2016年03月18日

ブナセンター講座「葉と花の戦略と絶滅危惧種の保全」

さる3月13日(日)に、鷲谷いづみ氏(中央大学・教授)を講師にお招きし、植物が生き残り、子孫を残すためにとっている方法(戦略)と植物の保全についてお話しいただきました。鷲谷氏は、生態学をご専門とし、実践的な保全生態学研究を行っておられます。かいつまんで内容をご紹介します。

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講演をする鷲谷氏

はじめに植物と動物の違いについてのご説明がありました。植物の特徴として動けないことがありますが、他にも、目や手足の数が決まっている動物とは違って、成長に伴って葉や枝を増やす点が違います。前者をユニタリー生物、後者をモジュール生物と言うそうです。モジュール生物は、例えるとブロックのようなもの。色んな方向に増やしていくことができるので、植物は空間に合わせて柔軟に形を変えることができるのです。

また、ひとつの芽生えから複数の個体(株)ができます。これらは同じ遺伝子を持つので、いわゆるクローン個体です。場合によっては、かなり広い面積をクローン個体が占めることもあり、一見すると大規模群落なのに遺伝的には1個体でしかないこともあるそうです。

次に植物の葉や花の機能について説明がありました。主な機能は、栄養成長、貯蔵、防御、繁殖です。様々な植物が存在しますが、それらの違いはこの機能のバランスを反映しているとのだとか。
また、葉と花の戦略として、葉や枝の配置を柔軟に変える、強すぎる日差しから葉を守るために日中に光合成速度を低下させる昼寝をする、寒い冬は葉を落として安全な場所に栄養分を貯蔵する、花や実の形態で虫や鳥を引きるといったものが紹介されました。

最後に、鷲谷氏が長年研究されてきたサクラソウを中心に、植物を保全する際に必要となる考え方についてお話しいただきました。河川の氾濫や人為的な間伐や採取といった適度な攪乱が生物多様性を高めることや、攪乱後の回復を予測するための要素、花粉や種子を運ぶ動物も含めた保全の必要性など。

参加者からは、植物の生態や保全方法についての疑問についての質問があがりました。鷲谷氏は、それらの質問に丁寧に回答してくださいました。町内外の42名が参加されましたが、参加者からは、わかりやすかった、面白かった、野菜を育てる参考になったという満足の声が聞かれました。

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会場いっぱいの参加者
posted by ブナ at 17:06| ブナセンター講座

2015年12月20日

ブナセンター講座「自然の恵みの活かし方〜今までもユネスコエコパーク登録後も」

12月19日(土)にブナセンター講座を開催しました。

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日本MAB計画委員会委員長の松田裕之氏を講師にお招きしました。日本MAB計画委員会は、ユネスコエコパークへの登録を目指す地方自治体へのアドバイスや登録後の活動の支援を行う専門家集団です。

ユネスコエコパークはユネスコのMAB計画の中で実行されており、始めにユネスコやMAB計画の理念や考え方についてお話しいただきました。ユネスコの事業の核となる理念は「人を育てる」ことにあるそうです。自ら自然を守り、地域の暮らしに生かしていく人を育てることが大切だと松田氏は強調されました。

そして、他国のユネスコエコパークの事例をご紹介いただき、その中から見えてくる只見ユネスコエコパークの特徴をご説明くださいました。まず、組織と管理体制が整っている点、調査研究が実行されている点、ほかに移行地域が緩衝地域に囲まれているという特徴が指摘されました。

ユネスコは、BR(日本国内ではユネスコエコパークとしています)登録地間の交流を重視しています。2013年に只見町において第1回日本ユネスコエコパークネットワーク会合が開かれましたが、このような国内ネットワーク会議を行っている国は日本だけという事です。登録地では、ユネスコエコパークに登録されたことで築かれる登録地間や科学者、企業、都市域とのネットワークや交流を使いこなすことで、地域を活性化することが提言されました。只見町ユネスコエコパークについて改めて考える機会となりました。

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posted by ブナ at 11:47| ブナセンター講座

2015年12月07日

ブナセンター講座「自然の恵みの活かし方−今までもユネスコエコパーク登録後も−」および企画展「只見町の生物多様性を考える」を開催します。

只見町ブナセンターでは、自然環境に関する専門家をお招きして年に数回のブナセンター講座を開催しています。昨年、只見町がユネスコエコパークに登録されたことをうけて、今回の講座では横浜国立大学大学院の松田裕之教授をお招きして、ユネスコエコパークと只見町の自然資源の利用についての講演をしていただきます。興味のある方は、ぜひご参加ください。

演題:自然の恵みの活かし方−今までもユネスコエコパーク登録後も−
日時:12月19日(土)13:30〜15:00
場所:只見町ブナセンター セミナー室
講師:松田裕之 氏(横浜国立大学大学院教授)
【講演要旨】
ユネスコMAB(人間と生物圏)計画は、自然の恵みを末長く生かす地域の取り組みを奨励し、その世界のモデル地域をユネスコエコパーク(生物圏保存地域、BR)に登録しています。来年3月に8年ぶりの第4回世界BR会議がリマで開催され、今後10年間のMAB活動の指針となるリマ行動計画が採択されます。その中でも、地域の自然を知り、守り、育て、末長く使い続ける仕組みを考え、その知恵と経験を世界と交流することが謳われています。本講演では、特に只見の特徴を踏まえた自然の恵みの今後の活かし方を皆さんとともに考えてみたいと思います。
※ブナセンター講座の聴講には入館料(大人300円、小中学生200円)が必要です。

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併せて、12月19日(土)より、新しい企画展「只見町の生物多様性を考える」も開催します。企画展では、生物多様性の視点から只見町の自然とそこで暮らす生き物たちを紹介します。こちらもどうぞご覧下さい。

企画展名:「只見町の生物多様性を考える」
期間:2015年12月19日(土)〜2016年2月29日(月)
場所:只見町ブナセンター 2階ギャラリー
※企画展の観覧には入館料(大人300円、小中学生200円)が必要です。

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posted by ブナ at 10:39| Comment(0) | ブナセンター講座

2015年12月06日

ブナセンター講座「只見町の昔を聞く」を開催しました。

本格的な冬の寒さが訪れた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

只見町ブナセンターでは、12月5日(土)にブナセンター講座「只見町の昔を聞く」を開催しました。
当日は、寒い上に雨という生憎の天気でしたが、足元が悪い中、33名の方々に参加していただきました。

今回の講座では、昔の只見町について詳しい菅家誠也さん(只見)、飯塚恒夫さん(坂田)、星文孝さん(黒谷)の3名を講師としてお招きし、座談会形式で只見町の昔の様子について写真を見ながらお話していただきました。

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まず、菅家誠也さんには、明治から昭和初期まで只見町で養蚕を行っていた南光社についてお話いただきました。明治時代に曽祖父が南光社を立ち上げたときの苦労話や養蚕を盛んに行っていた当時の様子を、当時撮られた写真や使われていたラベルを見ながら説明していただきました。
従業員のために1日4斗(約60kg)の米を炊いていたことや当時は水車小屋で機械を動かしていたことなど、当時の様子に皆さん驚かれていました。

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飯塚恒夫さんには、只見町で養蚕をどのように発展させてきたのかについて説明していただきました。只見町の自然環境に合った蚕や桑を探した当時の話や八十里越の峠道に昔あった小屋の写真など、町の人たちでもなかなか知らないことを紹介していただきました。

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最後に、星文孝さんからは、これまで使われていた様々なカメラの紹介を通して、只見町において写真がどのように変わってきたかをお話していただきました。さらに、これまで撮ってきた写真の紹介やこれから撮りたい写真についても話され、今後は風景だけではなく人の生活を記録した写真を撮りたいとおっしゃっていました。

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参加者からは、南光社の取引の状況や今回紹介した写真などについての質問がされたほか、参加者自身が体験した養蚕の話が出るなど、とても賑やかな講座になりました。

只見町ブナセンターでは、今後も様々な分野の講師をお招きし、ブナセンター講座を行います。
12月19日(土)には、横浜国立大学大学院の松田裕之教授をお招きして、「自然の恵みの活かし方−今までもユネスコエコパーク登録後も−」を開催します。お誘いあわせのうえ、ぜひご参加ください。


posted by ブナ at 14:23| Comment(0) | ブナセンター講座

2015年10月30日

10月24日にブナセンター講座「ニセアカシアの生態と管理 外来種の脅威」を開催しました。

森林生態学を専門にされていて、特に河畔林が、どのように成立しているかということを研究されている崎尾均氏(新潟大学教授)をお招きして、河畔林への侵入が問題になっているニセアカシアについてお話しいただきました。
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ニセアカシアは北米原産のマメ科植物で明治初期に日本に持ち込まれたといわれていて、現在では全国の河畔林を中心に分布しています。
治山や砂防のために有用な緑化植物として日本各地に導入されたという過去があります。日本では養蜂するときに、重要な蜜源でもあります。

ニセアカシアは種子による繁殖だけではなく、根から芽をだす根萌芽も盛んに行い繁殖します。
導入された場所から種子が河川などを流れて分布範囲を拡大させ、根萌芽によって侵入した場所で大きな群落を形成し、在来の植物の生育場所を奪っていることが問題になっています。

また、除去するためには、ただ伐採しただけでは萌芽、根萌芽によって逆に繁茂してしまいます。
このこともニセアカシアの侵入の問題解決をいっそう難しくしています。
除去するためには根気強く、周期的に伐採を繰り返す必要があります。

講座の終盤には伊南川へのニセアカシアの侵入状況をお話していただきました。

山間地では遠い存在のように感じる外来種も着実に侵入している状況が分かりました。
「外来種の脅威」と外来種の侵入に対して危機感を煽る講座タイトルでしたが崎尾氏の軽妙な話題に笑いが起こる一幕もあり楽しく、ためになる講座になりました。
posted by ブナ at 12:46| Comment(0) | ブナセンター講座