2018年08月09日

8月5日「浅草岳山麓 大久保沢のブナ林を観察しよう」

 去る、8月5日に浅草岳の只見沢登山沿いで夏の観察会を開催しました。
 只見沢登山道は、入り口の只見沢対岸に春先の雪崩により形成された雪食地形が卓越して見られ、その斜面には尾根のキタゴヨウ林、雪崩斜面のミヤマナラなどの低木林というふうにそれぞれの植物群落が成立するモザイク植生が成立しています。また、登山道沿いには、トチノキ・サワグルミなどが構成する山地渓畔林や自然度の高いブナ林を見ることができます。今回は、登山道入り口から大久保沢の水場を経由し、田子倉眺めまでの往復6qの行程で、ブナ林をはじめとして立地環境の違いによる成立している森林植生を観察しました。

 沢などの谷部では、斜面崩壊や沢の氾濫などの攪乱(生物の生息環境を変化させるできごと)がよく起こり、そうした場所ではそれに耐えることのできる植物が生育しています。只見町の渓畔林でよく見られるサワグルミはそうした攪乱初期や頻度の高い場所で生育することができます。そののちに環境が安定してくるとトチノキが生育します。そうした自然の遷移の流れを只見沢近くに見ることができます。
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サワグルミ林

 そうした沢の一段うえの土壌の安定した場所にブナ林が見られます。只見町のような豪雪地帯では、ブナ林内で見られる植物数は比較的少なく、高木層のほとんどをブナが占める純林を形成します。また、ブナ林は下層植生にササを伴うものが一般的ですが、観察地を含む只見川以西を中心に林床にユキツバキを伴うブナ−ユキツバキ群落が見られます。
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林床にユキツバキが生育するブナ林

 大久保沢の水場の前にはブナの巨木があり、その下に今年のブナの雄花がたくさん落ちていました。雄花や殻斗を手に取り、見てもらいながらブナの繁殖について説明しました。
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大久保沢の水場

 大久保沢の水場から傾斜がきつくなりどんどんと標高を上げていきます。周辺に見られていたブナ林も尾根周辺まで上がるとミヤマナラ、マルバマンサクなどの灌木が見られるばかりです。山の急な斜面では、雪崩に耐えることのできる灌木、尾根では貧栄養でも生きることのできるツツジなどの仲間が見られます。そうした周辺の植生の変化を堪能しながら、ガレ場を抜けると田子倉湖が一望できる折り返し地点の田子倉眺めにたどり着きました。

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田子倉眺め

 そこからは、田子倉ダムだけは無く、鬼ヵ面の万年雪や浅草岳頂上部などが一望できます。つらかった登りを抜けて見られる展望に参加者の方も驚嘆していました。

 今まで開催してきた観察会の中でも非常に大変な行程の観察会でありましたが、ブナ林をはじめとした森林植生や雪食地形などの只見町を代表とする自然景観等について広く知ってもらう良い機会となりました。

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田子倉眺めにて

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大久保沢の水場にて
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2018年07月23日

『ただみ観察の森』観察会 梁取の学びの森を歩こう!

 7月22日に梁取集落にある「ただみ観察の森」梁取のブナ林で観察会を開催しました。
「ただみ観察の森」は只見の自然を身近に体験し、理解してもらうための場所です。
 明和振興センターに集合してから、初めに観察の森や只見の自然の特徴などの説明を行い、そのあとブナ林に移動しました。

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今回の観察会では、見るだけではなく実際に巻き尺を使って胸高直径を計測したり、測高竿と樹高を見比べてみたりと参加者のみなさんにも体験してもらいました。また、ブナ林の下層にあるコシアブラやオオカメノキなどのほかの樹木と比較することで、ブナの葉にどんな特徴があるかなど考えてもらいながら観察を行いました。
ブナのほかにも、あがりこ型樹形のミズナラ・コナラを観察し、過去の地域住民による自然利用や森に生息するアカネズミについて説明をしました。どの説明もみなさん興味深く話を聞いてくださり有意義な時間を過ごすことができました。

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観察会には13名の方にご参加いただきました。ブナ林内は日陰となっているおかげで快適に過ごすことができ、爽やかなブナ林を楽しむことができました。
お暑い中、ご参加いただきありがとうございました!
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2018年06月24日

自然観察会「大谷地と周辺の森林植生を観察しよう」

 6月17日に布沢大田集落に位置する大谷地とその周辺の多様な森林植生について観察する観察会を開催しました。この観察会は16日に開催したブナセンター講座と同様に只見町公認自然ガイドの育成研修を一般公開したものです。

 今回の観察会は移動距離がそんなに長くなかったこともあり、道中の気になった植物など解説をしたりじっくり観察をしながら進みました。大谷地周辺には、只見町の代表的な森林植生であるブナ林のほか、地域住民による過去の薪炭材利用などを経て成立したナラ林や雪解け水や雨水で冠水するような凹地に成立するヤチダモ林があり、それぞれの森林の特徴や成立要因について説明がありました。

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観察会には、前日のブナセンター講座の講師にお招きした十日町市立里山科学館越後松之山「森の学校」キョロロの学芸員の小林誠氏にも同行いただき、環境によってブナ林の葉っぱの大きさが異なるなどのブナ林についてのお話や解説するときのポイントを教えていただき、公認ガイドの方々も一般の参加者の方もみんな熱心に耳を傾けていました。

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(ラミネート加工してあるものが関東のブナの葉っぱで、左手に持っているのが落ちていた葉っぱです。)

また、大谷地では公認ガイドさんから現在のスギ人工林に代わる前に立派なブナ林があったことをお話しいただきました。
当日は30名の方が参加し、様々な森林植生について学びながら景観を楽しんでいただき、和やかな観察会となりました。
posted by ブナ at 15:32| Comment(0) | イベント

ブナセンター講座「雪ふる里山を舞台とした環境教育の実践−自然体験を通じて「伝えたい」こと、「伝わる」こと−」

 6月16日(土)に十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロの学芸員である小林誠氏をお招きし、ブナセンター講座を行いました。今回の講座は只見町公認自然ガイドの育成研修として行われたものを一般の方にも公開したものです。

 講座では、只見町と同じく豪雪地帯である松之山の里山をフィールドとした博物館として取り組む地域づくりについてお話しがありました。キョロロでは環境教育の手段として市民と協力して調査をおこなったり、自然体験をおこなうことに力を入れているそうです。市民参加型調査を行うことで参加者に身近な生物多様性に気付いてもらえたり、地域の方から新しい知識をもらうことがあるといったこうした取り組みの効果や自然体験でのポイントなどを説明いただき、参加者だけでなく地域づくりを目指すブナセンターをしても非常に参考になるお話を伺うことができました。

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当日は23名が講座に参加し、質疑応答も活発に行われました。
講演を通して参加者が地域づくりについて考える有意義な時間となりました。
posted by ブナ at 14:47| Comment(0) | イベント

2018年05月10日

春の自然観察会「春植物を愛でる!」


前回の記事よりも前の出来事になりますが、5月4日に開催した黒谷川沿いで春の自然観察会「春植物を愛でる!」の様子をお伝えします。

当日、朝日振興センターで参加者の方々をお迎えしている間、どんどんと天気が荒れ始め観察会を短縮も懸念されましたが、観察会について説明をしているうちに徐々に晴れ始め、観察地に到着するころには雨もすっかり上がっていました。結果としてお天気に恵まれた和やかな観察会をおこなうことができました。

林道に入る前に、道のそばにカタクリが群生していたのでそこでカタクリの生活史について説明をし、1年目と数年目のカタクリの実生を比較して観察してもらいました。
カタクリは花をつけるまでに最短7〜8年かかり、1年目の実生は細い松の葉のような形状をしています。
また、葉が葉が2枚になって初めて花を咲かせるため、昔は「かたっぱ」(片葉)と呼ばれていました。
みなさん葉の形や大きさの違いを興味深そうに観察されていました。

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カタクリの1年目の実生(画像中央の下側にある細長い葉)

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カタクリの花と2年目以降の実生

林道に入ってからは、ヒトリシズカ、キバナイカリソウ、イタヤカエデなどの花を観察しながらフクジュソウ平を目指しました。
今年はフクジュソウ平のフクジュソウはすでに花が落ちて実をつけていましたが、林道下や残雪近くでは花を観察することができました。ここではパネルを使って、フクジュソウの生態やフクジュソウ平の雪崩斜面が生育に適していることなどを説明しました。

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フクジュソウの実(上)と花(下)

 今年は雪解けが早く春植物をみなさんに観察してもらえるか、天候が荒れていないだろうかと当日まで心配でハラハラドキドキしていましたが、無事に春植物を楽しんでいただくことができました。参加いただきありがとうございました!
posted by ブナ at 14:51| Comment(0) | イベント