2018年09月26日

ブナセンター講座「只見の古民家は何の木でつくられているのか?」

秋も深まる9月24日、ブナセンター講座を開催しましたのでご報告します。
今回のブナセンター講座は、自然環境・社会文化基礎調査として、只見町が委託した古民家実態調査の成果報告会です。講師は、この調査を行ってくださった信州大学准教授の井田秀行氏です。井田氏は、森林生態学を専門とされていますが、古民家が好きで古民家に暮らし、その延長で古民家の原材料の樹種についても調べ始めたそうです。今回は、平成27年から29年度にかけて只見町で調査した使用樹種を調べた7棟と43軒の聞き取り調査の結果をご報告いただきました。

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▲ 解説をする井田氏

古民家は木や草といった自然でできており「自然と人の関わりの集大成」です。古民家を調べるとその地域の自然環境を理解することができるということです。只見町には157棟ほどの古民家があり、キタゴヨウが多用されていることが大きな特徴だったそうです。キタゴヨウはゴヨウマツの変種で、雪の多い地域に生育し、只見町では尾根上に馬のたてがみの様に生えているよく目にする植物です。ほかに民家普請に関する聞き取り調査の結果などをお話しいただきました。

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▲ ほぼ満員の会場

講座には47名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。
なお、この古民家実態調査の結果は、ただみ・ブナと川のミュージアムにおいて展示で紹介しています。会期は10月31日までです。ぜひご来場ください!
posted by ブナ at 13:50| イベント

2018年09月15日

カツラの紅葉がはじまりました

日が短くなり、秋の気配が近づいてきました。
ただみ・ブナと川のミュージアムに隣接する水の郷只見川公園の今日の様子です。

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よく見ると、はやくもカツラの葉が色づいていました。

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雨の降らない7月とはうって変わり、8月の下旬から雨の日が多くなりました。8月24日から昨日9月14日までの22日間で全く雨が降らなかったのは4日間だけでした。
そのおかげか山ではキノコがすくすくと育ち、ミュージアムにも何人か見せに来てくださいました。

これはオオワライタケとのこと。ナメコの様なきれいな形のキノコですが、毒があり、食べると顔の筋肉が痙攣して笑ったように見えることからついた名前だそうです。

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以下は調査の時にブナ林で見つけたキノコです。
こちらは間違いなくタマゴタケ。

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マイタケ!と思いましたが、時期が早いのでトンビマイタケではないかと思います。

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表面がトゲトゲしているのでホコリタケの幼菌のようです。

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キノコ類は識別が難しいので要注意です。知っているキノコ以外は食べないようにしましょう!
posted by ブナ at 16:13| できごと

2018年09月02日

『ただみ観察の森』観察会 第2弾「下福井のブナ水源林に行こう!」

9月1日に下福井のブナ水源林で観察会を開催しました。この森林は下福井集落の水林(みずばやし)として、100年以上、伐採されることなく大切に保護されてきました。ブナ林の手前には水源を守るためにスギが植えられていますが、過湿な土壌や多雪環境からスギの成長が悪く、ミズナラ、クリ、ホオノキ、ブナなどが侵入し、スギと広葉樹の混交林となっています。
この日はあいにくの雨でしたが、県内外から9名の参加者が集まり、多雪地特有の森林の成り立ちや、人の生活との関わりを観察しました。

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林床(森林の中の地表面)はユキツバキが優占していました。多雪地のブナ林では、林床を優占するユキツバキがよく見られます。ユキツバキの枝はしなやかで、雪の圧力に耐えることができ、地を這うように生育していました。横に伸びていった枝からは、新たに根を出すことができ、数を増やしていきます。

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上層のブナの枝を双眼鏡で見てみると、実がたくさんついているのがわかりました。地面には今年の実はまだ落ちていなかったので、昨年の実を拾って観察しました。

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観察会が終了するころ、ようやく雨が止みました。雨の中、林内を歩くのは不自由なこともありますが、雨に濡れていきいきとした、美しいブナ林を観察できました。天候によって、林内の雰囲気は大きく変わります。同じ場所でも、さまざまな様子みせる森林を見比べてみては楽しめるのではないかと思いました。

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posted by ブナ at 11:49| 自然観察会

2018年08月14日

今年の夏

8月5日のブログでも話題として挙げましたが、今年の夏は全然雨が降っていません。また、雨が降るときには、夕立のように強い雨が短時間降るような感じです。

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山の斜面を見てみると茶色く枯れている低木が確認できます。
これを見ると今年の雨がどれだけ少ないか分かると思います。

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斜面に生えるミヤマナラ等の低木が枯れている

今週には雨の予報の日があるので、しっかりと降ってくれるように願うばかりです。
posted by ブナ at 15:51| Comment(0) | できごと

2018年08月09日

8月5日「浅草岳山麓 大久保沢のブナ林を観察しよう」

 去る、8月5日に浅草岳の只見沢登山沿いで夏の観察会を開催しました。
 只見沢登山道は、入り口の只見沢対岸に春先の雪崩により形成された雪食地形が卓越して見られ、その斜面には尾根のキタゴヨウ林、雪崩斜面のミヤマナラなどの低木林というふうにそれぞれの植物群落が成立するモザイク植生が成立しています。また、登山道沿いには、トチノキ・サワグルミなどが構成する山地渓畔林や自然度の高いブナ林を見ることができます。今回は、登山道入り口から大久保沢の水場を経由し、田子倉眺めまでの往復6qの行程で、ブナ林をはじめとして立地環境の違いによる成立している森林植生を観察しました。

 沢などの谷部では、斜面崩壊や沢の氾濫などの攪乱(生物の生息環境を変化させるできごと)がよく起こり、そうした場所ではそれに耐えることのできる植物が生育しています。只見町の渓畔林でよく見られるサワグルミはそうした攪乱初期や頻度の高い場所で生育することができます。そののちに環境が安定してくるとトチノキが生育します。そうした自然の遷移の流れを只見沢近くに見ることができます。
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サワグルミ林

 そうした沢の一段うえの土壌の安定した場所にブナ林が見られます。只見町のような豪雪地帯では、ブナ林内で見られる植物数は比較的少なく、高木層のほとんどをブナが占める純林を形成します。また、ブナ林は下層植生にササを伴うものが一般的ですが、観察地を含む只見川以西を中心に林床にユキツバキを伴うブナ−ユキツバキ群落が見られます。
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林床にユキツバキが生育するブナ林

 大久保沢の水場の前にはブナの巨木があり、その下に今年のブナの雄花がたくさん落ちていました。雄花や殻斗を手に取り、見てもらいながらブナの繁殖について説明しました。
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大久保沢の水場

 大久保沢の水場から傾斜がきつくなりどんどんと標高を上げていきます。周辺に見られていたブナ林も尾根周辺まで上がるとミヤマナラ、マルバマンサクなどの灌木が見られるばかりです。山の急な斜面では、雪崩に耐えることのできる灌木、尾根では貧栄養でも生きることのできるツツジなどの仲間が見られます。そうした周辺の植生の変化を堪能しながら、ガレ場を抜けると田子倉湖が一望できる折り返し地点の田子倉眺めにたどり着きました。

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田子倉眺め

 そこからは、田子倉ダムだけは無く、鬼ヵ面の万年雪や浅草岳頂上部などが一望できます。つらかった登りを抜けて見られる展望に参加者の方も驚嘆していました。

 今まで開催してきた観察会の中でも非常に大変な行程の観察会でありましたが、ブナ林をはじめとした森林植生や雪食地形などの只見町を代表とする自然景観等について広く知ってもらう良い機会となりました。

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田子倉眺めにて

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大久保沢の水場にて
posted by ブナ at 13:55| Comment(0) | イベント