2019年10月09日

野鳥観察会の報告

去る9月28日に野鳥観察会「只見町の秋の鳥〜渡ってくる鳥・去る鳥」を開催しましたので、遅くなりましたがご報告します。

この観察会は、企画展アーカイブ「只見の野鳥とその生態」に関連して開催したものです。「ただみ・ブナと川のミュージアム」に集合し、隣接する水の郷只見川公園、そこから只見川沿いに只見ダムまで移動しながら野鳥観察を行いました。

隣接する水の郷只見川公園には高木になったシロヤナギが生育しています。開会の挨拶をしていると早速その周辺から騒がしい鳥の声が聞こえてきました。

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声の主はヒヨドリです。数十羽のヒヨドリが集まっていました。ヒヨドリは日本では普通に見られる鳥ですが、日本とその周辺にしか生息しない世界的には珍しい鳥です。周年を通して見ることができる地域がほとんどの鳥ですが、渡りをする個体と留鳥型の個体の両方がいることが知られています。この場所に集まっていた集団はおそらく渡り途中の集団と思われます。

葉に隠れてなかなか探し出せませんが、参加者は双眼鏡や望遠鏡でなんとか姿を確認することができました。公園内の丘に上がると、数羽の群れが時折飛び立ち移動する様を確認できました。

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公園内の水辺にできたヨシの中には、夏に繁殖していたオオヨシキリの巣を見ることができました。

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川沿いを移動しながら、水辺の鳥を探しました。ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイの3種揃って生息していました。
また、山の斜面にはナラ枯れの被害木を見ることができ、その原因や現状などについてもお話ししました。

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道々、ゴマナやノコンギク、オトコエシといった秋の花も観察しました。

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ダム湖には冬鳥のキンクロハジロがやってきていました。他にカワウやアオサギ、カルガモなどおり、トビが湖面からさらうように魚を獲るシーンも見ることができました。

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参加者は12名。ゆっくり歩きながら様々な只見町の秋を観察することができました。
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2019年10月06日

身近な自然を学ぶ『ただみ観察の森』観察会 杉沢のユビソヤナギ林 ―保全の必要性について考える―

 10月5日(土)に『ただみ観察の森』杉沢のユビソヤナギ林で自然観察会を実施しました。『ただみ観察の森』は、只見ユネスコエコパーク地域内の自然環境やそこに生息・生育する野生動植物の現状を理解し、それらを身近に触れてもらうことを目的とした場所で、町内の7ヵ所に設置されています。今回は、杉沢集落の伊南川沿いに位置するユビソヤナギ林で、参加者10名とともに河畔林を構成するヤナギ類各種の葉や樹皮の特徴や生育環境を観察しました。

 前日の夜は激しい雨風で、当日の天候が心配されましたが、一転して快晴に見舞われました。伊南川右岸の熊倉地区の集会所に集合し、そこから車に乗り合わせて対岸のユビソヤナギ林へ向かいました。国道289号線沿いに入り口があり、そこからユビソヤナギ林を経由して河原に行くことができます。

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▲ユビソヤナギの説明を受ける参加者

 ユビソヤナギは、日本固有種で東北地方から関東地方内陸部にかけての14ヵ所の河川でしか確認されていない珍しいヤナギです。只見町では2003年に初めて記録され、その後の集中的な調査によって叶津川、小戸沢、北ノ又川、そして伊南川流域に広く生育することが分かっています。いずれの生育場所も中州や網状流路が発達した広い河原をもつ山地河川で、加えて冬季の積雪が80pを超える地域に分布することから雪国に特徴的なヤナギと言えます。また、只見地域のユビソヤナギは、黒谷川および伊南川沿いの50km以上にわたって断続的に分布しており、日本最大級の自生地となっています。

 ユビソヤナギ林といっても林内には、ユビソヤナギ以外に複数のヤナギ類が入り混じっています。ここでは主にシロヤナギ、オノエヤナギ、オオバヤナギの4種がみられ、葉や樹皮を実際に観察しながら、これら4種の見分け方を説明しました。

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▲樹高の高いヤナギ類は、ほとんどがシロヤナギでその中にユビソヤナギが点在する

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▲ユビソヤナギの樹皮は全体的に黒っぽく縦に裂けるのが特徴だが、シロヤナギの樹皮は白っぽく、はがれやすい

 林内を抜けて河原に出ると、ヤナギ類の若い個体が確認されました。ユビソヤナギとオノエヤナギの葉は両方とも細長いため、一見して見分けるのは難しいですが、それぞれの葉の特徴を理解すれば次第に識別できるようになります。ユビソヤナギは葉の鋸歯(葉の縁のぎざぎざ)が粗く、オノエヤナギの葉の縁は波状で鋸歯はほとんどありません。さらに、何枚かの葉を素手で握ってみると感触もだいぶ違います。

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▲河原には若いヤナギ類が生育する

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▲「葉と握手すれば分かる」ユビソは固く、オノエは柔らかい

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▲河原から山地に目を向けると、手前にユビソヤナギ、背後にブナ林という組み合わせを見ることができる

 最後は、只見町における河川環境およびユビソヤナギの保全について話し合いました。ユビソヤナギは、国および福島県の絶滅危惧種(絶滅危惧II類)に、また只見町指定の貴重野生動植物種に指定されています。河川改修等でタネが発芽・定着できるような場所(砂州)が無くなり、ダムの設置により大規模な出水が起きにくくなると、ユビソヤナギは子孫を残すことができなくなり、その河川から消滅する可能性が高くなります。洪水時の流れが河岸に強く当たる湾曲部の補強といった河川工事は、必要に応じてしなければなりませんが、ユビソヤナギが生育し得るような環境を残すことも重要です。

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▲参加者の集合写真

 今回はユビソヤナギや河川環境の保全の必要性について理解していただくよい機会になったのではないかと思います。参加者の皆さま、ご参加いただきありがとうございました。『ただみ観察の森』における自然観察会は、11月にも予定しておりますので、そちらもぜひご参加いただければ幸いです。
posted by ブナ at 16:28| Comment(0) | 自然観察会

2019年09月25日

野鳥観察会の下見に行きました!

少しずつ秋めいてきた只見町です。
今週末に実施する野鳥観察会の下見に行ってきました。
ただみ・ブナと川のミュージアムの前にある公園内のカツラは一足早く色を変えはじめました。

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只見川の堤防の上にはススキが穂を開きはじめ秋らしさを添えています。

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公園内には、クリ、コナラ、トチノキなど実の成る樹も多くあります。まさに実りの秋ですね!

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町下橋の欄干ではハクセキレイが迎えてくれました。

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道沿いには秋の草花もよく咲いていました。
ナンブアザミです。

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ゴマナも集まるときれいですね!

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只見ダムにはキンクロハジロが渡ってきていました。

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野鳥観察会は今週末です。どんな鳥が出るかは運次第ですが、秋の植物や風景を楽しみながらのんびり歩きたいと思います。
参加締め切りは9月26日(木)となっていますが、前日まで大丈夫です。ブナセンターまでお電話ください。
電話 0241-72-8355
9:00〜17:00(火曜休館)

野鳥観察会の詳しい内容はHPでご覧ください。 こちら
posted by ブナ at 14:13| Comment(0) | 自然観察会

2019年07月28日

令和元年度『ただみ観察の森』観察会第1弾・只見の自然を知ろう!楢戸のブナ二次林

 7月20日(土)に『ただみ観察の森』楢戸のブナ二次林で自然観察会を実施しました。『ただみ観察の森』は広大で奥深い只見の自然を身近に体験し、ご理解いただく場として、只見町ブナセンターが地域住民の方々の理解と協力のもとで指定し、整備を行っています。ただみ自然観察の森は、ブナ林など只見地域の代表的で特徴的な植生を対象とし、比較的アクセスのしやすい場所に設定されています。林内は必要最小限の遊歩道が設けられており、それぞれの森林の特徴を観察しながら散策することができます。教育機関の環境教育あるいは視察研修の場として利用されるほか、一般の方でも事前にただみ・ブナと川のミュージアム(只見町ブナセンター)において観察の森の利用についての説明を受けたのち入林することができます。こうした手続きは、観察の森のオーバーユース(過剰利用)を防ぐほか、観察の森が集落近くにあることから森の利用による住民生活を妨げることなく、自然環境の保全と持続可能な利用を両立させるものです。昨年度から定期的にこの観察の森を利用した観察会を開催しています。

 ただみ・ブナと川のミュージアムから車で10分ほどの所に、楢戸のブナ二次林はあります。はじめに注意事項を説明してから森に入りました。ヌルデやヤマウルシ、ツタウルシは肌に触れるとかぶれることもあり注意が必要です。それぞれの特徴を説明し、さらにスタッフ自身の肌がかぶれた実体験も紹介しました。

どれがヤマウルシなのかを確認する参加者
▲どれがヤマウルシなのかを確認する参加者

 林内に入るとさっそく参加者がブナの樹を見つけました。ブナの樹皮には特徴があり、比較的すべすべで、白っぽく、まだら模様があります。しかしよく見ると、その横にも同じような樹皮の樹がありますが頭上の葉の形や大きさが全くちがいます。これはホオノキで樹皮だけ見るとブナによく似ています。

左がブナ、右がホオノキの幹
▲左がブナ、右がホオノキの幹

 ブナの樹皮にはまだら模様の斑がありますが、これは地衣(ちい)類がブナに着生しているためです。地衣類は菌類の中に藻類が共生したもので、藻類は菌類の体を住処とし、菌類は藻類が光合成で生産した栄養分を利用するという関係にあります。これらの地衣類はブナの幹をより高くのぼり、光がよくあたる所に生活場所を求めています。地衣類の中には様々な種類があり、ブナの樹皮にも様々な種類の地衣類が生育しています。

 続いて、「かじご焼き」の痕跡を観察しました。かじご焼きは只見町で行われていた伏せ焼きによる炭焼きの技術です。通常の炭作りのように炭焼き窯を作らず、山中に穴を掘り、灌(かん)木を入れて燃やし、土をかぶせてむし焼きにし、約1週間後に掘り出すと、炭になっています。この炭は着火が早く、火力が弱いことから、主に掘りごたつ用の炭として使われました。化石燃料が手に入る頃には急速にかじご焼きは衰退し、現在は行われることはなく、山中の無数のかじご焼きの穴からかつて盛んに行われてきたことを伺い知ることができます。事実、かじご焼きが行われる晩秋から初冬にかけては山の裾野からかじご焼きの煙が立ち上り、その光景が風物詩となっていました。

 足元には今春芽ばえたブナの実生と昨年の秋に落ちた殻斗がありました。ブナはおおよそ2年に1度の頻度で結実し、さらに結実年であってもおおよそ5−7年の間に一度豊作の年があります。昨年の2018年はブナの豊作年でした。参加者の方から、ブナがそのような頻度で種子を作ることに何か有利な点はあるのか?というご質問をいただき、指導員が、毎年多くの種子を生産すると、それを食べるネズミなどの動物が増えるので、少ない年をつくり、捕食者が減ったところで、多くの種子を作ることで、種子の生き残りを図っているなどの仮説が考えられていると返答しました。

様々な樹種の実生が見られた林床
▲様々な樹種の実生が見られた林床

 ブナの堅果は人間も食べることができると指導員が説明すると、参加者の中にはぜひ食べてみたいとおっしゃる方もおりましたが、落ちているのは虫食いの穴があって中身がからっぽのものや秕(しいな)ばかりで、残念ながら今回は食べることができませんでした。実際、種子は灰汁抜きなどすることなく食することができ、クルミのような風味がして美味しいです。さらに当年生の芽生えたばかりの実生も子葉部分も美味しく食べることができます(ただし、もし食される場合は自己責任でお願いします)。事実、ブナの種子は蛋白質と脂質に富み、野生動物の重要な食料となっています。ツキノワグマもこれが大好きです。

 楢戸の『観察の森』で最も大きいブナの樹皮にはツキノワグマの爪痕があります。4月の下旬頃、ブナの花が咲くとツキノワグマが木に登るようです。このブナの胸高周囲長を参加者の方達に実測していただきました。みなさんは、3mや3.5m、はては5mほどあると予想しましたが、実際の周囲長は2m84cmでした。

楢戸ブナ二次林のブナ(マザーツリー)の胸高周囲長を実測する参加者
▲楢戸ブナ二次林のブナ(マザーツリー)の胸高周囲長を実測する参加者

 観察会の最中たまたま、『観察の森』の地権者の方がお見えになりお話をうかがいました。この森はもともとブナのみならず、クリやミズナラの混交林だったそうです。しかし、30年ほど前にクリやミズナラをシイタケ栽培の榾木(ほだぎ)として利用するために選択的に伐採したため、現在ではブナの純林に近い状態になりました。また、『観察の森』の奥地には『観察の森』の6〜7倍もの広さのスギ林が広がっています。先先代にあたる方がスギを一所懸命に植林した結果であり、当時はスギの植林がブームとなっていたそうです。

 楢戸のブナ二次林は薪炭利用のための天然林の伐採後にミズナラ、ブナ、クリなどが混交した二次林が成立し、その後、ミズナラとクリがキノコの榾木生産のため取り除かれ、ブナの純林が成立し、現在に至っています。このように、楢戸のブナ二次林は集落裏に隣接し、人とブナの歴史的なつながりをあらわしています。

参加者の集合写真
▲参加者の集合写真

楢戸のブナ二次林
▲楢戸のブナ二次林
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2018年11月18日

『ただみ観察の森』観察会 第3弾「黒沢のコナラあがりこ林に行こう!」

 観察地は、柴倉山山麓にある通称薪平と呼ばれる場所にあり、立派なあがりこ型樹形のコナラを観察道に沿って見ることができます。これらは、主に集落の方が薪炭材目的に雪上伐採を続けてきた結果形成されたもので昔の人々の自然利用の歴史を伝える重要な文化遺産でもあります。

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 観察の森入口からすぐの急な坂を登ると、騒がしい小鳥の鳴き声が聞こえてきました。その正体は20〜30匹ほどのマヒワの群れでした。この時期は落葉が進み、鳥を観察しやすいので双眼鏡を持って現地に向かいました。鳥を見つけてからしばらく野鳥の観察会になり、全体でカケス、キツツキ類など合わせて6種類の鳥が観察できました。

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 実際のあがりこ型樹形のコナラを前に、あがりこの成立過程について観察しました。また、持参したこのあたりの古い写真を見ながら人々の自然物の利用について思いをはせました。

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6名の参加があり、文化的に価値の高いあがりこ型樹形のコナラや人々の過去の自然の利用について知れる良い機会となりました。

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posted by ブナ at 12:14| Comment(0) | 自然観察会