越冬するハクチョウは、夜の塒である湖沼や河川と昼の餌場である水田を往復して一日を過ごしています。しかし、山間地域である只見町のハクチョウは一日中水辺を離れないのが特徴です。その理由はよくわかりませんが、平野部と違って、只見町では餌場に適した水田地帯が周辺に存在しないせいかもしれません。

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▲マガモ

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▲オオバン

オオバンはカモの仲間ではなくツルの仲間ですが、これらの水鳥に共通するのは、水草を好んで食べる点です。このようなカモを「水面採餌ガモ」と呼び、餌をとる時にあまり潜らないのが特徴です。

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▲キンクロハジロ(白黒のカモ)とホシハジロ(頭部が褐色のカモ)

これらのカモは餌をとる時に潜水するため「潜水採餌ガモ」と呼ばれます。魚類や甲殻類、貝類などを餌とします。

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▲ホオジロガモ

こちらも潜水採餌ガモの一種です。寒冷地を好み、只見町ではダム湖のほか伊南川などの河川でも観察できます。個体数は少ないため、写真のような雄の成鳥が見られることはやや稀です。

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▲このように様々な水鳥で賑わう水域には、水鳥を狙う天敵も姿を現します。


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▲ハヤブサ

滝湖を見下ろすようにスギの樹頂にとまっていたのは猛禽類のハヤブサです。雄の成鳥と思われます。観察する我々からは距離があったのですが、カラスに警戒されたり、只見線の通過に驚かされたりして、あまり落ち着きのない様子でした。

▼今回の野鳥観察会で確認された種のリスト
(クリックすると別ウィンドウで開きます)
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今回の野鳥観察会では、合計25種の野鳥が確認されました。ハクチョウ類などの水鳥の他にも、ジョウビタキやベニマシコなどといった冬鳥が確認されたほか、ハヤブサの出現といったサプライズもあり参加者の皆様には概ねご満足いただけたようです。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
posted by ブナ at 17:08| Comment(0) | 自然観察会

2022年10月30日

企画展「自然素材を活かす技 〜木地、編み組、草木染めと伝承産品の魅力〜」開催のお知らせ

 只見町ブナセンターでは10月29日(土)より、企画展「自然素材を活かす技 〜木地、編み組、草木染めと伝承産品の魅力〜」を開催中です。

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【内容】只見町に暮らす人々は、豊かな自然環境を守りながら自然を持続可能な形で活用してきました。広大な森林原野からは、煮炊きや暖房のため燃料、生活必需品の製作に必要な自然素材、山菜や野生獣などの食料、さらに住居の建築や農業資材も得ていました。こうした天然資源を活かした暮らしは、只見地域が自然と人間との共生の国際モデル地域であるユネスコエコパークに登録された重要な要因です。そして、私たちの持続可能な発展のために学ぶべき姿であり、お手本です。只見町では、そうした姿を理解いただくために町民の方々が自然素材からつくり出した産品を「自然首都・只見」伝承産品ブランドとして販売しています。
 この企画展では、只見町の天然資源を使った産品のうち植物を使ったものを取り上げ、素材となった多様な植物を解説するとともに、製作の過程と完成した製品を紹介しています。多様な自然素材から紡ぎ出される数々の産品を通して、只見町の自然と人々の暮らしの魅力を知って頂くとともに、ユネスコエコパークの理念でもある「持続可能な自然資源の利活用」に対する理解や意識を深めることを目的としております。

▼会期:2022年10月29日(土)〜2023年3月27日(月)
▼会場:ただみ・ブナと川のミュージアム 2階ギャラリー
▼入館料:高校生以上310円、小・中学生210円
     ※20名以上の場合は団体割引があります。
     ※只見町内在住の小・中・高校生は入館無料です。
▼お問い合わせは只見町ブナセンターまで:
 電話 0241-72-8355 午前9時〜午後5時(火曜休館)
posted by ブナ at 14:51| Comment(0) | 企画展