2023年11月15日

講座「雪国只見のトンボたち」開催報告

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 2023年11月11日(土)、企画展「只見のトンボ」関連講座「雪国只見のトンボたち」をただみ・ブナと川のミュージアム1階セミナー室にて開催しました。町民17名、県内2名、県外4名、計23名の参加がありました。講師は、企画展を担当した指導員・太田祥作(日本トンボ学会会員)が務めました。
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 講座では、企画展で伝えきれなかったトピックスの数々―トンボの基本的な生態や、只見町を特徴付ける種、町内でも優れたトンボの生息数を誇る水辺環境、そしてトンボを守る意義―について2時間たっぷりと、計100枚のスライドとともに説明しました。また、企画展会場において前日まで投票を募った、町内のトンボ67種(企画展オープン時点での種数。11月現在は69種)の人気投票企画「推しのトンボ」の開票結果も発表しました。

 参加者からは活発な質疑があったほか、「面白かった。もっと多くの人に只見のトンボのことを知って欲しい」といった感想を頂戴しました。ご聴講下さった皆様に御礼申し上げます。
posted by ブナ at 15:59| ブナセンター講座

2023年11月14日

11/12 只見こども藝術計画「ブナの森の葉っぱ日記」ワークショップ2回目の開催報告

 10/12(日)、深沢区にあるホテル季の郷湯ら里さんに隣接する余名沢のブナ林にて、只見こども藝術計画「ブナの森の葉っぱ日記」ワークショップ第2回目を開催しました。前回の第一回目のワークショップに引き続き、講師にアーティストの岩田とも子さん、本事業に協力いただいている福島県立博物館の小林めぐみ先生、川延安直先生、西尾祥子先生をお迎えしての開催です。町内の14名の方(小学生6名、保育所児童4名、親御さん4名)にご参加いただきました。

 第一回目のワークショップでは、子どもたちとブナ林へ行き、ブナ林の植物の葉っぱに残された森の生き物たちの日記を読んでもらいました。(第一回目のワークショップの様子はブナセンターのブログからどうぞ↓)
http://tadami-buna.sblo.jp/article/190648131.html

 第二回目の今回は前回の続きの内容となりますが、ワークショップの詳細は子どもたちに伝えず、ブナ林にサプライズがあることだけ伝えて森を目指しました。

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湯ら里さん前の公園から出発


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ブナ林を目指す


 森の中の遊歩道を進み、小沢を渡ると、道脇の樹木の幹に何やら看板のようなものがかかっています。近づいてみてみると、第一回目のワークショップの参加者たちが読んだブナ林の葉っぱに残された日記が展示されています!(前日に、岩田さんとブナセンター職員で展示しておきました) 

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道沿いに現れた只見の子どもたちの作品


 その先の道沿いにも葉っぱ日記が展示されており、読みながら道を進みブナ林に到着すると...、ブナ林の中にもブナの樹幹に葉っぱ日記の作品が一面に展示され、ブナ林がアートな空間になっています! 参加者の皆さんは前回のワークショップで自分のみつけた日記を探しに林に入り、自分の作品、他の人の作品を見学しました。”この(作品の)葉っぱは僕が見つけた葉っぱと似ているけど、ちょっと違うね”、と言う子もいて、確かにその子が前回みつけた樹種と同じ葉っぱなのですがその子の作品ではありません。色や形の違いをしっかり認識していたことには驚きでした。また、前日、岩田さんが作品になっている葉っぱの植物の近くに作品を展示する配慮をされていましたが、”僕の作品と同じ植物がここにある”、とそのことに気づいてくれる子どももいました。

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ブナ林に到着。子どもたちの作品でブナ林がアートな空間に!

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作品を見学する

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 一通り見学いただいたのち、2週間前の林の状態からすっかり葉っぱが落ちてしまったことの違いを伝え、地面に落ちた葉っぱの気持ちを体験してもらいました。つまりは、ブナ林の地面の葉っぱの上に寝転がってみてもらいました。

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ブナ林に寝転ぶ


 寝転び、仰向けでブナ林の梢やその隙間から見える空に流れる雲の様子をみたり、横向きになって地面に積もった葉っぱの様子をみたり、ふかふかの葉っぱの寝心地を楽しんだり、葉っぱで枕を作ってみたり、気持ちよくて眠くなってきたり...、各々の時間を過ごしてもらいました。ブナ林の中で寝転ぶなんて、なかなかできない(やらない)体験だったのではないでしょうか。

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ブナ林の葉っぱの寝心地はどうでしょうか

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気持ちよくなって眠ってしまう...

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見上げたブナ林の空


 続いて、ここまでの体験をブナ林の植物の葉っぱに日記として書いてもらいました。そう、このワークショップは「ブナの森の葉っぱ日記」ですから。事前に、採取し、押し葉にしておいたブナ林に生育する植物の葉っぱ(ブナ、ホオノキ、イタヤカエデ、ミズナラ、コシアブラ、トチノキ、ウリハダカエデ、チシマザサ)を広げ、好きな葉っぱを選び、日記を書いてもらいます。葉っぱの葉脈を日記帳の罫線に見立てます。日記は文字で書いたり、絵日記でもOKです。書きやすい葉っぱ、筆圧が強いとすぐ破れてしまう葉っぱ、それぞれに特徴があります。葉っぱに直接何かを書くという行為もなかなかない体験かと思います。

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日記を書く葉っぱを選ぶ

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何を書こうか

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ブナ林の樹木の葉っぱに書(描)かれた日記


 温かい飲み物で休憩を挟み、ブナ林の落葉層の構造を観察してもらいました。観察したブナ林の落葉層は、上部は今年落葉したばかりのふかふかの葉っぱ、その下は、去年の葉っぱが積雪の重さで押し付けられぺったんこ、さらに下は、葉っぱが分解され細かくなるといった風に数年間の葉っぱが層になって積み重なっており、まるで日記帳のページのようにも見えます。そこで、事前に準備をしておいた日記帳を見開いたような形をしたブナの薄板に、観察したブナ林の落葉層を日記帳のページを断面からみた様子に見立て、米ぬかのクレヨンで参加者に描いてもらいました。

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ブナ林の落葉層の様子をみる

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日記帳の形に加工したブナの板材にブナ林の落葉層の構造を日記帳のページに模して描く

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ブナの板に葉っぱの重なりを描く

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葉っぱはどのように重なっていただろう

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生き物もいるかもしれない



 そして、描いてもらったブナの薄板を組み立て、板枠の中に集めた葉っぱを入れ、見開いた状態の大きな日記帳を作り、その中に、子どもに自分たちの書(描)いた葉っぱの日記を入れてもらいました。前回のワークショップでは森の生き物たちの葉っぱに残された日記を読ませてもらったわけですが、今回は私たち人間がブナ林の生き物たちへ日記を返します。まるで交換日記のように。岩田さんは、「言葉という字には、葉っぱが含まれていよね。もしかしたらみんなが葉っぱに書(描)いた日記もブナ林の生き物たちが読んでくれるかもしれないね」と優しく子どもたちに語りかけていました。

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葉っぱを集める

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大きな日記帳にみんなの日記を入れる

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書(描)かれた葉っぱ日記1

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書(描)かれた葉っぱ日記2

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みんなのブナ林の葉っぱ日記が完成だ

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終始、優しく案内いただいた岩田さん。岩田さんと子どもたちの感性が見事に合わさった素敵なワークショップでした。


 最後に、記念撮影をして、今年度の只見こども藝術計画を閉会させていただきました。終わってみれば、いつの間にか、只見のブナ林の中に素敵なアート空間が完成していました。このアート展示は、根雪前まで継続する予定です。

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記念写真

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 ワークショップ内容の発案、準備、当日の案内をいただいた岩田とも子さんに深く御礼申し上げます。また、事業への協力、バックアップいただいた福島県立博物館の皆様にも御礼申し上げます。ホテル季の里湯ら里さんにはトイレなどを貸していただきました。地元深沢集落には遊歩道などを使用させていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。ご参加いただいた参加者の皆様、ありがとうございました!

 また、担当者Nは葉っぱに日記を書く時間がなかったので、この場で日記を認めたいと思います。

日付:11月12日(日)
天気:晴れ(ワークショップの時間だけ!)
 ブナ林に降り積もった葉っぱがやがて森の生き物たちの養分になるように、今日のワークショップの時間が子どもたちの将来の糧になってくれたらうれしいと思います。

posted by ブナ at 16:39| イベント

2023年11月13日

県境は雪 国道252号六十里越は冬季通行規制

 本日は平地でもみぞれ混じりの雨が降りました。標高の高い場所では降雪があり、本日15:30より、新潟県魚沼市に続く国道252号六十里越の田子倉無料休憩所より新潟県境は冬季通行規制となりました。
 福島県山口土木事務所ホームページ↓
 https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/41361a/road.html

 国道252号沿いに春から設置していた「只見町の野生動植物を保護する条例」を周知する横断幕を急いで撤去してきました。
 https://www.town.tadami.lg.jp/informa.../2020/06/002217.html

 平地ではまだ降雪はありませんが、いよいよ冬の到来のようです。

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横断幕撤去前

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横断幕撤去後

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田子倉湖

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新潟県境方面

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横山
posted by ブナ at 17:00| できごと

2023年11月10日

「ふるさと館田子倉」 ダム建設を巡る過去を知り 未来を知る

 只見町を流れる只見川を中心に、戦後復興のための国策として推し進められた只見特定地域総合開発計画により多数の水力発電ダムが建設されています。今年、これらのダムのうち只見川の7つのダムが「只見川ダム施設群」として、土木遺産の顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存に資することを目的とする土木学会選奨土木遺産に選ばれています。
https://www.jsce.or.jp/contents/isan/blanch/2_38.shtml

 およそ70年も前に巨大なダムを建造した技術力に感心をするとともに、当時建設に携わった関係者の方々の労力は現代に生きる私たちには想像することも難しいものですが、大変なものであったことは確かだと思います。現在もこれら水力発電ダムは首都圏をはじめとする都市部に電力を供給し続けています。

田子倉ダム
田子倉ダム


田子倉ダム ダム堤体から下流の只見川を望む
田子倉ダム ダム堤体から下流の只見川を望む

 
 巨大なダムが建造される一方で、ダム建設地とその周辺の自然環境、野生生物、地域住民の暮らしも失われたという歴史的な事実も存在します。只見町ブナセンターでは、只見町にある田子倉ダム湖に沈んだ田子倉集落の自然環境や伝統的な生活文化を次世代に伝える民俗資料館「ふるさと館田子倉」を公開しています。
http://www.tadami-buna.jp/tenji_tagokura.html

只見町ブナセンター附属施設「ふるさと館田子倉」
只見町ブナセンター附属施設「ふるさと館田子倉」



 現在の「ふるさと館田子倉」の前身は、田子倉集落出身の皆川弥(わたる)氏が私設した資料館であり、そこには弥氏の父・文弥(ぶんや)氏が収集した田子倉集落に関する貴重な資料が展示されていました。2016年に、只見町は弥氏の意思を継ぐ形で、施設を取得し、田子倉集落に関する自然環境、歴史、民俗に関する展示のほか、田子倉集落と同様にダム湖に沈んだ他集落あるいは全国の事例を展示・解説しています。日本の戦後復興、高度経済成長、さらには現在の私たちの生活の礎となった歴史を知ることができる施設となっております。

田子倉集落が沈む田子倉湖
田子倉集落が沈む田子倉湖


 また、10月には只見ユネスコエコパーク推進協議会が10年間の活動を取りまとめた提起報告書を文部科学省に提出していますが、その報告書の中には、只見町で起こっているダムに関する課題が報告されています(ページ51−55)。
http://tadami-br.jp/202309Tadamibr_periodic_review_Japanese.pdf
 
 その課題とは、滝ダム湖に上流から流れてきた土砂が堆積しており、近年の豪雨災害などから住民の命・財産を守るために土砂を浚渫する一方で、その浚渫土砂を処理するための広大な土砂置場が只見町内の谷間に造成され、土砂置場造成地および周辺地域の生物多様性や生態系、景観、地場産業などへの影響が懸念されるというものです。さらに、ダムによる電力の恩恵を受ける都市部住民と只見特定地域総合開発計画の歴史や現在の課題を共有する中で、只見ユネスコエコパークを含む只見川流域の持続可能な発展のために、電力会社、国、県、地域の利害関係者の協力・協働のもと、総合的な土砂管理を実現する必要がある、とも記述されています。

只見ユネスコエコパーク定期報告書(和文)より抜粋
只見ユネスコエコパーク定期報告書(和文)より抜粋


 只見川におけるダムの存在の評価は、その過去の歴史から現在までを多角的に捉える必要がありそうです。そして、それらを知ることはより良い未来を知ることにつながるものと思います。

 只見町に来られた際は、只見駅前通りにある「ふるさと館田子倉」(〒968−0421 福島県南会津郡只見町大字只見字田中1299番地)にぜひご来館ください。
posted by ブナ at 00:00| ふるさと館田子倉

2023年11月02日

10/29 只見こども藝術計画「ブナの森の葉っぱ日記」ワークショップ1回目の開催報告

 10/29 (日)、余名沢のブナ林にて、只見こども藝術計画「ブナの森の葉っぱ日記」ワークショップ第1回目を開催しました。講師にアーティストの岩田とも子さん、さらに本事業に協力いただいている福島県立博物館の小林めぐみ先生をお迎えし、町内の20名の方(只見高校生5名、小学生7名、保育所児童3名、親御さん5名)にご参加いただきました。

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ワークショップの開始(中央がアーティストの岩田とも子さん)


岩田さんホームページ
http://shizenkansatsu.net

 直前まで降っていた雨でピークを迎えた紅葉の森が色の深みを増す中、みんなでブナ林を目指しました。道中、落ち葉や生き物を観察しながら進みましたが、子どもたちが生き物の名前をよく知っていることに驚きでした。シュレーゲルアオガエル、コシアブラ、ツキノワグマの爪痕などなど子どもたちが教えてくれます。さすが只見の子どもたち、といったところでしょうか。

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ブナ林目指して歩く


 ブナ林に着くと、岩田さんの案内で、葉っぱゲームをしました。手の届く範囲で、長めの10秒の間に、一番大きな葉っぱ、一番小さな葉っぱ、不思議な色の葉っぱ、目をつぶって手の感触だけで気になる葉っぱなどを探します。見つけた葉っぱを広げて、それぞれ見比べます。葉を空にかざして、光を通すとどんな模様が現れるかも観察します。地面に落ちて重なった何年か分の葉っぱの層も観察し、落葉層にある時間の経過も見てもらいました。森からの帰り際に、子どもたちからは”もう帰るのー?”との声もあり、楽しんでもらえたようです。

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葉っぱゲーム

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指定された葉っぱを探す

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種は同じでも、形、色にわずかに違いがあり、同じ葉っぱは一つとない

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集めた葉っぱを見比べてみる

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みんなどんな葉っぱをみつけたかな

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葉っぱを空の光にかざして観察したり、梢から落ちてくる葉っぱをじっと待ってみたり・・・


 見つけた葉っぱは創作会場まで持ち帰り、おやつ休憩を挟んで創作の開始です。テーマでもある「ブナの森の葉っぱ日記」。持ち帰った葉っぱの模様、色、形がもしかしたら森にいるかもしれない生き物の日記だとしたら?と想像してもらい、その生き物になった気持ちで日記を書いてもらいました。いくつも日記を書いてくれる子もいました。只見高校生たちの日記はなんだかポエムのようで素敵なものでした。

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創作会場

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葉っぱにある誰かの日記を読んでみる

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どんな日記が隠れているのだろう

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みんなの見つけた日記を共有する


 岩田さん、小林先生、ご参加いただいた皆様ありがとうございました!書いてもらった日記は葉っぱの画像と一緒にして、次回の第2回ワークショップまでに余名沢のブナ林の中に展示する予定です。次回のワークショップ(11月12日<日>13:30〜)では、今度はブナ林の樹木の葉っぱに自分たち人間の日記を書いて、森に返します。定員にはまだ余裕があり、1回目のワークショップに参加されていなくても参加可能ですので、参加を希望される方はブナセンター(0241-72-8355)までご連絡ください。

 最後に、創作会場などをご提供いただいた、ホテル季の郷湯ら里の皆様に感謝申し上げます。
https://www.yurari.co.jp/
posted by ブナ at 00:00| イベント