2018年03月10日

ユネスコエコパーク特別セミナー「多雪環境のもとで生きる樹木の苦闘と強かさ」

 3月4日(日)にユネスコエコパーク特別セミナーを行いました。講師には雪森研究所、富山県立山カルデラ砂防博物館アドバイザーの杉田久志氏をお招きしました。当日は、28名の参加がありました。ご参加いただいた皆さまありがとうございました。

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 第一部では、日本が世界一の多雪地帯であることや積雪が樹木に及ぼす影響、豪雪地谷生きる樹木の成長戦略、積雪分布による植生の違いなど多雪地帯の植生を理解するための基礎的な知識についてお話がありました。

 第二部では、杉田氏が新潟県魚沼市と只見町にまたがる浅草岳でおこなわれた研究についてのお話がありました。
 浅草岳には、直立したブナの高木によって林冠が形成されるブナ高木林、根曲りの著しいブナによって構成されるブナ矮性林、樹高2〜4mのムシカリ、ミネカエデ、チシマザサなどによって形成される低木林、ヌマガヤ、カリヤスなどの草本により構成される草原が分布しています。これらの植生が尾根中央部にブナ矮性林、北〜西側にブナ林、南〜東側に低木林・草原というパターンで分布していたため、その要因として植生パターンが高木林<矮性林<低木林<草原の順に積雪深が変化しているのではないかと予測し調査しました。
 
 1979年〜1981年の3年間、ゴールデンウィーク季にコンパス測量を用いて積雪深の測定をしたところ、高木林と矮性林には差異がなく、高木林=矮性林<低木林<草原といった結果が得られました。また、傾斜で比較すると高木林は10〜25°、矮性林はそれより緩いあるいは急傾斜に分布していました。これは急傾斜では雪圧害、緩傾斜では沈降圧(積雪層が収縮により雪に埋まった物体を押し下げようとする力)や過湿、劣悪土壌のために高木の成長が阻害されているためと考えられました。

 講習の最後には活発な質疑応答もおこなわれ、自分たちが住んでいる地域が世界的に特異的な多雪地帯であること、その豪雪地帯に生きる樹木がどのような影響を受けているか、どのような戦略をとっているかについて知識を深めることができました。
posted by ブナ at 13:54| Comment(0) | イベント
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