2018年09月02日

『ただみ観察の森』観察会 第2弾「下福井のブナ水源林に行こう!」

9月1日に下福井のブナ水源林で観察会を開催しました。この森林は下福井集落の水林(みずばやし)として、100年以上、伐採されることなく大切に保護されてきました。ブナ林の手前には水源を守るためにスギが植えられていますが、過湿な土壌や多雪環境からスギの成長が悪く、ミズナラ、クリ、ホオノキ、ブナなどが侵入し、スギと広葉樹の混交林となっています。
この日はあいにくの雨でしたが、県内外から9名の参加者が集まり、多雪地特有の森林の成り立ちや、人の生活との関わりを観察しました。

P9010072_RR.jpg

林床(森林の中の地表面)はユキツバキが優占していました。多雪地のブナ林では、林床を優占するユキツバキがよく見られます。ユキツバキの枝はしなやかで、雪の圧力に耐えることができ、地を這うように生育していました。横に伸びていった枝からは、新たに根を出すことができ、数を増やしていきます。

P9010087_RR.jpg

上層のブナの枝を双眼鏡で見てみると、実がたくさんついているのがわかりました。地面には今年の実はまだ落ちていなかったので、昨年の実を拾って観察しました。

P9010098_RR.jpg

観察会が終了するころ、ようやく雨が止みました。雨の中、林内を歩くのは不自由なこともありますが、雨に濡れていきいきとした、美しいブナ林を観察できました。天候によって、林内の雰囲気は大きく変わります。同じ場所でも、さまざまな様子みせる森林を見比べてみては楽しめるのではないかと思いました。

P9010114_RR.jpg
posted by ブナ at 11:49| 自然観察会

2018年03月19日

冬のブナ林と動物たち

昨日の3月18日に自然観察会を行いました。
この観察会は、豪雪地帯只見町の冬を体験し、多雪環境の中で生きる動植物を実際に観察してみよう!というものです。観察地は、所有する集落が水源林として150年以上にわたって保存してきたブナ林とその周辺でした。

この日は朝から快晴で冷え込んだため、積雪の表面が凍って固雪となっていました。スノーシューやかんじきで雪上を歩く予定でしたが、長靴のまま歩くことができました。

DSC_1673_RR.jpg

林縁ではウサギの食痕とカモシカの足跡を観察することができました。ウサギの食痕は目の高さほどにあり、ピーク時にはそのあたりまで積雪があったことをうかがい知ることができました。

DSC_1613_RR.jpg

林の入口は、樹木が少なく開けていて、あちこちの雪の中からフジのツルがまっすぐと上に伸びているのが見立ちました。途中からまわりの高木にしがみつき、さらに上へと登っていっています。たくましいフジの生命力を感じました。

IMG_20180311_093929_RR.jpg

こちらが水源林のブナ、只見町では水林(みずばやし)と呼んでいます。只見町は河川が多く水が豊かですが、水利権があるため勝手に水を使うことができませんでした。そこでかつては、この下にあった水田を潤すために、水林の斜面の下から出ている湧水を利用していました。そのため水が枯れないよう林を保存し、現在では、胸高直径80p前後の大木が優占する林に成長しています。

P3180029_RR.jpg

ここでは、このブナ林の特徴や人の利用の歴史について解説し、また、ブナの冬芽を観察しました。落ちていた枝の先についていた冬芽を使って、その中をのぞいてみました。中には葉の芽に加えて花の芽が入っていました。混合芽と呼ばれています。ブナは、年により花が着く年と着かない年とがあることが知られていますが、今年はずいぶんと花が咲きそうです!

180318-104527_R.JPG

その後、雪の観察をしました。林の平坦な場所で参加者に積雪深の予測をしてもらいます。そして、実際に測ってみるとおよそ2メートルでした!

180318-110944_R.JPG

また、雪を掘り、その下の林床植物の様子を観察しました。

180318-110542_R.JPG

下の写真の葉はユキツバキです。みごとにぺちゃんこになっています。これらの林床植物は、このように押し倒されても、枝が傷ついていないので、雪がとけると再び立ち上がって成長することができます。多雪環境に適応した植物です。

180318-110955_R.JPG

只見町でも一日一日とまわりの雪が少なくなっていっています。残り少ない冬の季節、参加者の方々には只見町の雪を十分に体験していただくことができたようです。ご参加ありがとうございました!

180318-104842_R.JPG
posted by ブナ at 14:00| Comment(0) | 自然観察会

2017年10月09日

9月24日自然観察会「八十里越の化ケ物谷地に行こう!」

 観察会は、現在開催している企画展に関連し、湿地の植生やその重要性を理解することを目的として開催されました。観察地の化ケ物谷地へは、八十里越明治新道(以下 明治新道とする)を通り、その道中で秋の花とブナ林を観察しました。今回の観察地は国有林内に属するので、許可を得て入山しました。
 国道289号線の未開通区間(八十里越)を車で通り、交易に使われていた会津と新潟を結ぶ明治新道を目指しました。移動のバスの中では、センター長の新国が参加者へ只見町のいろいろな話をし、ただみ・ブナと川のミュージアムから30分以上かかる道のりもみなさん楽しく過ごされていました。今回は、叶津の長谷部忠夫氏に同行いただき、八十里越の説明もしていただきました。

 明治新道に入ってから化ケ物谷地までは徒歩1時間ほどかかります。明治新道は荷車が通っていたと言われています。道幅の広い場所は2mほどあり、当時の名残が感じられました。道沿いには、タイリンヤマハッカ、キバナアキギリやツリフネソウなど秋の花が咲き誇っていました。また、キイロスッポンタケやギンリョウソウモドキなどの姿も見ることができました。
P9240125_R.JPG
<タイリンヤマハッカ>

IMGP0972_R.JPG
<キバナアキギリ>

DSCN4790_R.JPG
<ツリフネソウ>

 明治新道沿いには、大麻平(おおまだいら)と呼ばれる場所があり、谷合の緩斜面にブナの林が広がっています。参加された方たちは少しの間、立派なブナの林を見入っていました。大麻平は、2007年に「自然首都・只見」宣言が行われた場所でもあります。
P9240117_R.JPG
<大麻平のブナ林>

 途中には、道に倒木が横たわっている下をくぐったり、枝の間を縫うように歩いたりと困難な場所もありましたが、みなさん楽しまれているようでした。
P9240126_R.JPG
<倒木の間を縫うように進む>

 大麻平を過ぎると、明治新道から明治中道に入りました。明治中道は、明治新道より細く牛馬が通れる程度で、わずか15年ほどしか利用されず廃道になった道です。入口からしばらくは傾斜の急な場所が続きます。途中には、水がたまり、小さな湿地のような場所も多く、目的地に近づいている雰囲気がありました。
P9240121_R.JPG
<八十里越明治中道を通る>

 急傾斜を登りきると、斜面の下方向に樹冠がぽっかりと空いた場所が見えてきました。今の時期は木々が生い茂るので、ここからはまだ湿地の全容を掴むことができません。そこから先に進み、湿地に沢が流れ込む見通しの良い場所で谷地の形成や植生調査の仕方などを説明しました。化ケ物谷地は中央に島があり、植生としてヨシが優占する低層湿地です。
P9240380_R.JPG
<化ケ物谷地にて>

 また、長谷部氏には化ケ物谷地の名前の由来や明治中道について説明いただきました。
化ケ物谷地の名前の由来は正確に残っていませんが、山間の霧の中ぽっかりと空間の空いた中に谷地の中島の木がおぼろげに見える様子に当時の人は気持ち悪さを感じ、化ケ物と形容したのではないかということでした。
 谷地から明治新道に戻ったところで昼食休憩をとり、昼食後には長谷部氏に問答形式で八十里越について解説していただきました。

 観察会には、18名が参加し、化ケ物谷地、八十里越はもちろんその道中で草花やキノコなどの観察も楽しんでいただくことができました。
posted by ブナ at 10:35| Comment(0) | 自然観察会

2017年09月20日

自然観察会「八十里越の化ケ物谷地に行こう!」参加者募集中

現在開催中の企画展「只見の湿原−その生態と歴史」に関連し、9月24日(日)に自然観察会を行います。8月29日に下見に行ってきましたので、観察地の様子を少し紹介します。
 観察地は化ケ物谷地と呼ばれる湿原です。ここは、通常では一般の人が入ることができません。今回は、許可を得て、只見町から三条市へと通じる国道289号線の未開通区間に入ります。そしてさらに途中で車を降りて、廃道となって久しい八十里越古道を歩きます。この古道は、八十里越古道の中でも、明治27年に開削された明治新道と呼ばれる道です。明治新道が使われていた当時は、荷車の通行可能な車道でした。開削から100年以上経った今でもその名残をとどめる幅2m程のしっかりした道が九十九折に続きます。
 化ケ物谷地へは、この明治新道を途中で逸れ、地元の人が使っていたゼンマイ折りの道に入って行きます。途中木の下をくぐるところもありましたが、道はしっかりとしていました。
道の様子からも集落の方が利用管理していることが分かります。

細いゼンマイ折りの道を進むと道沿いに化ケ物谷地があります。化ケ物谷地は、そのほとんどがヨシに覆われていますが、中央に島がありそこに樹木が生えています。山あいは朝方に霧がかかることが多いので、霧の中で突如として森が開けた中に見え隠れするこの島の木が他の場所と違って恐ろしく見えたのでしょうか。化ケ物谷地という名前には想像が掻き立てられます。

P8290032_R.JPG
<クサアジサイ>

明治新道沿いではジャコウソウやクサアジサイの花が見られました。

湿原では、カヤツリグサ科のアブラガヤやカサスゲが穂を付けていました。
また、サワヒヨドリやハンゴウソウなどの花も見られました。
観察会の時には、秋ももう少し進むので、秋の花が見られるでしょう。

P8290022_R.JPG
<サワヒヨドリ>

観察会では、化ケ物谷地の植生について観察し湿原の形成過程などを考えます。
まだ定員に達していません。普段ではなかなか見られない場所ですので、是非ご参加ください。自然観察会への参加には事前予約が必要です。
詳しくは、http://www.tadami-buna.jp/event.html#kikuchi をご確認ください。

観察会の前日9月23日には、森林総合研究所の菊地賢氏に「只見町の湿原−植生からみた多様性」と題して只見町自然環境基礎調査で行った町内の湿原植生調査の結果を解説していただきます。こちらは予約は不要です。お誘い合わせの上、ご来場ください。

また、現在2階ギャラリーにて、特別企画展「只見の湿原−その生態と歴史」を開催しております。この機会にぜひただみ・ブナと川のミュージアムにご来館ください。
posted by ブナ at 17:19| Comment(0) | 自然観察会

2017年05月13日

【報告】春の観察会「春のブナ林を歩く」

5月4日に癒しの森で春の観察会「春のブナ林を歩く」を行いました。
癒しの森は、只見町と金山町の境に位置し、松坂峠にある入口から戸板山眺めまで往復3時間ほどのトレッキングルートが設置してあります。
ブナの新緑に春の訪れを感じながら、そこに生育する植物や森林の様子を観察しました。
DSCF1300_R.JPG

癒しの森では、入り口付近にナラの二次林、スギ、カラマツの人工林、その奥にはブナ林が見られます。この場所には本来ブナが生育していましたが、薪や木材の利用を目的に伐採を行った結果、ナラの二次林になっています。癒しの森では、こういった森林の違いも観察できます。
DSCF1303_R.JPG

30分ほど歩くとようやくブナが見え始めました。
下見の時には、開きはじめだった葉っぱも展葉が終り、きれいな新緑が見えました。また、数本のブナに花も確認していたのですが、すでに散ってしまったように見えました。参加者の方が落ちた花を見つけてくれたので、そこで花、冬芽の観察を行いました。はじめてブナの花を見たという方も多く、興味深そうに観察していました。
IMG_3373_R.JPG

中間地点の交流広場では、4年前に倒れた国界の大ブナの前でギャップと植物の更新について説明しました。木が倒れると今までその木に覆われていた樹冠があき、光が差し込むようになります。この空間のことをギャップと言い、その林床では、それまで被陰されていた植物たちが成長します。今年は、先駆植物のタラノキやヤマウルシなどしか見られませんでしたが、もう少しすると、ブナの実生も見られるようになるでしょう。
DSCF1314_R.JPG

そこからさらに尾根を登ると左手に青春広場と呼ばれるブナ林が広がります。ここには太さの揃ったブナがすっと上まで伸びています。一度伐採が行われた後に成立したブナの二次林で、一斉に成長したためにこのような景観ができました。
IMGP2659_R.JPG

尾根には雪が少なく、地面が見えていたので、森林の下層植生を観察しました。今の季節、癒しの森では、常緑のヒメアオキ、ヒメモチ、ハイイヌツゲ、ハイイヌガヤなどが見られます。
この植物たちは、現在開催中の企画展で紹介している日本海要素植物です。日本海要素植物は、主に日本海側に分布する植物です。太平洋側の対照種では高木として成長するものが、雪圧により幹が地面を這い樹高が低くなるなど形態的な特徴の違いが見られます。
また、雪の保護作用により冬の乾燥、低温から守られることで寒い地域でも成育している植物もあります。
IMG_3497_R.JPG

戸板山眺めでオオイワウチワなどの山野草や尾根から見えるブナの新緑、サクラを楽しみながらお昼休憩を取りました。
DSCF1327_R.JPG

DSCF1328_R.JPG
尾根以外の場所にはまだ雪が残り足元が悪い中でしたが、町内外から22名の方が参加され、ブナの新緑、雪、山野草など今の時期にしか楽しめないものを観察できました。
posted by ブナ at 12:03| Comment(0) | 自然観察会