2018年06月24日

自然観察会「大谷地と周辺の森林植生を観察しよう」

 6月17日に布沢大田集落に位置する大谷地とその周辺の多様な森林植生について観察する観察会を開催しました。この観察会は16日に開催したブナセンター講座と同様に只見町公認自然ガイドの育成研修を一般公開したものです。

 今回の観察会は移動距離がそんなに長くなかったこともあり、道中の気になった植物など解説をしたりじっくり観察をしながら進みました。大谷地周辺には、只見町の代表的な森林植生であるブナ林のほか、地域住民による過去の薪炭材利用などを経て成立したナラ林や雪解け水や雨水で冠水するような凹地に成立するヤチダモ林があり、それぞれの森林の特徴や成立要因について説明がありました。

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観察会には、前日のブナセンター講座の講師にお招きした十日町市立里山科学館越後松之山「森の学校」キョロロの学芸員の小林誠氏にも同行いただき、環境によってブナ林の葉っぱの大きさが異なるなどのブナ林についてのお話や解説するときのポイントを教えていただき、公認ガイドの方々も一般の参加者の方もみんな熱心に耳を傾けていました。

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(ラミネート加工してあるものが関東のブナの葉っぱで、左手に持っているのが落ちていた葉っぱです。)

また、大谷地では公認ガイドさんから現在のスギ人工林に代わる前に立派なブナ林があったことをお話しいただきました。
当日は30名の方が参加し、様々な森林植生について学びながら景観を楽しんでいただき、和やかな観察会となりました。
posted by ブナ at 15:32| Comment(0) | イベント

ブナセンター講座「雪ふる里山を舞台とした環境教育の実践−自然体験を通じて「伝えたい」こと、「伝わる」こと−」

 6月16日(土)に十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロの学芸員である小林誠氏をお招きし、ブナセンター講座を行いました。今回の講座は只見町公認自然ガイドの育成研修として行われたものを一般の方にも公開したものです。

 講座では、只見町と同じく豪雪地帯である松之山の里山をフィールドとした博物館として取り組む地域づくりについてお話しがありました。キョロロでは環境教育の手段として市民と協力して調査をおこなったり、自然体験をおこなうことに力を入れているそうです。市民参加型調査を行うことで参加者に身近な生物多様性に気付いてもらえたり、地域の方から新しい知識をもらうことがあるといったこうした取り組みの効果や自然体験でのポイントなどを説明いただき、参加者だけでなく地域づくりを目指すブナセンターをしても非常に参考になるお話を伺うことができました。

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当日は23名が講座に参加し、質疑応答も活発に行われました。
講演を通して参加者が地域づくりについて考える有意義な時間となりました。
posted by ブナ at 14:47| Comment(0) | イベント

2018年05月10日

春の自然観察会「春植物を愛でる!」


前回の記事よりも前の出来事になりますが、5月4日に開催した黒谷川沿いで春の自然観察会「春植物を愛でる!」の様子をお伝えします。

当日、朝日振興センターで参加者の方々をお迎えしている間、どんどんと天気が荒れ始め観察会を短縮も懸念されましたが、観察会について説明をしているうちに徐々に晴れ始め、観察地に到着するころには雨もすっかり上がっていました。結果としてお天気に恵まれた和やかな観察会をおこなうことができました。

林道に入る前に、道のそばにカタクリが群生していたのでそこでカタクリの生活史について説明をし、1年目と数年目のカタクリの実生を比較して観察してもらいました。
カタクリは花をつけるまでに最短7〜8年かかり、1年目の実生は細い松の葉のような形状をしています。
また、葉が葉が2枚になって初めて花を咲かせるため、昔は「かたっぱ」(片葉)と呼ばれていました。
みなさん葉の形や大きさの違いを興味深そうに観察されていました。

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カタクリの1年目の実生(画像中央の下側にある細長い葉)

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カタクリの花と2年目以降の実生

林道に入ってからは、ヒトリシズカ、キバナイカリソウ、イタヤカエデなどの花を観察しながらフクジュソウ平を目指しました。
今年はフクジュソウ平のフクジュソウはすでに花が落ちて実をつけていましたが、林道下や残雪近くでは花を観察することができました。ここではパネルを使って、フクジュソウの生態やフクジュソウ平の雪崩斜面が生育に適していることなどを説明しました。

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フクジュソウの実(上)と花(下)

 今年は雪解けが早く春植物をみなさんに観察してもらえるか、天候が荒れていないだろうかと当日まで心配でハラハラドキドキしていましたが、無事に春植物を楽しんでいただくことができました。参加いただきありがとうございました!
posted by ブナ at 14:51| Comment(0) | イベント

2018年05月09日

春の自然観察会「残雪のブナ林を歩く」

 5月5日に癒しの森で「残雪のブナ林を歩く」を開催しました。毎年ゴールデンウィークに春の観察会として癒しの森で観察会を行っています。観察会では、松坂峠に面する入り口から戸板山眺めまでのルートでブナの新緑を楽しみながら只見町の自然やそこに生育する植物の観察を行いました。
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癒しの森入り口

 森林の分校ふざわに集合した後に、乗り合わせで癒しの森へ向かいしました。癒しの森は只見町と金山町の国界にあり、入り口付近にはナラ、カラマツの人工林などが見られ、奥に進むと徐々にブナ林が見られます。国境の大ブナや青春広場と呼ばれるブナ二次林や勢子泣かせの坂など要所などがあります。

 癒しの森へ入り、あたりがブナ林に変わったところでブナについて説明を行いました。今年は、花を付けているものが多く、時折吹く強い風にブナの雄花が舞っていました。参加者の人にブナの雌花、雌花を手に取ってもらい説明をしました。

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ブナの大木

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ブナの雌花

 また、耳を澄ますと風で木が揺れる音に混じってイカルの鳴き声が聞こえてきたので、パネルを使って解説を行いました。

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 数年前に国界の大ブナが倒れて形成された大きなギャップ下には、タラノキなどの陽樹や亜高木のウリハダカエデ等が成長していました。ギャップができるとその周辺の植物が侵入したり、土壌に眠っていた種子(埋土種子)が発芽し、そのギャップを埋めます。そうした作用の中で只見町では最終的に極相種であるブナ林が形成されていきます。ここでは、森林の移り変わりの過程を観察することができました。

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国界の大ブナ

 癒しの森には、ブナ以外にもオオバボダイジュなどの大木を見ることができます。オオバボダイジュは只見ではシナノキと呼ばれ、その内皮をより合わせて物を運ぶ時にくくる縄として使っていました。

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オオバボダイジュの巨木

 戸板山眺めからの眺めを堪能してもらって帰路に着きました。
その周辺にはタムシバやムラサキヤシオ等の花を見ることができました。例年だとここにヤマザクラやイワウチワも加わるので、今年は少し寂しい感じがしました。

 天候による開催の中止も危ぶまれましたが、雨に降られることなく無事行うことができました。参加者の方たちはブナの新緑をはじめとした只見町の春の景観を楽しまれました。
posted by ブナ at 16:03| Comment(0) | イベント

2018年03月10日

ユネスコエコパーク特別セミナー「多雪環境のもとで生きる樹木の苦闘と強かさ」

 3月4日(日)にユネスコエコパーク特別セミナーを行いました。講師には雪森研究所、富山県立山カルデラ砂防博物館アドバイザーの杉田久志氏をお招きしました。当日は、28名の参加がありました。ご参加いただいた皆さまありがとうございました。

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 第一部では、日本が世界一の多雪地帯であることや積雪が樹木に及ぼす影響、豪雪地谷生きる樹木の成長戦略、積雪分布による植生の違いなど多雪地帯の植生を理解するための基礎的な知識についてお話がありました。

 第二部では、杉田氏が新潟県魚沼市と只見町にまたがる浅草岳でおこなわれた研究についてのお話がありました。
 浅草岳には、直立したブナの高木によって林冠が形成されるブナ高木林、根曲りの著しいブナによって構成されるブナ矮性林、樹高2〜4mのムシカリ、ミネカエデ、チシマザサなどによって形成される低木林、ヌマガヤ、カリヤスなどの草本により構成される草原が分布しています。これらの植生が尾根中央部にブナ矮性林、北〜西側にブナ林、南〜東側に低木林・草原というパターンで分布していたため、その要因として植生パターンが高木林<矮性林<低木林<草原の順に積雪深が変化しているのではないかと予測し調査しました。
 
 1979年〜1981年の3年間、ゴールデンウィーク季にコンパス測量を用いて積雪深の測定をしたところ、高木林と矮性林には差異がなく、高木林=矮性林<低木林<草原といった結果が得られました。また、傾斜で比較すると高木林は10〜25°、矮性林はそれより緩いあるいは急傾斜に分布していました。これは急傾斜では雪圧害、緩傾斜では沈降圧(積雪層が収縮により雪に埋まった物体を押し下げようとする力)や過湿、劣悪土壌のために高木の成長が阻害されているためと考えられました。

 講習の最後には活発な質疑応答もおこなわれ、自分たちが住んでいる地域が世界的に特異的な多雪地帯であること、その豪雪地帯に生きる樹木がどのような影響を受けているか、どのような戦略をとっているかについて知識を深めることができました。
posted by ブナ at 13:54| Comment(0) | イベント