▲サシバ
観察地の森に入る前に田植え前の水田に接した林縁で採餌しているサシバに遭遇しました。里山を好む猛禽類で、主にカエルやヘビを捕食します。この個体も緑色のカエルを食べていました。恐らく付近の水田で鳴いていたシュレーゲルアオガエルだと思われます。
▲ナラ類の二次林
スギ林に挟まれた林道を進み、しばらくするとナラ類の二次林が見えてきました。まだ樹木の葉が芽吹いておらず、日光が遮られることなく地上に届いています。春植物は、高木が開葉するまで間、融雪後の明るい林床で葉を広げ、開花します。やがて、木々が芽吹き、春植物は光合成が困難になると地上部は枯れ、栄養を蓄えた地下部は来春まで長い休眠に入ります。この森では、カタクリ、キクザキイチゲ、コシノコバイモが花を咲かせていました。

▲左からカタクリ。キクザキイチゲ、コシノコバイモ

▲ブナ二次林
さらに奥に進むと開葉が進んだブナの二次林に辿り着きました。新緑が美しい一方、林床に春植物の姿は見当たりません。ブナはナラ類と比べて芽吹きが早いため、林床に直射日光が入る期間も短くなります。そのため、春植物の生育には適さないのです。
▲ブナの実生
林内ではブナの実生が多数見つかりました。館長の勧めで双葉を食べてみることに。若干の青臭さはあるものの、味はナッツ類に似ています。種子が双葉になったことがわかります。ブナの種子や実生は、糖質、脂質、タンパク質のバランスが良く、森に棲むノネズミやツキノワグマなどの哺乳類にとって貴重な食料となります。

▲ツキノワグマの糞
近くで冬眠明けのツキノワグマの糞が見つかりました。ブナ種子の殻が未消化のまま排出されており、冬眠前に大量のブナ種子を食べていたのだと思われます。

春植物以外にも様々な動植物に出会うことができました。ご参加いただいた皆様、お疲れさまでした。