2023年05月05日

5月5日(金)野鳥観察会(石伏地区)開催報告

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 2023年5月5日(金)、石伏地区において全5回の2回目となる「春から初夏の野鳥観察会」を開催しました。大学生サークル「緋熊と黒潮」のメンバーなど8名の参加がありました。晴れて気温は25℃まで上がり、日差しが強く感じられました。
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▲開催地・石伏地区の景観

 石伏地区は只見ダムの周辺地域です。只見湖の広大な開放水面と、周囲の雪食地形に富んだ山々、山腹の混交林や山裾のスギ人工林、そして国道252号線に沿った集落と小規模な農耕地という、多様な環境を含んでいます。そのため、比較的多くの種が観察できると予想していました。
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 集合場所の石伏公園から、まずは鳥の声聞きでスタートしました。ウグイスやホオジロに加え、サンショウクイやオオルリなど夏鳥のさえずりが賑やかで、中でもセンダイムシクイの「焼酎一杯、グイー」と聞きなされるさえずりは、特徴的なためか参加者にも聞き取りやすかったようです。
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▲セグロセキレイ

 集落周辺では、餌を咥えたセグロセキレイの親鳥が見られました。おそらく近くに巣があり、大人数の我々が親鳥を警戒させてしまったのでしょう。観察後、速やかにその場を離れました。
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▲ニュウナイスズメ(右が雄・左が雌)

 前回の叶津地区に引き続き、今回石伏地区でもニュウナイスズメが確認されました。スズメとは一味違うレンガ色の雄の姿が目を惹きました。
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 一旦石伏公園に戻ってから万代橋を渡り、只見湖の水鳥を観察しました。コガモやキンクロハジロ、カワウ、イソシギなどの水鳥が見られました。続いて、只見湖右岸の道路沿いを探鳥しました。
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▲オオアカゲラ(雄)

 只見湖右岸ではオオアカゲラが2度出現しました。只見町を繁殖地とする大型のキツツキで、春から秋にかけて森林に生息します。最新の福島県版レッドリストでは準絶滅危惧に選定されています。警戒心の強いオオアカゲラが、観察会の場で見られたのは幸運でした。
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▲クロサンショウウオの卵塊とヤマアカガエルの幼生

 鳥類の他にも様々な生き物が観察できます。例えば両生類で、道路傍の側溝を除くと、クロサンショウウオの真っ白な卵塊や、ヤマアカガエルの幼生が無数に見られました。
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▲ハンミョウ

 「道教え」とも呼ばれる、極彩色の美しい甲虫です。主にアリを捕食します。
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 湖畔のスギ林内にある旧若宮八幡神社にも足を運びました。林内では、ユキツバキの藪で餌を探すヤマガラが見られ、ヤブサメの「シシシシシ…」という独特のさえずりも聞かれました。
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 境内の奥にはクリの大木があります。とてもクリとは思えない風変わりな姿を見ることができます。
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▲キビタキ(雄)

 人気の高い夏鳥のキビタキも境内で観察することができました。黒、黄、白のコントラストが非常に美しく、皆様も喜ばれたようでした。

▼今回の野鳥観察会で確認された種のリスト
(クリックすると別ウィンドウで開きます)

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 今回の野鳥観察会では、合計34種が確認されました。昨年より開催してきた「春から初夏の野鳥観察会」の各回を比較すると、最も多くの種数となりました。これは、様々な環境を包含する石伏地区の特性が反映されたためと考えられます。また、視野の広さや晴天という気象条件も関係したと思われます。
 また、多様な種のさえずりが聞かれ、オオアカゲラやキビタキのような美しい種も目視できたことで、ご満足いただけた回になったようです。ご参加下さった皆様、ありがとうございました。
posted by ブナ at 16:45| 自然観察会