只見町には小学校3校、中学校1校があり、全ての学校がユネスコスクールに加盟しています(ユネスコスクールについての詳しくは下記URLから公式HPをご覧ください)。
https://www.unesco-school.mext.go.jp/about-unesco.../aspnet/
これらの学校では、只見町の野外フィールドやただみ・ブナと川のミュージアムなどの町内施設を利活用しながらESD(持続可能な発展のための教育)やSDGs(持続可能な発展目標)の学習が取り組まれています。
只見町ブナセンターもこれに協力しており、特に昨年からは学校さんと相談しながら、只見町のフィールドをもっと活かした教育プログラムの開発に取り組んでいます。
この6月にはその新たな取り組みの一つとして、小学校3.4年生を対象に、只見町の特徴的な景観である雪食地形の山並みやそこに成立しているブナ林などの多様な森林を理解するために、枠を使いながら景観を捉え、枠の中の景観をスケッチするというものを行いました。初めての年ということもあり、樹木の葉っぱが展開しきって山全体が緑色に染まってしまった季節となってしまい、子供達が森林の違いに気づき、理解するのは少し難しいかなと思いましたが、なかなかうまく捉えてくれたようです。
今後は同じ場所で季節を変えてスケッチを行い、季節の違いによりどのように景観が変化するのかも体験してもらいと先生と相談しています。また、スケッチをした景観の中の森林の中を実際に歩き、どのような森林であるのか、どのような生き物がいるのか、さらには、人はそれらとどのような関わりがあるのかも学習してもらえればと計画しています。
豊かな自然とそれを拠り所にした人の暮らしがすぐそばにある只見町ならではのフィールドを活かした学習プログラムが作れればと思います。
2024年07月30日
只見町の特色あるフィールドを活かした学校教育を支援しています
posted by ブナ at 17:33| イベント
2024年07月29日
只見町公認自然ガイド養成講座を開始
ユネスコエコパークに登録されている只見町では、豊かな自然環境とそれを拠り所にした伝統的な生活や文化についての理解を広め、それらの保全をつなげるエコツーリズムを推進しているところです。昨日は、このエコツーリズムの担い手となる只見町公認自然ガイドの新規養成講座を開始しました。
初回となる今回は、午前中に余名沢のただみ観察の森を歩きながら、只見町の代表的な森林・自然景観を理解する実習を行いました。午後は、只見町の自然環境の概要についての座学が行われました。
養成講座は今年度いっぱいのスケジュールで行われます。長丁場ではありますが、参加者の皆様には只見町のエコツーリズムを盛り上げるため、ぜひガイドになっていただきたいと思います。私たちもそのためにサポートしていきます。
初回となる今回は、午前中に余名沢のただみ観察の森を歩きながら、只見町の代表的な森林・自然景観を理解する実習を行いました。午後は、只見町の自然環境の概要についての座学が行われました。
養成講座は今年度いっぱいのスケジュールで行われます。長丁場ではありますが、参加者の皆様には只見町のエコツーリズムを盛り上げるため、ぜひガイドになっていただきたいと思います。私たちもそのためにサポートしていきます。
posted by ブナ at 12:39| 人材育成
2024年07月06日
2024.6.13-15 日本自然環境専門学校(鳥類研究室)の調査実習をサポートしました
只見町ブナセンターでは町内学校のみならず、町外の教育機関からも環境学習に関するご依頼を受け付けております。
新潟県にある日本自然環境専門学校(鳥類研究室)の調査実習の受け入れは、2021年より毎年6月の恒例となっており、今年で4年目。今年は6名の熱意ある学生たちが、6月13日〜15日までの2泊3日にわたって、只見実習にお越し下さりました。実習では、定点にて一定時間ごとに確認された種を記録する「スポットセンサス調査」や、同じく定点にて視野範囲で確認された猛禽類の行動記録をとる「猛禽類調査」、コールバックによる夜行性鳥類調査、そして踏査による任意調査といった、各種調査手法を実践しました。
他の生物と同じように、鳥類もまた種ごとに異なる環境を選んで生息しています。また、6月は多くの種の繁殖期に当たるため、つがいは一定の範囲のなわばりをもって生活しており、広く分散しています。つまり、種数を網羅的に把握する「相調査」においては、可能な限り様々な環境を広く探して回る必要があるのです。今回の実習にも「相調査」の側面があったことから、町内全域に調査地を設け、河川やダム湖、集落周りの農地や、森林内の散策路など、行ける限りの環境を巡って、鳥類を記録して回りました。

▲山地で確認された鳥類
▲水辺で確認された鳥類

▲集落や農地周辺で確認された鳥類

▲夜間調査で確認された鳥類
このようにして行われた3日間の調査を経て、確認された種数は59種に上りました。これは過去4年間で最多の種数です。只見町における繁殖分布種を経年的に把握する上でも貴重なデータが得られたと思います。特に、福島県版レッドリストにおいて絶滅危惧I類に選定されているブッポウソウとチゴモズの確認は特筆に値します。ブッポウソウについては、町内での確認は実に3年ぶりのことでした。2個体同時に見られたことから、つがいの可能性があります。チゴモズは昨年と同じ調査地で見つかり、2年連続の記録となった一方で、単独生活しているオス成鳥とみられ、残念ながら繁殖兆候は確認できませんでした。チゴモズの繁殖成功例は、県内でも近年滅多に聞かれません。
学生の皆様には将来、環境調査の業界を目指したり、教育の現場に立ったり、環境行政を執り行ったりと、様々な活躍の可能性があるかと思います。鳥類について知り得たことが、少しでも社会に還元され、人々の新たな学びに繋がったり、環境保全に資することがあるならば、それが一番の喜びです。熱意をもって全力で励んでいただきたいです。
posted by ブナ at 15:00| 人材育成
絶滅危惧種が舞う水田
町内の某水田で、圃場整備が行われるいうことで、絶滅危惧種であるヒメシロチョウの保全のために、福島県南会津農林事務所、只見町での現地調査に立ち会いました。
圃場整備は、近年の農業機械の大型化、さらには、農業の担い手不足による圃場の効率化のために全国的に行われるようになっているとのことです。問題のヒメシロチョウは、食草となるツルフジバカマが生育するような河川敷や農耕地周辺の草地に生息しており、河川改修や圃場整備による土地の改変により草地が失われることで全国的に数を減らし、現在は、環境省のレッドリストで絶滅危惧IB類(IA類に準じて、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)に分類されています。
この水田も大区画化する整備が予定されており、今回は整備予定地に生育するヒメシロチョウの食草であるツルフジバカマの分布確認調査を行いました。調べてみるとツルフジバカマは圃場周辺の法面の下部に多く生育しており、圃場整備の際にそれらをいじらないようにすることで保全ができそうでした。調査中、ヒメシロチョウもヒラヒラと舞いながら姿を現し、まるで「きちんと保全してくれよ」と伝えてきてくれたようでした。
只見の水田環境には、まだこうした貴重な自然や生き物が残されていることがよくわかりました。今の時代ですから、このような環境で作られる農産物もまた価値の高いものです。只見町も農業の担い手不足のため圃場整備が行われますが、そうした中でも豊かな自然を残し、そのことが只見の農業の付加価値の向上につながってくれることを期待したいと思います。まさに人と自然との共生ということだと思います。実際に農業をされている方達には大変なご苦労があろうかと思いますが、我々も自然環境の面から微力ながら支援できればと考えています。
ぜひ皆さんも只見町の農業を応援してください!
圃場整備は、近年の農業機械の大型化、さらには、農業の担い手不足による圃場の効率化のために全国的に行われるようになっているとのことです。問題のヒメシロチョウは、食草となるツルフジバカマが生育するような河川敷や農耕地周辺の草地に生息しており、河川改修や圃場整備による土地の改変により草地が失われることで全国的に数を減らし、現在は、環境省のレッドリストで絶滅危惧IB類(IA類に準じて、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)に分類されています。
この水田も大区画化する整備が予定されており、今回は整備予定地に生育するヒメシロチョウの食草であるツルフジバカマの分布確認調査を行いました。調べてみるとツルフジバカマは圃場周辺の法面の下部に多く生育しており、圃場整備の際にそれらをいじらないようにすることで保全ができそうでした。調査中、ヒメシロチョウもヒラヒラと舞いながら姿を現し、まるで「きちんと保全してくれよ」と伝えてきてくれたようでした。
只見の水田環境には、まだこうした貴重な自然や生き物が残されていることがよくわかりました。今の時代ですから、このような環境で作られる農産物もまた価値の高いものです。只見町も農業の担い手不足のため圃場整備が行われますが、そうした中でも豊かな自然を残し、そのことが只見の農業の付加価値の向上につながってくれることを期待したいと思います。まさに人と自然との共生ということだと思います。実際に農業をされている方達には大変なご苦労があろうかと思いますが、我々も自然環境の面から微力ながら支援できればと考えています。
ぜひ皆さんも只見町の農業を応援してください!
posted by ブナ at 00:48| イベント
2024年07月05日
2024.6.28 只見小学校「川遊び」と河川生物について
只見町ブナセンターでは、町内学校からの環境学習に関する各種ご依頼を受け入れております。

只見小学校の夏の行事「川遊び」には2022年より毎年指導員が対応させていただいており、河川に生息する水生生物について、現地で児童らと採集するとともに、その特徴や生態について解説を行ってきました。
今年も6月28日(金)に、小川地区を流れる伊南川の支流「小川沢」にて、恒例の「川遊び」が行われました。水網を河床に立てるようにして構え、上流側の石をひっくり返すと、そこにいた生物が流れに乗って網の中に入ってきます。また、川岸のツルヨシの根際に網を入れたり、浅瀬の砂地を掬ったりすることで、異なる生物が得られます。児童らは夢中になって川に浸かり、はじめて目にしたであろう河川生物の姿かたちに目を輝かせていました。特に、早瀬の大きな石の下に大きめの魚が潜んでいることがわかると、寄って集っての大捕り物が始まり、カジカなどの大物が次々と見つかりました。
今年も6月28日(金)に、小川地区を流れる伊南川の支流「小川沢」にて、恒例の「川遊び」が行われました。水網を河床に立てるようにして構え、上流側の石をひっくり返すと、そこにいた生物が流れに乗って網の中に入ってきます。また、川岸のツルヨシの根際に網を入れたり、浅瀬の砂地を掬ったりすることで、異なる生物が得られます。児童らは夢中になって川に浸かり、はじめて目にしたであろう河川生物の姿かたちに目を輝かせていました。特に、早瀬の大きな石の下に大きめの魚が潜んでいることがわかると、寄って集っての大捕り物が始まり、カジカなどの大物が次々と見つかりました。
今回の「川遊び」で確認された河川生物は31種で、河川上・中流域という流程や、良好な水質、流れの緩やかさを指標する種が多く確認されました。特に、ナマズの仲間であるアカザは、水がきれいでかつ隙間の多い礫に覆われた河床を好み、河川改修等により数を減らしている希少種です。今回、3年間の川遊びでは初めて確認された上、なんと3個体も見つかりました。また、ニンギョウトビケラの幼虫に寄生するという興味深い生態で知られる、ミズバチという寄生蜂も確認されました。ちなみにこの場所では、夜になると多数のゲンジボタルが発光しながら飛び交う様を観察できます。いずれも、小川沢が良好・健全な河川環境を保っていることを示すものです。
弊所では町内の自然を対象とした、環境教育のご依頼を受け付けております。どうぞお気軽にお問い合わせください。
posted by ブナ at 09:33| イベント
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