只見小学校の5、6年生は総合的な学習の時間で只見町の産業について調べています。その中で、開通を間近にした国道289号八十里越について調べ、道路工事・道路開通における自然環境・野生生物の保護・保全対策を知りたいとの相談をブナセンターが受けました。希少種の保護・保全の観点からあまり公にはしておりませんでしたが、ブナセンターでは独自に国道289号八十里越の野生生物調査を実施してきました。
道路工事を行なっている福島県南会津建設事務所さんの協力を得て、9月16日に子供達を連れての現地見学が実現しました。案内は福島県南会津建設事務所さん、環境調査を請け負っている建設技術研究所さんが行いました。
国道289号は新潟県新潟市から福島県いわき市を結ぶ総延長304kmの道路であり、このうち新潟県三条市(旧下田村)から福島県只見町に至る県境部分の自動車普通区間が八十里越と呼ばれます。この八十里越部分は只見町の北西部に位置し、町内でも自然度の高いブナ林などの自然環境が残された地域です。しかも、絶滅危惧種に選定されている野生動植物も多く生育・生息しています。したがって、人と自然との共生を実現するユネスコエコパークに指定されている只見町における国道289号八十里越の開設・開通については、これらの自然環境、野生動植物を保護・保全することは重要なことです。
現地では、道路側溝に落ちてしまった小動物が側溝から這い上がれるようなスロープ、道路に並走するように設置された両生類の道路横断を防止する高さ50cmほどの壁、道路横断ができなくなってしまった両生類が産卵するための代替産卵池の試験地、動物が道路を横断できるようなアンダーパス、外来植物を用いず周辺の在来植物を利用した斜面緑化、希少猛禽類の保護・保全が紹介されました。
貴重な自然環境の中を縦貫する道路でもあり、南会津建設事務所さんをはじめ道路工事関係者の方たちは苦心しながらこうした自然環境や野生動植物との共生を図る工事を進めています。小学生からは、道路工事で何が一番大変かとの質問があり、南会津建設事務所の担当者は、自然環境との調和を図りながら施工することが大事だと回答していました。小学生たちは道路工事と自然環境の共生を学ぶ良い機会になったようです。
一方で、道路工事や開通後の影響においては少なからず課題が残っています。これについては、この9月下旬のユネスコ国際調整理事会で審査される只見ユネスコエコパークの定期報告(10年間の活動報告書)において詳細に記されています(下記のURLのPDFファイルのうち47−51ページ)。
https://tadami-br.jp/TadamiBR_PR_JPN.pdf
多くの人にとっては、国道289号八十里越の開通は心待ちのものだと思います。一方で、この道路は只見町の貴重な価値ある自然環境の中を通り、これらを保護・保全しながら道路を利用させてもらう必要があることを忘れてはいけません。そうしたことに大人よりも子どもたちの方が敏感に感じ取っているようです。子どもたちの将来のためにも、開通までの残された時間の中で、関係者の協力のもと、具体的な対策を講じていく必要が迫られていると思います。
2025年09月17日
<只見小学校5、6年生が国道289号八十里越工事における自然環境・野生生物への保護・保全対策をリサーチ>
posted by ブナ at 13:23| 人材育成
2025年07月03日
只見小学校の総合的な学習の時間を支援ー川の生き物探しと食について
7月2日、只見小学校の3・4年生の総合的な学習の時間を支援しました。今年度、只見小学校3・4年生は只見町の自然と食について学んでいます。新学期が始まってからブナセンターでは只見町の自然環境と野生動植物、それらと関係する私たちの食、只見町ならではの食文化について座学や実習で支援してきました。
今回は、川での生き物探しをしつつ、どのような環境に生き物がいるのか、食べられる生き物はいるのかを学ぶ機会としました。石の下や、河岸から川に向かって生えた草木の茂みの下などを手網を使って、ガサゴソして生き物を探します。
1時間弱ほど探して、淡水魚は、イワナ、ヤマメ、ウグイ、カジカ大卵型、アブラハヤ、アカザ、シマドジョウ、カマツカ類など少なくとも8種を確認できました。このうち絶滅危惧種も少なからず含まれており、シマドジョウは福島県レッドリストの準絶滅危惧、カジカは福島県レッドリストで絶滅危惧IB類、アカザに関しては環境省レッドリストで絶滅危惧U類、福島県レッドリストでは絶滅危惧IA類に選定されています。また、只見町で一般的に食されるのはイワナ、ヤマメ、ウグイ、カジカです。そのほかにもエビ、ヤゴ、カジカガエル(成体、オタマジャクシ)などの生き物も確認できました。(なお、観察後は全ての生き物を川へ戻しました。)
見つけた生き物たちは、水中に沈んだ浮石の下や草木の茂みの下にいました。こうした生き物たちが隠れられる環境があってこそ、多様な生き物が生息できるのです。そして、私たちは食などを通してそれらの自然の恵みを享受できています。只見町にはまだそのような貴重な環境が残されおり、今後も守っていきたいものです。子どもたちにはこのことも共有させてもらいました。
小学生の頃からこうした自然体験をできる只見町は本当に恵まれているなぁと改めて実感させていただきました。
今回は、川での生き物探しをしつつ、どのような環境に生き物がいるのか、食べられる生き物はいるのかを学ぶ機会としました。石の下や、河岸から川に向かって生えた草木の茂みの下などを手網を使って、ガサゴソして生き物を探します。
1時間弱ほど探して、淡水魚は、イワナ、ヤマメ、ウグイ、カジカ大卵型、アブラハヤ、アカザ、シマドジョウ、カマツカ類など少なくとも8種を確認できました。このうち絶滅危惧種も少なからず含まれており、シマドジョウは福島県レッドリストの準絶滅危惧、カジカは福島県レッドリストで絶滅危惧IB類、アカザに関しては環境省レッドリストで絶滅危惧U類、福島県レッドリストでは絶滅危惧IA類に選定されています。また、只見町で一般的に食されるのはイワナ、ヤマメ、ウグイ、カジカです。そのほかにもエビ、ヤゴ、カジカガエル(成体、オタマジャクシ)などの生き物も確認できました。(なお、観察後は全ての生き物を川へ戻しました。)
見つけた生き物たちは、水中に沈んだ浮石の下や草木の茂みの下にいました。こうした生き物たちが隠れられる環境があってこそ、多様な生き物が生息できるのです。そして、私たちは食などを通してそれらの自然の恵みを享受できています。只見町にはまだそのような貴重な環境が残されおり、今後も守っていきたいものです。子どもたちにはこのことも共有させてもらいました。
小学生の頃からこうした自然体験をできる只見町は本当に恵まれているなぁと改めて実感させていただきました。
posted by ブナ at 17:43| 人材育成
只見小学校の総合的な学習の時間を支援ー只見の自然と食(山菜について)
日は遡りますが、6月4日に只見小学校の3・4年生の総合的な学習の時間を支援しました。今年度、只見小学校3・4年生は只見町の自然と食について学んでいます。子どもたちは、新学期に入ってから、只見町の自然環境と野生動植物、それらと関係する私たちの食、只見町ならではの食文化について座学で学んできました。この日は実際にフィールドに出て座学で出てきた山菜を確認しました。
道路沿いに山菜植物を探しながら歩きました。フキ、ヨモギ、ワラビ、ゼンマイ、タラの芽(タラノキ)、コシアブラ、ハリギリ、ウルイ(オオバギボウシ)、シオデを見つけることができました。わずか250mくらいを歩いただけですが、これだけの種類の山菜が見られることは只見の自然の豊かさだと思います。
山菜ではないですが、トチノキの花がちょうど盛りで、トチノキの実は救荒食としてトチ餅にして食されたほか、円錐形の特徴的な形の花序の花からは蜂蜜が採れることも紹介できました。
最後は、山菜の味を楽しんでもらおうとその場で茹でたシオデとウルイの油炒めを食べてもらいました。お味は美味しい、との感想をもらいました。
今後も只見ならではの自然を活かした学習を支援していきたいと思います。
道路沿いに山菜植物を探しながら歩きました。フキ、ヨモギ、ワラビ、ゼンマイ、タラの芽(タラノキ)、コシアブラ、ハリギリ、ウルイ(オオバギボウシ)、シオデを見つけることができました。わずか250mくらいを歩いただけですが、これだけの種類の山菜が見られることは只見の自然の豊かさだと思います。
山菜ではないですが、トチノキの花がちょうど盛りで、トチノキの実は救荒食としてトチ餅にして食されたほか、円錐形の特徴的な形の花序の花からは蜂蜜が採れることも紹介できました。
最後は、山菜の味を楽しんでもらおうとその場で茹でたシオデとウルイの油炒めを食べてもらいました。お味は美味しい、との感想をもらいました。
今後も只見ならではの自然を活かした学習を支援していきたいと思います。
posted by ブナ at 14:08| 人材育成
2024年07月29日
只見町公認自然ガイド養成講座を開始
ユネスコエコパークに登録されている只見町では、豊かな自然環境とそれを拠り所にした伝統的な生活や文化についての理解を広め、それらの保全をつなげるエコツーリズムを推進しているところです。昨日は、このエコツーリズムの担い手となる只見町公認自然ガイドの新規養成講座を開始しました。
初回となる今回は、午前中に余名沢のただみ観察の森を歩きながら、只見町の代表的な森林・自然景観を理解する実習を行いました。午後は、只見町の自然環境の概要についての座学が行われました。
養成講座は今年度いっぱいのスケジュールで行われます。長丁場ではありますが、参加者の皆様には只見町のエコツーリズムを盛り上げるため、ぜひガイドになっていただきたいと思います。私たちもそのためにサポートしていきます。
初回となる今回は、午前中に余名沢のただみ観察の森を歩きながら、只見町の代表的な森林・自然景観を理解する実習を行いました。午後は、只見町の自然環境の概要についての座学が行われました。
養成講座は今年度いっぱいのスケジュールで行われます。長丁場ではありますが、参加者の皆様には只見町のエコツーリズムを盛り上げるため、ぜひガイドになっていただきたいと思います。私たちもそのためにサポートしていきます。
posted by ブナ at 12:39| 人材育成
2024年07月06日
2024.6.13-15 日本自然環境専門学校(鳥類研究室)の調査実習をサポートしました
只見町ブナセンターでは町内学校のみならず、町外の教育機関からも環境学習に関するご依頼を受け付けております。
新潟県にある日本自然環境専門学校(鳥類研究室)の調査実習の受け入れは、2021年より毎年6月の恒例となっており、今年で4年目。今年は6名の熱意ある学生たちが、6月13日〜15日までの2泊3日にわたって、只見実習にお越し下さりました。実習では、定点にて一定時間ごとに確認された種を記録する「スポットセンサス調査」や、同じく定点にて視野範囲で確認された猛禽類の行動記録をとる「猛禽類調査」、コールバックによる夜行性鳥類調査、そして踏査による任意調査といった、各種調査手法を実践しました。
他の生物と同じように、鳥類もまた種ごとに異なる環境を選んで生息しています。また、6月は多くの種の繁殖期に当たるため、つがいは一定の範囲のなわばりをもって生活しており、広く分散しています。つまり、種数を網羅的に把握する「相調査」においては、可能な限り様々な環境を広く探して回る必要があるのです。今回の実習にも「相調査」の側面があったことから、町内全域に調査地を設け、河川やダム湖、集落周りの農地や、森林内の散策路など、行ける限りの環境を巡って、鳥類を記録して回りました。
▲山地で確認された鳥類
▲水辺で確認された鳥類
▲集落や農地周辺で確認された鳥類
▲夜間調査で確認された鳥類
このようにして行われた3日間の調査を経て、確認された種数は59種に上りました。これは過去4年間で最多の種数です。只見町における繁殖分布種を経年的に把握する上でも貴重なデータが得られたと思います。特に、福島県版レッドリストにおいて絶滅危惧I類に選定されているブッポウソウとチゴモズの確認は特筆に値します。ブッポウソウについては、町内での確認は実に3年ぶりのことでした。2個体同時に見られたことから、つがいの可能性があります。チゴモズは昨年と同じ調査地で見つかり、2年連続の記録となった一方で、単独生活しているオス成鳥とみられ、残念ながら繁殖兆候は確認できませんでした。チゴモズの繁殖成功例は、県内でも近年滅多に聞かれません。
学生の皆様には将来、環境調査の業界を目指したり、教育の現場に立ったり、環境行政を執り行ったりと、様々な活躍の可能性があるかと思います。鳥類について知り得たことが、少しでも社会に還元され、人々の新たな学びに繋がったり、環境保全に資することがあるならば、それが一番の喜びです。熱意をもって全力で励んでいただきたいです。
posted by ブナ at 15:00| 人材育成
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