2022年12月03日

12月の講座・観察会のお知らせ

ただみ・ブナと川のミュージアムで開催中の企画展「自然素材を活かす技 〜木地、編み組、草木染めと伝承産品の魅力〜」に関連する講座が12月17日(土)に「只見振興センター」にて催されます。同日には、深沢地区での自然観察会も予定しております。

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講座「自然を活かした里山の知を地域博物館で『見える化』する」

▼日時:2022年12月17日(土)10:00〜12:00
▼場所:只見振興センター 1階 集会室(只見町只見宮前1390)
▼講師:小林 誠 氏(十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロ学芸員)
▼参加費:無料

観察会「冬のブナ林観察会」

▼日時:2022年12月17日(土)13:30〜15:30
▼集合場所:「季の郷 湯ら里」駐車場(只見町長浜上平50)
▼持ち物:防寒具、ホットドリンク、マスク、スノーシューまたはかんじき
▼参加費:高校生以上400円、小・中学生300円
     町内在住の小・中学生および高校生100円(保険料込み)
▼定員:15名(事前予約制 ※締切は12月16日(金))
▼申込み:只見町ブナセンターまで(電話 0241-72-8355)

ぜひ暖かくしてお越しくださいませ。
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2021年10月29日

只見町ブナセンター講座「ブナを利用する昆虫たち」

 2021年10月23日(土)、只見振興センター1階ホールにて、ブナセンター講座「ブナを利用する昆虫たち」を開催しました。本講座では、福島県内の昆虫相に詳しく、蛾類(特にヤママユガ科)の生態や水生昆虫類を専門とされる、三田村敏正氏(福島県農業総合センター浜地域研究所・専門研究員、只見ユネスコエコパーク支援委員会委員)を講師にお招きし、ブナ林に特徴的な昆虫や只見で記録のある冬虫夏草、最近国内で確認された外来昆虫のことまで幅広くお話いただきました。

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▲講座の様子

 はじめに、三田村氏はブナ科植物や針葉樹各種を食べる鱗翅目(チョウ目)の種数を比較し、ブナを利用する昆虫が他の樹種に比べて比較的少ないことを説明しました。そのため、ブナ林における昆虫相はしばしば単純化するとされます。一方で、ブナ林にはブナのみを食べる種やブナ林を主な生息環境とする種も存在し、三田村氏はその中から代表的な種を取り上げ、それらの生態について解説しました。只見町のブナ林において特徴的な種としては、カンスゲ類の葉を食べるヤスマツケシタマムシが挙げられます。奥会津地域では、カンスゲ類(ミヤマカンスゲやオクノカンスゲ)をヒロロと呼び、干した葉を縒って細長い縄にした後、カゴやミノなどの編み組み細工に使用します。ヤスマツケシタマムシは体長3〜4mmと小さいですが、ヒロロの葉を直線状に食べた痕が白い線として残るため、それが本種を探す手がかりになります。

 次に、三田村氏は冬虫夏草という昆虫やクモから生えるキノコについて紹介しました。成熟したブナ林の中は暗く、地表部の湿度も高いため、冬虫夏草が生える環境として好適とされます。ブナ林が豊富にある只見町では冬虫夏草が多く、これまで30種近く記録されています。昆虫に寄生する冬虫夏草では、ハエ、カメムシおよび甲虫の幼虫、ハチ、トンボなどと幅広い分類群を宿主としており、色や形も様々です。中には新種と思われるものもあり、今後も詳しく調査すれば、さらに種数が増えると思われます。こうした冬虫夏草の豊富さは、宿主となる昆虫やクモ類の多様性の高さを反映していると言えます。

 近年国内で確認された外来種の昆虫については、それらの生態や侵入・拡散の事例とあわせて解説していただきました。今年になって、福島県中通りで発見された外来カミキリムシ2種(ツヤハダゴマダラカミキリとサビイロクワカミキリ、以下カミキリ省略)が、メディアに取り上げられたことは記憶に新しいと思います。いずれも街路樹を食害し、ツヤハダゴマダラは主にトチノキ、サビイロクワはエンジュおよびイヌエンジュを食べることが分かりました。ツヤハダゴマダラは、在来のゴマダラカミキリと見た目がよく似ており、普通種であるゴマダラに見間違えられてきた可能性もあることで、発見が遅れたのかもしれません。これら2種の識別点は、ツヤハダゴマダラは、1)胸部の白い斑紋を欠くこと、2)上翅の前縁部がなめらかであることです。

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▲外来種ツヤハダゴマダラカミキリと在来種ゴマダラカミキリの違いを説明する三田村氏

 ツヤハダゴマダラとサビイロクワは、幼虫・成虫ともに樹木を食べるため、海外から輸入された何らかの樹木(木製のもの)に紛れこんでいたと思われますが、侵入ルートは定かではありません。植物防疫が万全に敷かれた状況であっても、外来種は思いもよらない抜け穴から侵入してきます。そのため、専門家の目をかいくぐって、知らぬ間に在来の生態系に定着しているのです。早期に発見・対策を講じるためには、その土地に住む方々の協力が重要であると、三田村氏は指摘します。常日頃から見ている自然の中で、見慣れない生きものを発見した際は、すぐに博物館施設や詳しい専門家に連絡することが、その後の迅速な対応につながります。

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▲昆虫標本を鑑賞する参加者と解説する三田村氏

 質疑応答の後、参加者は三田村氏が作成された標本を鑑賞しながら、昆虫トークに花を咲かせました。
 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

 本講座の録画動画は、近日、ブナセンターYouTube公式チャンネル(URL:https://www.youtube.com/channel/UCRfrLUp9Vx3CSs7yatZp-lg?view_as=subscriber)にて公開予定です。
 動画を公開しましたら、改めてお知らせいたしますので、今しばらくお待ちください。
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2021年01月28日

ブナセンター講座「大型哺乳類の生態」見逃し配信の動画を公開

本動画は、2020年12月13日(日)にオンライン講座としてライブ配信したものになります。

本講座は、只見町ブナセンター企画展「改訂版 只見の野生動物とその生態」に関連して行い、早稲田大学名誉教授・只見ユネスコエコパーク支援委員会委員の三浦慎悟氏をお招きし、ツキノワグマの生態や保護保全について解説していただきました。



なお、この動画の著作権は只見町ブナセンターに帰属し、動画の改編や掲載資料の無断転載および転用を禁止します。
ご理解・ご協力をお願い申し上げます。
posted by ブナ at 15:12| Comment(0) | ブナセンター講座

2020年12月03日

只見町ブナセンター講座「大型哺乳類の生態」開催のご案内

只見町ブナセンターでは、12月13日(日)に早稲田大学名誉教授・只見ユネスコエコパーク支援委員会委員の三浦慎吾氏をお招きし、大型哺乳類の生態について解説いただきます。
本講座は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、インターネットのライブ動画配信にて開催いたします。

視聴方法につきましては、只見町ブナセンターのYouTubeチャンネルに配信時間内にアクセスし、講座タイトルの動画を開いてください。事前申し込みは不要です。
見逃し配信は、ブナセンターのホームページをご確認いただきますようお願いいたします。

只見町ブナセンターYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCRfrLUp9Vx3CSs7yatZp-lg

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2020年02月08日

冬の講座・自然観察会のご案内


 只見町ブナセンターでは、2020年2月29日(土)に元只見町ブナセンター長の鈴木 和次郎 博士を講師にお招きし、講座「雪国只見の地形と樹木、植生の分布」を開催します。本講座では、鈴木氏に日本有数の豪雪地である只見の自然環境や地形に成立する樹木ならびに植生の分布について解説していただきます。

 また、2020年3月7日(土)に自然観察会「蒲生岳裾野のブナ林を観察しよう!」を開催します。この自然観察会は、現在開催中の企画展「只見の山を眺めれば……そこにある樹木に気づく企画展」に関連して開催するものです。蒲生岳の裾野にあるブナ林を中心に、周辺の多様な植生を観察することで、只見町に生育する樹木の特徴をご理解いただければ幸いです。蒲生岳では只見を代表する自然景観である雪食地形が顕著に見られ、植生と立地環境の関係性を観察することができます。 固く締まった雪の上を歩くというこの時期ならではの体験をしていただきながら、 蒲生岳の裾野にあるブナ林をぜひ観察してみてください。

【ブナセンター講座】雪国只見の地形と樹木、植生の分布

開催日:2020年2月29日(土)13:30〜15:30

会場:ただみ・ブナと川のミュージアム セミナー室(只見町只見町下2590番地)

講師:鈴木 和次郎 博士(元只見町ブナセンター長)

※講座の聴講には入館料が必要です (高校生以上300円、小・中学生200円)

お問合せは只見町ブナセンターまで
電話1(プッシュホン)0241−72−8355


【自然観察会】蒲生岳裾野のブナ林を観察しよう!

開催日:2020年3月7日(土)9:15〜13:00

集合:ただみ・ブナと川のミュージアム 9:15(只見町只見町下2590番地)

観察地:蒲生岳周辺

持ち物:飲み物、雨具、長靴、防寒防水機能のある服装、かんじきまたはスノーシュー(貸出あり)

参加費:高校生以上500円、小・中学生400円(保険料を含む)

定 員:30名 ※事前申込が必要です

申込締切:2020年3月5日(木)
※悪天時は中止あるいは時間を短縮することがあります

お申込み・お問合せは只見町ブナセンターまで
電話1(プッシュホン)0241−72−8355


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