2020年01月25日

草木染体験教室「ぶなの葉染めをしてみよう!」


 2020年1月19日(日)に「ただみ・ブナと川のミュージアム」セミナー室において、「ぶないろくらぶ」の3名を講師にお招きし、草木染体験教室「ぶなの葉染めをしてみよう!」を実施しました。ぶないろくらぶは、本田一恵さん、鈴木サナエさん、酒井勝子さんの3名によって発足されたグループであり、やさしく落ち着いた風合いの「ぶなの葉染め」の技法を用いて、只見町より認定を受けた伝承産品の手ぬぐいや小物を製作しています。

 はじめに、ぶないろくらぶの活動や設立の経緯についてご説明していただきました。ぶないろくらぶ代表の本多一恵さんは、「只見町ブナセンター友の会」や「只見の自然に学ぶ会」に所属し、ブナ林について学んではいたものの、ブナを本当に身近に感じたのはぶないろくらぶの活動を開始してからだったとお話しされました。実際にブナの葉に触り、ブナの種子を食べるなどの体験を通して、一恵さんはブナに魅了されるようになったと言います。また、2014年に只見町が「只見ユネスコエコパーク」に登録され、ブナの重要性を再認識したことも、ぶないろくらぶ設立の大きなきっかけとなりました。
 鈴木サナエさんは、只見町の旧田子倉集落で生活していた祖母が養蚕から糸を取り、絹地に仕立て、草木染めを行っていたことを覚えており、このような自給自足の生活に憧れを抱いていたとお話しされました。そうした先人の生活の知恵を継承したいという思いにより、サナエさんはぶないろくらぶに加入されたそうです。
 ぶないろくらぶの紹介をしていただいたのち、酒井勝子さんに草木染めの行程についてご説明していただきました。

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▲ぶないろくらぶ設立の経緯について説明する代表の本多一恵さん

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▲祖母が作った草木染めの手ぬぐいを紹介する鈴木サナエさん

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▲草木染めの行程について説明する酒井勝子さん

 次に、実際にぶなの葉染めの各行程を参加者に体験していただきました。参加者は水で洗ったブナの落葉を鍋に入れて水に浸し、火にかけて染色液を作る様子を見学したのち、絹地のバンダナやハンカチなどの素材に模様をつける作業を行いました。無地の素材にビー玉を入れて縛ったり、割りばしなどを当てて結ぶと、染色液に染まらない白い模様が生まれます。参加者の方たちはそれぞれに工夫した模様づけを行いました。

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▲染色液の色を見学する参加者の様子

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▲素材の模様つけを教わる参加者の様子

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▲模様づけを終えたバンダナ

 模様づけが終わった素材は染色液が均等に浸透するよう一度水に入れて浸します。その後、あらかじめ火にかけておいた染色液の鍋の中に素材を入れて、よくかきまわします。色むらができないように、何度も素材を鍋の中でかき混ぜることが重要です。一度の染色に30分ほどの時間をかけます。なお、本来の草木染めの行程では常温の染色液に素材を入れた段階で火をつけますが、今回は時間の都合上、先に鍋を温めておきました。
 素材を染色している間、参加者には実際にブナの落葉にさわり、葉をはさみで切る作業を体験していただきました。葉を切っておくと、染色液を作る際に通常よりも早く葉から色が染み出すとされます。また、ぶないろくらぶからは、ブナの葉以外の植物を使って草木染めを行った製品について紹介していただきました。

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▲素材を鍋に入れて染色する参加者の様子

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▲ブナの落葉を切る参加者の様子

 染め終わった素材は、きちんと水で洗って、よくしぼります。今回は参加者の方に手しぼりで素材の水けを切っていただきましたが、家庭用の洗濯機などを使って脱水することも可能です。

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▲染色した素材を丁寧に洗う参加者の様子

 一度目の染色を終えた素材を、今度は媒染液に入れて浸します。染色液はそのままでは色が落ちてしまうため、媒染液につけることで色素を素材に定着させます。媒染液は、媒染剤の種類に応じて量を量り、それを40℃ほどのぬるま湯に入れて溶かし、作成します。今回の媒染液はチタンと鉄の2種類を用意しました。チタンで染めると素材が薄茶色になり、鉄で染めると灰色になります。媒染液につけている間も、色むらができないようによくかき回します。媒染液を素手で触ると手が荒れてしまう場合があるため、注意が必要です。媒染液には30分ほどつけておくため、その間、ブナセンターの指導員が只見町に生育するブナの特徴や、只見の人々がこれまでどのようにブナを利活用してきたのかを解説しました。

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▲素材を媒染液に入れてかきまぜる参加者の様子

 媒染液につけおわった素材は、再び丁寧に洗い、しぼって水けを切ります。その後、素材を染色液が入った鍋に入れて煮込み、2回目の染めを行います。この行程になると、無地だった素材が鮮やかに染め上がっていく様子がよくわかります。染めの時間を利用して、ぶないろくらぶのみなさんに草木染めを行うことの楽しみや苦労話を紹介していただき、さらにブナセンターの指導員が只見町の伝承産品制度の取り組みについて解説を行いました。

 最後に、2回目の染色を終えた素材を洗ってよくしぼり、模様つけの際に使用したゴムやひも、ビー玉、割りばしなどを素材から外します。自分で染色したバンダナやハンカチの模様を見た参加者からは感嘆の声が上がりました。各参加者によって模様が異なり、それぞれに工夫された模様が草木染めの中で綺麗に浮かびました。

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▲染め上がった模様を確認する参加者の様子

 参加者にそれぞれのバンダナやハンカチを紹介していただき、感想を述べていただくと、思ったよりも綺麗な模様ができたことや、ブナの葉を身近に感じるようになったこと、ブナの落葉を自分でも採取してみたいと思ったことなどの感想が寄せられました。最後に全員で記念撮影を行い、体験教室を終了しました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

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▲完成したバンダナやハンカチ、感想を紹介する参加者の様子

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▲参加者全員で記念撮影

posted by ブナ at 10:18| Comment(4) | イベント
この記事へのコメント
ご丁寧な説明、有り難うございます。
当日はほんとに綺麗な色に染まって、皆さん、とてもいい柄が出て、嬉しかったです。
お陰さまで私達もいい体験になりました。
またよろしくお願いいたします‼️
Posted by Sanae at 2020年01月27日 15:09
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