2023年5月28日(日)、塩ノ岐地区において全5回の4回目となる「春から初夏の野鳥観察会」を開催しました。県内からは会津地方、県外からは関東圏から計13名の参加がありました。天候は曇りでしたが日の差す時間帯があり、蒸し暑さも感じられました。
塩ノ岐地区では伊南川の支流である塩ノ岐川の谷筋に沿って、集落や農耕地(主に水田)が細く連なっています。この谷奥には、以前は峠越えの林道が整備されており、南会津町の小塩まで接続していましたが、2011年の水害以降は不通となっています。
今回の観察会では、塩ノ岐公民館を出発して辰目沢の周辺を歩き、そこからは停めておいた車で移動して、間丸貝の集落やスギ林を歩くコースを設定しました。
5月下旬ともなるとすっかり緑が濃くなり、目視での探鳥が難しくなるため、鳴き声による識別が重要となってきます。耳を澄ませると、さっそく公民館の周辺からアカショウビンの鳴き声が聞こえてきました。「キョロロロロ…」という涼やかなさえずりは、例年5月の中・下旬から町内で聞かれるようになります。
町内の各支流では、谷あいに水田と林が隣接しており、典型的なサシバの生息環境となっています。塩ノ岐地区も同様の環境を備えているため、予想通りサシバが観察できました。まだ胸部に縦斑が残る若い個体で、下見の際にも同一と考えられる個体が確認されています。
サシバが好んで捕食する動物といえばカエルです。道路脇の貯水槽では、繁殖のため集まったモリアオガエルが3個体ほど見られました。色彩は写真のようにきれいな黄緑色から、暗褐色まで変異があるものの、一様に無斑なのがこの地域のモリアオガエルの特徴です。
途中から辰目沢に入りました。砂防堰堤までの作業道の往復では目当ての鳥は見つかりませんでしたが、オシドリやカルガモの姿が見られ、ウグイスやキビタキのさえずりも聞くことができました。また、辰目沢と塩ノ岐川の出合い近くの橋では恐らくイワツバメが営巣しており、間近を飛び交うイワツバメを観察できました。
作業道沿いのオオバボダイジュの枝先には、背中に長いトゲのある変わった昆虫がいました。アワフキムシの1種で、タケウチトゲアワフキと言います。シナノキやオオバボダイジュの樹液を吸い、成虫は5〜6月に出現します。つい背中のトゲに触りたくなりますが、ジャンプ力に優れ、手を近づけるとピンと跳ねて逃げてしまいます。
草本では、ユリの仲間のホウチャクソウが見頃で、林床のそこかしこに花を咲かせていました。また、紫色のラショウモンカズラの花も満開を迎えていました。
西芦沢から車で移動した先、間丸貝周辺のスギ林では、ゴジュウカラを見ることができました。垂直な木の幹での活動を得意としています。その生態はさながらキツツキのようですが、スズメ目に属しています。観察された個体は、スギの樹皮の隙間に餌となる昆虫を探している様子でした。そのほか、遠くの山からは筒を打つような「ポポ、ポポ、ポポ」という規則正しいツツドリの鳴き声が聞かれました。
▼今回の野鳥観察会で確認された種のリスト
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今回の野鳥観察会では、合計27種が確認されました。夏の只見町を象徴するアカショウビンのさえずりが聞かれたほか、オシドリやサシバ、ゴジュウカラなどを見ることができました。また、モリアオガエルなどの両生類や、タケウチトゲアワフキなどの昆虫、それに草本も楽しめました。
ご参加下さった皆様、ありがとうございました。
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今回の野鳥観察会では、合計27種が確認されました。夏の只見町を象徴するアカショウビンのさえずりが聞かれたほか、オシドリやサシバ、ゴジュウカラなどを見ることができました。また、モリアオガエルなどの両生類や、タケウチトゲアワフキなどの昆虫、それに草本も楽しめました。
ご参加下さった皆様、ありがとうございました。