2023年04月23日

4月23日(日)野鳥観察会(叶津地区)開催報告

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 2023年4月23日(日)、叶津地区において全5回の初回となる「春から初夏の野鳥観察会」を開催しました。只見町民や県内在住の親子など8名の参加がありました。天候は晴れで、気温は約13℃、ひんやりとした風が吹く爽やかな陽気に恵まれました。

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▲開催地・叶津地区の景観

 叶津地区は只見川の支流である叶津川が谷あいを流れ、水田や小規模な集落が点在しています。遠目には、分厚い残雪で白く光る浅草岳の山頂部が見え隠れし、雪食地形が卓越した山麓部も眺望できる、美しい景観が広がっています。

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▲オシドリ(左が雌、右が雄)

 まず水辺の鳥で目を惹いたのがオシドリです。只見町で繁殖するオシドリは、この時季つがいで行動しています。警戒心が強く、人が不用意に近づいて飛ばしてしまうことが多いのですが、写真のつがいは遠くの水路の傍で我々の様子を伺っており、じっくりと観察することができました。その他、叶津川本流ではコガモの群れやイソシギ、セグロセキレイなどが確認されました。

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▲ニュウナイスズメ(左が雄、右が雌)

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▲ニュウナイスズメの雄
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▲ニュウナイスズメの雌

 叶津地区の集落ではニュウナイスズメが多く見られます。ニュウナイスズメは寒冷地で繁殖するスズメで、頬にスズメのような黒斑がないのが特徴です。町内でも生息する集落は限られており、珍しい鳥と言えます。

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▲ハシボソガラスに追われるサシバ

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▲キタゴヨウにとまるサシバ

 只見町における夏鳥のワシタカ類の中で、最もふつうに見られる種がサシバです。サシバは餌場となる水田と営巣地となる林がセットになった環境を好み、健全な里山環境のシンボルとして知られています。叶津地区では複数のつがいの繁殖が確認されており、今回も探索コースの道すがら、少なくとも5個体が見られ、さらには交尾まで観察することができました。

 その他、夏鳥ではサンショウクイやオオルリのさえずりが聞かれ、ツバメとイワツバメが飛び交う光景も見られました。

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▲アズマイチゲ
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▲キクザキイチゲ
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▲オトメエンゴサク

 また、野鳥とは別に春植物も観察できました。アズマイチゲは葉の縁の切れ込みが浅く、キクザキイチゲは深く切れ込んでいます。また、キクザキイチゲは花色の変化に富み、青色のタイプもよく見られます。

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▲ゼンマイ

 ゼンマイの若芽も出てきていました。只見町ではこの綿毛が、手毬の芯の素材などに利用されてきた歴史があります。

▼今回の野鳥観察会で確認された種のリスト
(クリックすると別ウィンドウで開きます)
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 今回の野鳥観察会では、合計26種の野鳥が確認されました。只見町を繁殖地とするオシドリやウグイス、海を越えて渡ってくるサシバやサンショウクイなどの夏鳥が確認され、にぎやかな季節の到来を実感できる観察会になりました。
 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
posted by ブナ at 18:30| 自然観察会