2016年12月11日

ブナセンター講座[ 豊かな熱帯林が支えるボルネオ先住民の暮らしと文化 〜ラタンのカゴ編みを通して〜」

 この日、只見町ではいよいよ雪が積もりはじめました。しんしんと降り続く雪の中、ボルネオ島の熱帯林と伝統文化をテーマとしたブナセンター講座を行いました。

 講師の竹内氏は、生命力あふれる熱帯林に惹かれて、ボルネオ島での調査を始めたそうです。毎年、2か月にわたる現地調査に行くとのこと、とても体力が必要なのだそうです。生態学を専門とし、動植物の共存や木本植物が一斉開花するメカニズムを研究されています。現在では、国立環境研究所に所属し、熱帯林の減少や人々と森との関係性についても研究テーマを広げています。

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 はじめにボルネオ島と先住民の暮らし、続いてラタン、原生林『プラウ』の動植物、熱帯林の開発の順にお話しいただきました。

ボルネオ島には40の民族がいますが、竹内氏が調査を行っているイバンの人々の熱帯林を利用した暮らしが紹介されました。イバンの人々は、わかっている範囲で250種もの植物を区別し、木材、食べ物、燃料、薬、儀礼など様々な用途に用いています。その中でラタンは、日用品を編む材料としても使われます。

 ラタンは、日本では籐(トウ)と呼ばれてイスの材料やカゴなどのクラフトの材料として用いられています。熱帯に生育するツル植物の総称で、ボルネオ島では150種ほどが知られており、ツルにある鋭いトゲをまわりの高木にひっかけて高いところまで上っていくのだそうです。ラタンの種類を使い分けることで、漁労道具、農作業道具、ザル、運搬用具など日常に必要な様々な道具をつくりだします。

 生活に用いる様々な植物は『プラウ』で採取します。プラウは、極力伐採しないよう村で取り決めた森のことで、原生に近い状態で維持されています。そのため、絶滅危惧種に残された貴重な生育地ともなっています。プラウに生息する私たちにとっては珍しい動物たちを、現地で撮影した動画を用いて紹介していただきました。

 熱帯林は、開発による伐採とオイルパーム造成地の建設により、危機に直面しています。いくつかの村を調査したところ、3分の1がプラウを失ったことがわかりました。採集地であるプラウがなくなったことで、ラタンを使う文化も変化し、材料を購入や輸入に頼り、採取する文化はすたれつつあるそうです。編む文化については、ラタンのカゴがお土産品として人気があることから、残っていくのではないかということでした。最後に、ボルネオ島で産出された資源は私たちの身近で使われており、違法に採取されたものが混ざっている可能性が指摘されました。イバンの人々が住むサラワク州で産出された木材の6割が日本に輸入され、合板として用いられているそうです。

 会場からは、原生林に回復するまでの年数や資源の枯渇について、イバンの人たちが住むロングハウスと呼ばれる長屋の歴史、編む技術がどのように継承されたかなど質問が出ました。伝統的には母から子へと編む技術が伝えられていたそうですが、これは義務ではなく、編むことが好きな人や手が器用な人たちが伝え、広めたということです。町内をはじめ35名の方が聴講され、遠く離れた熱帯林で継承された、只見町と同じ自然を利用する伝統文化について知識を深めました。

 セミナー室での講座後、企画展示室に移動し、展示してあるラタンのカゴやパネルなどの前で、竹内氏に展示解説をしていただきました。竹内氏は参加者の質問に丁寧に答えてくださり、和やかな会となりました。

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posted by ブナ at 17:00| ブナセンター講座