2019年8月30日(金)に消防署の方達をお招きして、「ただみブナと川のミュージアム」で消防訓練を行いました。
ブナセンターのスタッフ達は、消防署の方に助言やアドバイスをいただきながら、館内で火災が発生したときの対処法や実際に消火器を使用しての消火訓練、意識不明者への心肺蘇生法としての胸骨圧迫(心臓マッサージ)・人工呼吸・AED(自動体外式除細動器)の利用法などについて学びました。
館内で火災が発生した場合は、火元を確認し、消化器で初期消火を試みます。それでも消火できなった際には、事務室に火災の状況を報告し、お客様の避難誘導を行います。火災の通知を受けた事務室では、館内放送で火災が起きたことをお客様にお知らせし、避難用のアナウンスを行います。さらに、消防署などに火災が発生したことを連絡し、火災が起きた住所や状況、出火元、避難者の数などについて報告し、指示を仰ぎます。並行して、館内ではお客様が出火元を通らないように避難するための誘導を行います。あらかじめ手順については確認しておりましたが、実際に各作業を行おうとすると、焦りや緊張で手順を飛ばしてしまったり、確認漏れがあったりすることがわかりました。
消防署の方からは、火災の連絡は出火を確認した人が携帯電話などで直接消防署に連絡したほうが、火災状況をリアルタイムで報告できるので有効な場合もある、というアドバイスをいただきました。また、ミュージアムの展示物や備品が燃焼すると、有毒性のシアン化合物が煙に含まれる可能性もあるので、お客様の避難時には煙に注意するよう呼びかけることも大切であるとお話しされました。
実際に消火器を使用しての消火訓練では、まず初めに、消火器を利用する前に大声で「火事です!」と周囲に呼びかけます。次に、@消化器の黄色い安全栓を抜く、Aホースを火元に向ける、Bグリップを握り消火剤を噴射するという三つの動作で消火を行います。消化器の有効射程距離は3m〜5mですので、火元に狙いをつけながら徐々に近づいていき、消火します。

▲消火器で消火訓練をするスタッフ
心肺蘇生の訓練では、胸骨圧迫について学びました。まず、倒れている人などを見つけた場合、はじめに肩をたたきながら意識の有無を確認し、意識がない場合は胸骨圧迫を実施します。胸の間にある胸骨に向かって垂直に腕を伸ばし、5cmほど胸がへこむように圧迫します。1分間に110〜120ほどの早さでリズミカルに圧迫を続けます。実際に行ってみると、成人男性でもかなり大変であることが実感できました。1人で行うには体力的に難しい場合があるので、2〜3人で協力しながら、消防車が到着するまで途切れることなく胸骨圧迫を続ける必要があります。胸骨圧迫を交代するときも、互いに声掛けをし、なるべく中断時間を短くするように、素早く交代するよう注意します。

▲胸骨圧迫の訓練を受けるスタッフ
人工呼吸は、患者の鼻を指でふさぎながら、顎を上向きにさせて気道を確保し、口がきちんとふさがるようにして1秒ずつ2回、息を吹き込みます。鼻は、鼻穴がふさがるように入口ふきんを指でつまみ、気道を確保する際は患者の負担にならないよう、徐々に上向きの姿勢にしながら、しっかりとひじをついて安定させます。こちらも実際に行ってみると、鼻をふさぐ位置がずれていたり、気道を確保する傾斜があまかったりといったことが原因で、途中で空気が漏れてしまい、適切に肺まで空気を吹き込むことがたいへん難しかったです。人工呼吸は胸骨圧迫を30回行うごとに1回の頻度で行い、人工呼吸がうまくできない場合は、胸骨圧迫を優先します。

▲人工呼吸の訓練を受けるスタッフ
AEDを利用する際は、まず、AEDを保管してある場所をしっかりと確認し、すぐに取りに行けるようにしておく必要があります。AEDを行う手順は、胸骨圧迫と人工呼吸を行った後となります。意識がない人間の体は冷や汗などで濡れているため、AEDのパッドを患者に貼る前に、付属のタオルなどで右胸と左脇の部分をきちんとふき、その後でふいた場所にパッドを貼ります。AEDが患者の状態をパッドから読み取っている際に周囲の人間が患者の体に触れてしまうと、患者の容体が誤って読み取られてしまう場合があるため、患者にふれないよう周囲に呼びかけます。電気ショックを実施する際も同様です。

▲AEDの訓練を訓練を受けるスタッフ
以上の心肺蘇生法の手順をまとめると、@患者に意識があるかどうか呼びかける、A意識がない場合は周囲の人々に119番の通報とAEDを持ってきてもらうよう呼びかける、B胸骨圧迫と人工呼吸をAEDが用意できるまで繰り返す、CAEDを患者にとりつけ、電気ショックを実施する、D救急車が到着するまでB〜Cを繰り返す、となります。心肺蘇生は処置が遅れるごとに生存率が下がっていきますので、救急隊が到着するまでにいかに適切な処置が行えるかが重要になります。
ブナセンターでは、万が一お客様が意識不明の重体となっても、適切な対応ができるよう日頃から救急処置について学んでいきますので、今後ともブナセンターをよろしくお願いいたします。消防訓練についてご指導いただいた消防署の方々にはこの場をかりて、厚く御礼申し上げます。