2018年07月05日

ブナセンター講座「工芸―自然と人をつなぐものづくり」

気温が30度を超える真夏日になることもあり、すっかり夏の到来を感じます。

7月1日(日)にただみ・ブナと川のミュージアム セミナー室でブナセンター講座を開催しました。
今回は福島県立博物館専門学芸員の小林めぐみ氏をお招きして、「工芸―自然と人をつなぐものづくり」というタイトルで行いました。

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小林氏は喜多方の漆掻き職人さんの作業の様子を見た際に、”工芸は自然から分けてもらっているものだ”という気づきがあったそうです。そこから、自然と人との関わりについて福島県内の工芸品と産地の事例を交えながらお話がありました。
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講演の途中、現在ブナと川のミュージアム2階ギャラリーで行われている企画展アーカイブ「只見の手工芸」の会場に移動し、ギャラリートークが行われました。
参加者の方から積極的に質問が出たり、講師の方から町民の方に質問がされたりしました。

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その後セミナー室に戻り、講演の後半では、伝統的なものづくりや文化を残し、伝える方法のひとつとしてアートプロジェクトの紹介がされました。小林氏が携わった福島県内で行われたアートプロジェクトの中で、アーティストが地域に入り、それぞれの視点で地域の伝統文化やものづくりを発信した様子を知ることができました。

また、講演の中では自然の恵みを活かしながら、雪降る冬の間に手仕事をする只見地域の伝統的な暮らしの豊かさについても触れられました。そういった文化、暮らしを継承し、知らない人にむけて発信して欲しい、ぜひ手本となっていってほしいというお話がありました。

講座には約30名の方が参加され、漆掻きの映像やプロジェクトの紹介を皆さん興味深くご覧になっていました。
自然と人とが共生する社会を目指すユネスコエコパークの理念と繋がるお話が多くあり、只見ユネスコエコパークの推進拠点であるブナセンターにとっても非常に参考になるご講演でした。

引き続きブナと川のミュージアム2階ギャラリーでは企画展アーカイブ「只見の手工芸」を開催しています。みなさまぜひお越し下さい。

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2018年04月02日

ブナセンター講座「野生動植物を守るために−生物多様性保全の科学と社会学」

いよいよ新年度がスタートしました!「ただみ・ブナと川のミュージアム」は平成21年10月にオープンし、今年9回目の春を迎えることになります。「ふるさと館田子倉」は平成28年11月にオープンしました。まだまだ成長段階のふたつの施設ですが、今年度もますます充実した活動ができるよう頑張りますので、応援をよろしくお願いします!

さて、年度末も押しせまった3月31日にブナセンター講座を開催しましたのでご報告します。

講師は、福島大学共生システム理工学類・教授の黒沢高秀氏です。黒沢氏は植物分類学および生態学を専門とし、特にアジア産トウダイグサ科の分類について研究されています。また、福島県内各地で植物相の調査を行っています。その成果を県内の自然環境の保全活動に活用し、2017年に公表された福島県のレッドリストの改訂にも関わられました。そのほか、地域の人たちに自然について知ってもらう活動にも取り組んでおられます。

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講座は、はじめに生物多様性保全の基礎的な知識についてお話しいただき、続いて自然環境を保全するための基本的な考え方について県内外の具体的な事例を取り上げて解説していただきました。最後に、只見町において、自然環境を保全していくために注意する点などについてまとめてくださいました。

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問題を出して参加者に考えさせるなど、参加者自身が能動的に考えることができるよう工夫してお話をしてくださいました。講座には、26名の方が参加し、自然環境を保全していくための考え方について改めて認識する機会となりました。

posted by ブナ at 10:55| ブナセンター講座

2017年09月29日

ブナセンター講座「只見町の湿原ー植生から見た多様性」

 9月23日に、只見町の湿原をテーマにブナセンター講座を開催しましたので、ご報告します。

 本講座では、只見自然環境基礎調査事業として実施した町内全域の湿原調査をおこなわれた国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所の菊地賢氏を講師にお招きし、調査結果について解説をいただきました。

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 ▲講師の菊地賢氏と受講者

 はじめに、一般的な湿原の成立過程や湿原にみられる代表的な植物についてお話を伺った後、調査をおこなった町内7か所の湿原のそれぞれの特徴などについて解説いただきました。
 
本講座には、16名の方が参加し、只見町の湿原とその植生の多様性について理解を深めるとともに、湿原が地域の生物多様性を保全する上で重要な生態系であるため今後も湿原を適正に評価・保全していく必要性を改めて認識することができました。

 湿原調査の結果は、現在2階ギャラリーにて開催しております、特別企画展「只見の湿原ーその生態と歴史」の展示パネルでもご覧いただけます。ぜひ、ご来館ください。


posted by ブナ at 16:39| Comment(0) | ブナセンター講座

2017年07月30日

日本海要素植物のブナセンター講座と自然観察会

7月17日まで開催していた企画展「多雪地帯に生きる 日本海要素植物」に関連し、ブナセンター講座と観察会を行いました。遅くなりましたが、ご報告します。

ブナセンター講座「雪を味方につけた植物たち」 7月15日(土)

本講座では、首都大学東京・牧野標本館の加藤英寿氏に講師をしていただきました。加藤氏は、植物分類、進化、生物多様性などを専門に研究されています。平成25年度の「自然首都・只見」学術調査研究助成を受託し、蒲生岳に生育するツクバネウツギ属の分類を研究され、その成果はブナセンター紀要No.4に掲載されています。

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▲講師の加藤英寿氏と聴講者

雪が植物の生育に与える影響や日本海側を中心に分布する植物(日本海要素植物)と太平洋側に分布する対照種との形態的な違い、多雪環境に適応した植物の生理・生態などについて解説していただきました。ハイイヌガヤやエゾユズリハ、ユキツバキ、ヒメアオキなど只見町では身近な植物を主な話題として取り上げていただきました。講座は22名が聴講し、雪という只見町の最も特徴的な自然環境と植物の関係について理解を深めることができました。

自然観察会「夏のブナ林で日本海要素植物を観察しよう!」 7月16日(日)

講座に引き続き、日本海要素植物を観察する自然観察会を「蒲生集落 あがりこの森」(ただみ観察の森)で開催しました。

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▲蒲生川沿いの雪食地形も観察しました

「蒲生集落 あがりこの森」は、ブナ林で、林床にはユキツバキやエゾユズリハ、ツルアリドウシといった日本海要素植物が生育しています。ブナセンター講座で講師をしていただいた加藤英寿氏に、ユキツバキの地面を這うような樹形、エゾユズリハの古い葉と新しい葉の色の違いなど、実際の植物を見ながら、その生態や生育環境について解説していただきました。
 
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▲日本海要素植物の解説を受ける参加者

また、この森は、かつての真名川集落で薪炭材の採取のために利用しており、その痕跡があがりこ型樹形のブナ、かじご焼きの穴として残されています。

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▲あがりこ型樹形のブナ
 
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▲かじご焼きの痕跡

町内外の23名が参加し、私たちに身近な日本海要素植物についてあらためて学びました。
posted by ブナ at 12:05| ブナセンター講座

2017年02月04日

座談会「只見町の編む伝統を聞く」

只見町では、身近な植物を材料として、日用品を編む伝統文化が残っています。例えば、マタタビやアケビのツルを使ったザル、ヒロロ(ミヤマカンスゲ)を使ったカゴなどです。ただみ・ブナと川のミュージアムでは、現在、この編む伝統文化をテーマにした企画展「伝統を編む人々〜只見町とボルネオ島と」を開催しています。

今回の座談会では、この企画展に関連して、編む伝統文化を受け継ぐ町内の方を話し手としてお招きし、お話をお聞きしました。

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編むことを始めて5年、研究熱心な齋藤文良さん
明和民芸品保存会の会長で多様な民具づくりに取り組む馬場敏郎さん
繊細なヒロロのバックを編む佐藤恒雄さん
アケビヅルの皮をむいて手間をかけた丁寧なザルを編む酒井洋子さん
伝統文化を受け継ぐ試みを始めた若手の三瓶こずえさん

 はじめに、話し手の方が作ったカゴやザルを披露しながら、編み始めたきっかけについて伺いました。敏郎さんと恒雄さんは、子どもの頃から縄よりやワラジづくりなどをよくやったそうです。仕事についていた頃はやっていませんでしたが、退職して作ってみっかなと再び始めたそうです。洋子さんは、お舅さんが作っていて、教えてもらったそうです。文良さんは、定年後に、作られたカゴやザルを見てこれならと編むことをはじめ、明和民芸品保存会で先輩に教わっています。こずえさんは、只見町の伝統文化を受け継ぎたいと様々な試みを始めています。

この会に参加したのは、町内を中心に22名でした。ツル細工などをされる方も多く、質問はありますかと聞くと、次から次へとたくさんの質問が出ました。材料となる植物を採る時期、質の良い材料の見分け方、材の加工や保存方法、ザルやカゴの使い方などなど。実際に作っている方からしか聞けない貴重なコツを教えていただきました。

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最後に、話し手のみなさんにこれからやりたいことなどを伺いました。文良さんは、民芸品保存会の仲間を増やしたい、ゆくゆくは只見町全体がひとつになって民芸品作りを盛り上げ、ユネスコエコパークの一環として町外に発信していきたいという意気込みを話してくださいました。敏郎さんからは、昔は編む技術は「見て習え」で教えてもらえなかったが、民芸品保存会として後継者の育成のために惜しげなく技術を伝えていきたいというお言葉をいただきました。恒雄さんは、覚えたいという人たちをしっかりと育てていきたい。洋子さんからは、教えるのは無理だが、編み続けていきたい、アケビヅルで遊びたいとおっしゃっていました。こずえさんからは、町内で活動するまたたび屋の紹介がありました。町内には現在、明和民芸品保存会、朝日マタタビクラブ、只見民芸品保存会、またたび屋の4つのグループがあり、冬期を中心に活動しています。それぞれのグループで新しい人の加入を積極的に受け入れています。

会場全体がひとつとなって、座談会を盛り上げてくださいました。参加者からは、面白かった、よかったとのお声をいただき、充実した座談会となりました。
posted by ブナ at 11:23| ブナセンター講座