2022年07月02日

6月26日 野鳥観察会(新田沢周辺)開催報告

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 2022年6月26日(日)は、ただみ・ブナと川のミュージアムから只見川を挟んで向かいにある「新田沢」周辺において、「春から初夏の野鳥観察会」最終回の第3回目を開催しました。今回は11名にご参加いただきました。6月も下旬となり日増しに暑さが感じられるようになってきた只見町ですが、当日は曇り空かつ無風で、この時季としては野鳥観察に適した気象条件に恵まれました。
 新田沢をメインの観察地としつつ、道中の町下橋などでも探鳥しました。山々はすっかり深緑に包まれ、山道の脇をエゾアジサイが涼しげに彩っていました。
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 まずは視界の開けた町下橋から、只見川の鳥を探して目を慣らします。ここでは、礫河原を好むイソシギやハクセキレイが確認されました。
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 新田沢に入ると両側から森林も迫り、視野の狭い渓谷となるので、耳も使って鳥たちの「さえずり」や「地鳴き」を頼りに種を識別していきます。新田沢は谷の入口こそスギ植林地ですが、上流へと詰めていくとコナラやサワグルミ、ブナが混生した林があり、合間には岩場や細い沢筋が見られるなど、短いコースながらも様々な環境を含んでおり、良好な観察コースとなっています。

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▲オオルリ

 今回はオオルリが主役と言っても良いほどによく観察できました。渓谷と付随した森林は、典型的なオオルリの生息環境です。沢のあちこちに複数のつがいが生息しているのでしょう。また、周辺の広葉樹林からは「焼酎一杯ぐいー」とも聞きなされるセンダイムシクイのさえずりや、「シシシシ…」と尻上がりに鳴くヤブサメのさえずりなどが聞かれました。

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▲エナガ

 コナラ林ではエナガの群れが移動する様子が観察されました。エナガはとても小さく、すばしこく動き回るため、双眼鏡で追うのは少し難しい相手です。逆に目視が容易かったのはヒヨドリで、林の上を飛んで移動する姿は何度も目にしました。

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▲ウラナミアカシジミ

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▲ミズイロオナガシジミ

 また、梅雨時は「ゼフィルス」と呼ばれるシジミチョウの仲間の成虫が多く出現する時期でもあります。今回はウラナミアカシジミとミズイロオナガシジミが確認されました。いずれもコナラを食樹としています。

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▲コシジシモツケ

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▲エゾアジサイ

 梅雨時の花・コシジシモツケはまだ蕾が多かったです。エゾアジサイは沢の入口に多く咲いていました。

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 新田沢の終点近くになると、対岸にブナやホオノキが増え、鬱蒼とした広葉樹林となります。復路では、対岸の林内からアカショウビンの「キョロロロロ…」という特徴的なさえずりが聞こえてきました。ほんの2声のみでしたが、只見を代表する夏鳥であるアカショウビンが確認でき、一安心でした。今季はあまりアカショウビンの鳴き声がしないという町民の声が寄せられており、河川周辺の開発の影響が少し心配でもあります。

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 今回の野鳥観察会では、合計25種の野鳥が確認されました。ブナセンターからほんのすぐ近くにある渓谷でも、アカショウビンやセンダイムシクイ、オオルリなど様々な夏鳥が生息していることが分かりました。ご好評につき、また秋から初冬にかけても野鳥観察会を企画したいと思います。ご参加ありがとうございました。
posted by ブナ at 14:37| Comment(0) | 自然観察会