2018年05月10日

春の自然観察会「春植物を愛でる!」


前回の記事よりも前の出来事になりますが、5月4日に開催した黒谷川沿いで春の自然観察会「春植物を愛でる!」の様子をお伝えします。

当日、朝日振興センターで参加者の方々をお迎えしている間、どんどんと天気が荒れ始め観察会を短縮も懸念されましたが、観察会について説明をしているうちに徐々に晴れ始め、観察地に到着するころには雨もすっかり上がっていました。結果としてお天気に恵まれた和やかな観察会をおこなうことができました。

林道に入る前に、道のそばにカタクリが群生していたのでそこでカタクリの生活史について説明をし、1年目と数年目のカタクリの実生を比較して観察してもらいました。
カタクリは花をつけるまでに最短7〜8年かかり、1年目の実生は細い松の葉のような形状をしています。
また、葉が葉が2枚になって初めて花を咲かせるため、昔は「かたっぱ」(片葉)と呼ばれていました。
みなさん葉の形や大きさの違いを興味深そうに観察されていました。

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カタクリの1年目の実生(画像中央の下側にある細長い葉)

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カタクリの花と2年目以降の実生

林道に入ってからは、ヒトリシズカ、キバナイカリソウ、イタヤカエデなどの花を観察しながらフクジュソウ平を目指しました。
今年はフクジュソウ平のフクジュソウはすでに花が落ちて実をつけていましたが、林道下や残雪近くでは花を観察することができました。ここではパネルを使って、フクジュソウの生態やフクジュソウ平の雪崩斜面が生育に適していることなどを説明しました。

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フクジュソウの実(上)と花(下)

 今年は雪解けが早く春植物をみなさんに観察してもらえるか、天候が荒れていないだろうかと当日まで心配でハラハラドキドキしていましたが、無事に春植物を楽しんでいただくことができました。参加いただきありがとうございました!
posted by ブナ at 14:51| Comment(0) | イベント

2018年05月09日

春の自然観察会「残雪のブナ林を歩く」

 5月5日に癒しの森で「残雪のブナ林を歩く」を開催しました。毎年ゴールデンウィークに春の観察会として癒しの森で観察会を行っています。観察会では、松坂峠に面する入り口から戸板山眺めまでのルートでブナの新緑を楽しみながら只見町の自然やそこに生育する植物の観察を行いました。
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癒しの森入り口

 森林の分校ふざわに集合した後に、乗り合わせで癒しの森へ向かいしました。癒しの森は只見町と金山町の国界にあり、入り口付近にはナラ、カラマツの人工林などが見られ、奥に進むと徐々にブナ林が見られます。国境の大ブナや青春広場と呼ばれるブナ二次林や勢子泣かせの坂など要所などがあります。

 癒しの森へ入り、あたりがブナ林に変わったところでブナについて説明を行いました。今年は、花を付けているものが多く、時折吹く強い風にブナの雄花が舞っていました。参加者の人にブナの雌花、雌花を手に取ってもらい説明をしました。

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ブナの大木

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ブナの雌花

 また、耳を澄ますと風で木が揺れる音に混じってイカルの鳴き声が聞こえてきたので、パネルを使って解説を行いました。

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 数年前に国界の大ブナが倒れて形成された大きなギャップ下には、タラノキなどの陽樹や亜高木のウリハダカエデ等が成長していました。ギャップができるとその周辺の植物が侵入したり、土壌に眠っていた種子(埋土種子)が発芽し、そのギャップを埋めます。そうした作用の中で只見町では最終的に極相種であるブナ林が形成されていきます。ここでは、森林の移り変わりの過程を観察することができました。

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国界の大ブナ

 癒しの森には、ブナ以外にもオオバボダイジュなどの大木を見ることができます。オオバボダイジュは只見ではシナノキと呼ばれ、その内皮をより合わせて物を運ぶ時にくくる縄として使っていました。

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オオバボダイジュの巨木

 戸板山眺めからの眺めを堪能してもらって帰路に着きました。
その周辺にはタムシバやムラサキヤシオ等の花を見ることができました。例年だとここにヤマザクラやイワウチワも加わるので、今年は少し寂しい感じがしました。

 天候による開催の中止も危ぶまれましたが、雨に降られることなく無事行うことができました。参加者の方たちはブナの新緑をはじめとした只見町の春の景観を楽しまれました。
posted by ブナ at 16:03| Comment(0) | イベント

2018年03月10日

ユネスコエコパーク特別セミナー「多雪環境のもとで生きる樹木の苦闘と強かさ」

 3月4日(日)にユネスコエコパーク特別セミナーを行いました。講師には雪森研究所、富山県立山カルデラ砂防博物館アドバイザーの杉田久志氏をお招きしました。当日は、28名の参加がありました。ご参加いただいた皆さまありがとうございました。

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 第一部では、日本が世界一の多雪地帯であることや積雪が樹木に及ぼす影響、豪雪地谷生きる樹木の成長戦略、積雪分布による植生の違いなど多雪地帯の植生を理解するための基礎的な知識についてお話がありました。

 第二部では、杉田氏が新潟県魚沼市と只見町にまたがる浅草岳でおこなわれた研究についてのお話がありました。
 浅草岳には、直立したブナの高木によって林冠が形成されるブナ高木林、根曲りの著しいブナによって構成されるブナ矮性林、樹高2〜4mのムシカリ、ミネカエデ、チシマザサなどによって形成される低木林、ヌマガヤ、カリヤスなどの草本により構成される草原が分布しています。これらの植生が尾根中央部にブナ矮性林、北〜西側にブナ林、南〜東側に低木林・草原というパターンで分布していたため、その要因として植生パターンが高木林<矮性林<低木林<草原の順に積雪深が変化しているのではないかと予測し調査しました。
 
 1979年〜1981年の3年間、ゴールデンウィーク季にコンパス測量を用いて積雪深の測定をしたところ、高木林と矮性林には差異がなく、高木林=矮性林<低木林<草原といった結果が得られました。また、傾斜で比較すると高木林は10〜25°、矮性林はそれより緩いあるいは急傾斜に分布していました。これは急傾斜では雪圧害、緩傾斜では沈降圧(積雪層が収縮により雪に埋まった物体を押し下げようとする力)や過湿、劣悪土壌のために高木の成長が阻害されているためと考えられました。

 講習の最後には活発な質疑応答もおこなわれ、自分たちが住んでいる地域が世界的に特異的な多雪地帯であること、その豪雪地帯に生きる樹木がどのような影響を受けているか、どのような戦略をとっているかについて知識を深めることができました。
posted by ブナ at 13:54| Comment(0) | イベント

2018年03月07日

小学校の野外活動に同行しました

昨日、町内の小学校の自然観察会に同行しました。
この日は3年生と4年生とが、スノーシューを履いて雪上を歩き森に入りました。

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児童の前で冬芽の解説をしているのは、町の公認ガイドの方です。尾瀬などでもガイドをしておられるベテランです。樹木の生態や見分け方について説明してくれました。

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子どもたちは、雪の上のフィールドサイン(けものの足跡)を見つけたり、樹皮を拾ったり、雪の中から種子を掘りだしたり、雪の上のユスリカを発見したり。じっくりと自然を観察していました。このところ雨が多く、雪は少しぬかり気味で転ぶ子どもも多かったのですが、雪と戯れ、とても楽しんでいました。

★★★
その後、町内で最も早くフクジュソウが咲くと言われる場所へ行ってみました。
フクジュソウの芽が出ていました!

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フキノトウもさっそく咲いていました。春がゆっくりとやってきています。

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イベントのご案内です。

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3月18日(土)に自然観察会を行います。子どもたちと同じようにスノーシューやかんじきを履いて雪の上を歩き、今度はブナの森に行きます!雪の中で越冬する植物の様子を観察したり、動物の痕跡や野鳥を探し、残り少ない豪雪地帯只見町の冬を楽しみましょう!現在、参加者募集中です。お誘いあわせの上、ぜひご参加ください!
観察場所や時間など詳しくはこちらをご覧ください。
posted by ブナ at 15:14| イベント

2018年02月28日

座談会「狩猟者に聞く 只見町の狩猟と自然との関わり」を開催しました

クマの巻狩猟(まきがりりょう)の経験を持つ只見町民お二人をお招きし、只見町の狩猟をテーマにした座談会を開催しました。

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<座談会の様子>

話し手としてお招きした小椋紀一さん(小林)と渡部民夫さん(小川)はどちらも50年近くに渡り狩猟を続けており、町内でも数少ないクマの巻狩猟の経験を持つ方です。

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<小椋 紀一 さん>

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<渡部 民夫 さん> 

初めに昭和50年代頃に撮影された田子倉で行われたクマの巻狩猟の映像を見た後、小椋さんにその狩猟方法についてご説明いただきました。巻狩猟とは集団で行う狩猟のことで特にカモシカやツキノワグマといった大型獣を捕獲する際に行う猟法です。クマの巻狩猟では、猟全体の仕切りを担い指示を出すメアテがクマのいる斜面の対岸の山に陣取り、尾根に撃ち手(イテ)が配置され、そこに向かって谷から勢子(セコ)が声をあげながらクマを追い上げ、撃つポイント(ブチバ)まで導き仕留めていました。

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<クマの巻狩猟の映像を見る参加者>

 巻狩の勢子についての説明で小椋さんは「カミノセコナラセ」(上流側にクマが逸れているから勢子は声を出せ)と会場に響き渡るような大きな声を出し、参加者は驚いていました。勢子もそうですが、トランシーバーなどが無い時代にはメアテも声や動きで巻狩の指示を出していたということです。

 また、只見町の巻狩猟は秋田マタギによる影響が及んでおり、クマの巻狩に関して儀礼などが存在しています。渡部氏がクマの巻狩を始めた頃には、剥いだ皮をクマに反対に被せて呪文を唱えたり、クマから臓器を取り出し木に刺して置いたりしていたそうです。巻狩の間は死という言葉を使うことは禁忌とされ、使うと川で沐浴させられひどく怒られたとのことです。

お二人にとって狩猟対象としてクマは特別なもので、共通していたのは1つにお金になったことでした。また、他の狩猟と比べて仲間で一致団結し絆が強かった、クマは他の狩猟鳥獣と違い反撃されることがあるという危機感があるので初めて撃った時には感動して体が震えたなどといったお話からクマが特別な存在であることが感じられました。

50年近く狩猟を続けてきた中で気づいた自然の変化は、まずウサギ、ヤマドリが減ったということでした。30年くらい前には、ウサギの巻狩1回で10数羽獲れた時もあったとの話でした。昔は防寒着としての毛皮の需要が多く、テン、イタチなどウサギの天敵となる肉食獣も多く狩猟していましたが需要の低迷によりほとんど獲らなくなったことが起因しているのではないかということでした。また、ニホンジカ、イノシシなど只見町であまり見られなかった動物が増えており、時期として20年前ぐらいから見るようになったそうです。渡部さんは今年只見町でニホンジカを10数頭獲ったということなので、私たちが思っている以上に数が多いのかもしれません。

最後に、只見町の狩猟の今後についてお聞きしました。全国的に問題となっている狩猟者の高齢化、減少が只見町でもおこっているので、若い狩猟者が増えて欲しいと語られました。

今回の座談会を通して、昔盛んに行われていたクマの巻狩猟の姿を知ること、また、クマの巻狩猟は狩猟の中でも特別なものとして行われていたことを知ることができました。そして、クマの巻狩猟を始めとした只見町で行われていた狩猟について、実際に行った経験のある方々が少なくなっていく中で、記録する必要性があることを強く感じました。

座談会には、町内外から17名の参加がありました。次々に話される狩猟の話に参加者の方たちも興味深く聞かれ、活発な質疑が行われ、盛況のもと終えることができました。

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<座談会の終わった後も話を聞きに集まる参加者>
posted by ブナ at 10:50| Comment(0) | イベント