2024年02月18日

2月18日(土)「冬のブナ林観察会」開催報告

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2月18日(土)は、只見町深沢地区のブナ林を歩く観察会を開きました。町民11名・町外者8名、合計19名の参加がありました。
この冬の只見町は暖冬で、例年になく晴天・雨天が続いており、今が厳冬期であるにも関わらず雪がほとんど積もっていません。この日も2月とは思えない青空で、積雪深も只見の観測地点でわずか51pでした。
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そんな少雪とは言っても、舗装路から一歩外れれば雪の上です。希望者にはかんじきやスノーシューを履いていただいた上で、雪景色の林へ足を踏み入れました。
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ブナの樹皮に見える模様は、「地衣類」という生物が着生することで成立しています。地衣類とは菌類の一グループで、菌類の中に藻類が共生しているのが特徴です。ブナの樹皮にも様々な種の地衣類が着生しており、特に桃色の地衣類は、館長曰く他では見たことがなく、珍しい種ではないかとのことでした。
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息を切らせて斜面を登った先に、ブナの巨樹が5本聳え立っていました。深沢集落のすぐ裏山にありながら、原生林に見るような迫力ある姿です。ここのブナ林は、かつて伐採利用されていた二次林ですが、これらの巨樹は伐り倒すにはあまりに大きいことから伐採を免れ、今日まで生き永らえてきたと考えられます。
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中にはツキノワグマの古い爪痕が残るブナもあります。ブナの豊作年になると、ツキノワグマはブナの木に登り、春は花、秋は実を食べることが知られています。
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ブナの幹や枝にはしばしばコブが見られます。枝に見られるコブは、枝が落ちたりして傷付いた後に、ブナが病気などの侵入を防ぐために形成します。
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今回は2月としては好天に恵まれたブナ林観察会でした。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
posted by ブナ at 15:11| 自然観察会

2024年01月31日

「冬のブナ林観察会」開催のご案内

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 冬の余名沢の森を歩き、ブナ林を構成する樹木の積雪下での特徴をはじめ、野生動物の足跡や糞、枝の食痕などのフィールドサインを観察する予定です。積雪期の野生動植物の生態を学びませんか。

■開催日時:
 2024年2月17日(土)13:30〜15:30
■観察場所:
 余名沢の森(深沢集落)
■集合場所:
 「季の郷 湯ら里」駐車場(只見町長浜上平50)
■持ち物:
 防寒具上下、長靴あるいはトレッキングシューズ+スパッツ、
 手袋、帽子、スノーシューまたはかんじき(貸出可)
■参加費:
 高校生以上400円、小・中学生300円(入館料、保険料込み)
 町内の小・中学生・高校生、友の会会員は100円(保険料込み)
■定員:
 20名(事前予約制・お申込み締切は2/16(金)まで)
■注意事項:天候等によって開催内容を変更あるいは中止する場合があります。
■参加申込み・お問い合わせ先:
 只見町ブナセンター TEL 0241-72-8355
 午前9時〜午後5時(火曜休館)
posted by ブナ at 17:35| 自然観察会

2023年06月25日

6月25日(日) 野鳥観察会(毘沙沢)開催報告

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 2023年6月25日(日)、布沢地区の毘沙沢において「春から初夏の野鳥観察会」全5回の最終回を開催しました。今回は町民7名、町外からは県内5名、関東圏から3名、計15名の参加がありました。晴天に恵まれ、照り付ける日向では夏の暑さが感じられました。

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▲毘沙沢の景観

 毘沙沢は布沢地区の「大畑内沢」の奥地にあります。「毘沙沢」とは興味を惹く地名ですが、由来はわかっていないようです。菅根橋左岸の袂から南西へと伸びる林道に沿って、ナラ類を主体とした落葉樹林や、別荘地、廃田などがあります。今回の観察会では「森林の分校ふざわ」を拠点に、徒歩で毘沙沢への林道を往復するコースを設定しました。

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▲駐車場から撮影されたサシバ。左上は成鳥で縄張り個体、右下は若鳥で侵入個体と思われる

 分校ふざわの駐車場でさっそく、サシバの姿が目に入りました。成鳥や若鳥など4個体が次々と浮上し、上空を通過していきました。縄張り個体が侵入個体を追い払う、防衛行動の一場面だったと思われます。

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 菅根橋を渡った先の登り坂を行くと、左手のスギ林から「キョロロロロ…」というアカショウビンのさえずりが聞こえてきました。それも数分間に渡って鳴き続けたので、参加者全員が聞き取れたようです。ただ、目視は叶いませんでした。この登り坂では他にも、モズやカケス、キセキレイ、イカルなどが確認されました。
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▲カケス

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▲珍しい夏鳥・ノジコ。写真は5月に梁取地区にて撮影された雄

 別荘地から先へ進み、渓谷が狭くなった辺りで、ホオジロに似つつ、音節や鳴き終わりなどが若干異なるさえずりが聞こえてきました。ホオジロ科のノジコです。ノジコは世界的分布が狭く、日本の本州中・北部だけで局所的に繁殖する珍しい種として知られています。只見町では布沢地区のほか、塩沢地区でよく見られます。生息環境は藪のある林などですが、しばしば行動圏内に湿地などの水辺が隣接するパターンがあり、只見町の生息地でも同様の傾向があります。毘沙沢も、細い沢筋に沿って林縁や、湿地となった廃田が広がり、ノジコの生息条件を満たしていると思われます。残念ながら目視はできませんでした。

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▲オカトラノオ

 道中、オカトラノオが白い花を咲かせ始めていました。

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▲キバネセセリ。参加者にとまっている

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▲美しいハンノアオカミキリ

 昆虫も初夏の顔ぶれとなってきました。春はよく聞かれたエゾハルゼミの鳴き声はせず、替わって梅雨時に現れるニイニイゼミの「ヂー」という単調な鳴き声が聞かれるようになりました。チョウは明るい草地でヒメシジミが多く、林内では寒冷地に多いキバネセセリが2個体見られました。イネ科の草地では黄金色のナキイナゴもおり、「シリリリリ」という鳴き声がよく聞かれました。また、カミキリムシではブナ帯に多いコブヤハズカミキリや、青緑色に美しく光るハンノアオカミキリが見られ、後者の姿には感嘆の声が上がりました。

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▲換羽中と思われるゴジュウカラ

 復路の道すがら、落広林ではコゲラやヤマガラ、ゴジュウカラ、メジロの4種が群れている様子が観察できました。ヤマガラは巣立ち後間もない幼鳥が混ざっていました。ゴジュウカラは羽がぼろぼろで、羽が生え変わる「換羽」の最中と思われます。

▼今回の野鳥観察会で確認された種のリスト
(クリックすると別ウィンドウで開きます)
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 今回の野鳥観察会では、合計25種が確認されました。アカショウビンやノジコのさえずりをじっくり聞くことができたほか、サシバの活発な飛翔が見られました。巣立ったばかりのヤマガラの幼鳥や、オカトラノオなど梅雨時の動植物も多く見られ、季節の移り変わりを感じられる観察会になったと思います。ご参加下さった皆様、ありがとうございました。今年の秋冬にも、また野鳥観察会を企画したいと思います。
posted by ブナ at 19:10| 自然観察会

2023年05月28日

5月28日(日) 野鳥観察会(塩ノ岐地区)開催報告

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 2023年5月28日(日)、塩ノ岐地区において全5回の4回目となる「春から初夏の野鳥観察会」を開催しました。県内からは会津地方、県外からは関東圏から計13名の参加がありました。天候は曇りでしたが日の差す時間帯があり、蒸し暑さも感じられました。
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▲塩ノ岐地区の景観

 塩ノ岐地区では伊南川の支流である塩ノ岐川の谷筋に沿って、集落や農耕地(主に水田)が細く連なっています。この谷奥には、以前は峠越えの林道が整備されており、南会津町の小塩まで接続していましたが、2011年の水害以降は不通となっています。
 今回の観察会では、塩ノ岐公民館を出発して辰目沢の周辺を歩き、そこからは停めておいた車で移動して、間丸貝の集落やスギ林を歩くコースを設定しました。

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▲中央のスギの樹頂にサンショウクイがとまっているが、緑の背景に溶け込み、発見が難しくなっている

 5月下旬ともなるとすっかり緑が濃くなり、目視での探鳥が難しくなるため、鳴き声による識別が重要となってきます。耳を澄ませると、さっそく公民館の周辺からアカショウビンの鳴き声が聞こえてきました。「キョロロロロ…」という涼やかなさえずりは、例年5月の中・下旬から町内で聞かれるようになります。

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▲サシバ(撮影は下見時)

 町内の各支流では、谷あいに水田と林が隣接しており、典型的なサシバの生息環境となっています。塩ノ岐地区も同様の環境を備えているため、予想通りサシバが観察できました。まだ胸部に縦斑が残る若い個体で、下見の際にも同一と考えられる個体が確認されています。

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▲モリアオガエル

 サシバが好んで捕食する動物といえばカエルです。道路脇の貯水槽では、繁殖のため集まったモリアオガエルが3個体ほど見られました。色彩は写真のようにきれいな黄緑色から、暗褐色まで変異があるものの、一様に無斑なのがこの地域のモリアオガエルの特徴です。

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▲辰目沢

 途中から辰目沢に入りました。砂防堰堤までの作業道の往復では目当ての鳥は見つかりませんでしたが、オシドリやカルガモの姿が見られ、ウグイスやキビタキのさえずりも聞くことができました。また、辰目沢と塩ノ岐川の出合い近くの橋では恐らくイワツバメが営巣しており、間近を飛び交うイワツバメを観察できました。

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▲タケウチトゲアワフキ(体長5 mmほど)

 作業道沿いのオオバボダイジュの枝先には、背中に長いトゲのある変わった昆虫がいました。アワフキムシの1種で、タケウチトゲアワフキと言います。シナノキやオオバボダイジュの樹液を吸い、成虫は5〜6月に出現します。つい背中のトゲに触りたくなりますが、ジャンプ力に優れ、手を近づけるとピンと跳ねて逃げてしまいます。

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▲ホウチャクソウ

 草本では、ユリの仲間のホウチャクソウが見頃で、林床のそこかしこに花を咲かせていました。また、紫色のラショウモンカズラの花も満開を迎えていました。

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▲ゴジュウカラ

 西芦沢から車で移動した先、間丸貝周辺のスギ林では、ゴジュウカラを見ることができました。垂直な木の幹での活動を得意としています。その生態はさながらキツツキのようですが、スズメ目に属しています。観察された個体は、スギの樹皮の隙間に餌となる昆虫を探している様子でした。そのほか、遠くの山からは筒を打つような「ポポ、ポポ、ポポ」という規則正しいツツドリの鳴き声が聞かれました。

▼今回の野鳥観察会で確認された種のリスト
(クリックすると別ウィンドウで開きます)
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 今回の野鳥観察会では、合計27種が確認されました。夏の只見町を象徴するアカショウビンのさえずりが聞かれたほか、オシドリやサシバ、ゴジュウカラなどを見ることができました。また、モリアオガエルなどの両生類や、タケウチトゲアワフキなどの昆虫、それに草本も楽しめました。
 ご参加下さった皆様、ありがとうございました。
posted by ブナ at 18:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然観察会

2023年05月07日

5月6日(土)野鳥観察会(新田沢周辺)開催報告

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 2023年5月6日(土)、ただみ・ブナと川のミュージアム周辺および新田沢において全5回の3回目となる「春から初夏の野鳥観察会」を開催しました。GWの只中で集客効果もあったためか15名の参加があり、うち県外からは関東地方より5名の来訪がありました。天候は曇りで、涼しく動きやすい快適な条件でした。
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▲ただみ・ブナと川のミュージアムの周辺、新田沢の景観

 今回はミュージアム駐車場から出発して、只見川を渡り新田沢の作業道までを往復するコースです。2022年6月26日にも同じコースで野鳥観察会を開催しており、25種の鳥類が確認されています。
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▲カワセミ

 「ただみ・ブナと川のミュージアム」の周辺には、隣接する集落や養魚場、只見川公園があり、視界には山々の支尾根も目に入るため、思いのほか多くの野鳥が観察できます。はじめの声聞きでは、ムクドリやヒヨドリ、キビタキの鳴き声が聞こえてきました。また、只見川公園では「チー」と鳴くカワセミも見られました。
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▲鳴くサシバ

 サシバは、なわばり個体と思しき成鳥の雄と、侵入個体と思しき若鳥の2個体が、約300 m先の山麓部で干渉し合う様子を観察できました。また、アオサギやセキレイの仲間3種(キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ)も姿を見せました。
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新田沢は一部に残雪があり、一列になってこんな小山を乗り越える一幕も。
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▲オオルリ

 新田沢はオオルリの個体数が多く、行く先々でさえずる雄の姿が観察できるものの、大体は逆光で見上げる格好になってしまい、きれいな瑠璃色を見ることは困難です。しかし、写真の個体は道から見下ろせる対岸の枯れ木で長時間さえずっていたため、斜面が背景となって美しい瑠璃色を見ることができ、参加者からは歓声が上がりました。
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▲キバナイカリソウ

 主に日本海側に分布するイカリソウの変種です。船の錨のような花を咲かせます。イカリソウには複数の種が知られていますが、只見町ではキバナイカリソウだけが確認されています。
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▲スミレサイシン

 スミレも見頃で、ナガハシスミレやオオタチツボスミレなど、複数の種が見られました。
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▲トウホクサンショウウオの卵嚢

 斜面からの湧水でできた水溜まりには、トウホクサンショウウオの卵嚢も見られました。まだヤマアカガエルの卵塊もあり、町内でも平地と比べ雪解けの遅い山手では、産卵時期が遅いようです。

▼今回の野鳥観察会で確認された種のリスト
(クリックすると別ウィンドウで開きます)
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 今回の野鳥観察会では、合計34種が確認されました。種数としては前日に開催した石伏地区に並びました。これだけ多くの鳥類が確認できたのは、普段からバードウォッチングを嗜まれていて、自主的に見つけて下さった何人かの参加者の貢献があったからこそです。
 ミュージアム周辺ではアオサギやサシバ、カワセミを容易に見ることができました。新田沢ではクロツグミやキビタキの美しいさえずりを聞くことができ、特にオオルリの観察にはご満足いただけたようです。
 ご参加下さった皆様、ありがとうございました。
posted by ブナ at 10:20| 自然観察会