2013年06月26日

ナラ枯れ

6月の20日〜22日の期間で、ナラ枯れ研究の第一人者である山形県森林研究研修センターの齋藤正一さんをお招きし、ナラ枯れ講習会とナラ枯れ対策作業を実施しました。

20日に講習会が行われ、齊藤正一さんに「ナラ枯れの原因と対策」について話をしていただきました。

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講習会では、前半にナラ枯れの原因と現在の被害状況、ナラ枯れが入った森がその後どのように変化していくのかなどのお話があり、後半は特に「ナラ枯れの対策と防除」を中心に、現在どのような方法がとられているかなどをお話していただきました。

ちなみに、ナラ枯れとは、“カシノナガキクイムシ”が媒介する“ナラ菌”が樹幹内で繁殖し、通水阻害により木が壊死してしまうことが原因です。カシノナガキクイムシ(以下カシナガ)は、なぜナラ菌を媒介しているのでしょうか?実はカシナガは、ナラ菌が作る酵母を餌にしており、住処とえさ場を両立させているのです。

〈ナラ菌〉
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カシナガは、ミズナラやコナラの木に穴をあけてその中で繁殖をしますが、1穴に1夫婦で、10〜50頭(親2頭から平均20頭)ほどの子どもがうまれます。
樹幹内で育つ酵母を食べて成長し、翌年の5月頃になると親が穴から脱出後死亡します。6月下旬〜8月にかけて、今度は成虫になった子どもが、次の木を探して飛び立ちます。
ナラ枯れを防除せずにほおっておくと、1組のカシナガからはじまり、5年で10,000倍に増える計算になります。この繁殖率の強さが、被害が深刻化する要因の一つになっているようです。

お話の中で、東北地方でナラ枯れによって枯れやすい樹種があると説明がありました。ブナ科の中でも、ミズナラが一番枯れやすく、カシワが2番目、コナラは3番目に枯れやすいそうです。ちなみに只見町に広い範囲で自生するブナは、ナラ菌が入り込んだとしても菌糸が伸びないそうで、ナラ枯れで枯れることはないそうです。



21日・22日は、実際に山に入りナラ枯れ対策作業が行われました。

21日は、総勢9名のナラ枯れ防除隊が結成され、黒沢と舘ノ山で防除を行いました。
黒沢地区には、珍しいコナラのあがりこ(コナラは萌芽性が低いのであまり見られない)が多く残っています。しかし、すごい巨木です。

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作業の手順としては、1.作業がしやすいよう木の周囲を刈り払う 2.胸高直径を測定し注入孔数を決める 3.薬剤の注入孔を幹にドリルで開け、目印の爪楊枝を差し込む 4.楊枝を抜きながら薬剤を注入する という流れです。講師の齋藤さんの指導を受けながら作業をしました。

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黒沢でナラ枯れ対策をするのは2年目ですが、まだ作業をしてないコナラのあがりこがたくさんあり、結局38本に対策することができました。最後の方は、9名の中で自然と役割分担ができ、流れ作業で黙々と処理ができるほど手慣れました!
その後、舘ノ山でも対策を行い、50本ほどに処理をすることができました。


森は貴重な財産であり、多くの動物たちの住処となっています。一度枯れてしまえば、もとのような森になるまで長い年月がかかるでしょう。とくにナラ枯れは、対策をしなければあっという間に広がってしまいます。そうならない為にも、ナラ枯れの対策と防除を継続して行っていく必要があると感じました。
posted by ブナ at 13:47| Comment(4) | できごと
この記事へのコメント
はじめまして
京都木津川市から辻井と申します
ブログを拝見させて頂きました
穴をあけて、薬剤を注入する

毎年同じ木に、この作業を繰り返すのでしょうか?
Posted by 辻井 健吾 at 2016年11月18日 06:39
ブログをご覧いただきありがとうございます。注入した薬剤は、2年間は効果が続くそうです。2年おきに再度注入する必要があります。ナラ枯れの分布域は、いまだ広がりつつあります。
Posted by 只見町ブナセンター事務局 at 2016年11月18日 12:17
結果 効果がありましたか?
Posted by 辻井 健吾 at 2016年11月18日 16:38
処理木60本と無処理の20本をおよそ2ヶ月半後に確認したところ、前者の枯死率は5%、後者は25%であり、十分な効果があったようです。この結果は、只見町ブナセンター紀要No.2にまとめられています。
Posted by 只見町ブナセンター事務局 at 2016年11月21日 16:16
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