2022年05月12日

自然観察会「春の花と新緑のブナ林観察会」開催報告

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毎年恒例、只見町ブナセンター春の自然観察会の報告です。2022年4月30日・5月1日の2日間、ゴールデンウイークの頭に残雪の残る森林内を歩きました。

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4月30日 春の花観察会
 温泉施設「湯ら里」の裏手に広がる余名沢の森林内を歩き、春植物を観察しました。幸い、雨もなくほどよい気温で天候には恵まれた観察会となりました。

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フクジュソウ

 森林に入る前、湯ら里の芝生広場で黄色い花を咲かせたフクジュソウに出会うことができました。只見町では最も早く開花する春植物です。パラボラアンテナのような形状の花を常に太陽に向けることで花を温め、暖をとりに来た昆虫に受粉させます。

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ミズナラ林の林縁でカタクリを観察する参加者

まだ開葉が始まっていないミズナラの二次林では、多くのカタクリを見ることができました。

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一方、かつて薪炭林として利用されていたブナ二次林では、林床の雪が解けているにも関わらず、春植物は見当たりません。春植物は、雪解けから樹木の葉が茂る前の短い間に花を咲かせ、種子を散布します。多年生である春植物は、その間に多くの日光を必要としますが、開葉が早いブナは、春植物が実を結ぶ前に林冠を覆ってしまいます。そのため、混みあったブナ二次林の中は、春植物が暮らしていくためには適さないのです。

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カタクリ

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キクザキイチゲ

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コシノコバイモ

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イワナシ

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キクザキイチゲの撮影をする参加者

ブナ林内とは打って変わって、陽当たりのよい用水路沿いの林縁では、カタクリ、キクザキイチゲ、コシノコバイモなどの春植物の他、可愛らしい常緑のイワナシの花も見られました。参加者の皆さんはここぞとばかりに撮影されていました。

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残雪が残るブナとスギの混交林での記念撮影(要明るさ調整)

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5月1日 新緑のブナ林観察会
5月1日(日)に癒しの森にて開催された「新緑のブナ林観察会」の模様をお届けします。

観察会当日の天候は雨予報でしたが、観察中は概ね曇り空で快適でした。
今回の観察地である「癒しの森」は標高約600mで、只見町と金山町の境界に位置し、只見町でおすすめのブナ林トレッキングコースの一つとなっています。癒しの森は、カラマツ人工林、コナラ・ミズナラ林、スギ人工林、最奥に原生林に近いブナ林と伐採後に自然再生したブナ二次林が広がっています。
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松坂峠の入口から歩き始めると、すぐにカラマツ人工林の脇に出ました。さらにしばらく歩くとスギの人工林が見えてきました。スギは優良な建築用材になり、家屋の柱や建具として利用されてきました。カラマツは柱と柱をつなぐ梁や合板材として、近年のウッドショックで輸入が激減している米マツに代わって、需要が増大しています。
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ブナ林に入ると今年の雪で倒れたオオヤマザクラが花を咲かしていました。オオヤマザクラはヤマザクラに比べて、北方や標高の高い場所に分布していることが特徴です。新緑のブナ林の中で薄紅色の花はとても美しかったです。
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ブナが優占するエリアでは、原生的なブナ林とかつて薪炭利用されていた二次林のブナを観察することができます。また、スギが植栽された後に自然再生してきたブナが混交した林もあります。類似した環境に生育するスギとブナですが、枝葉の広がりである樹冠の特徴が異なります。ブナの樹冠は幹の上空を広く覆いますが、スギは尖った形です。そのため、スギとブナが同じような高さで接すると、ブナの樹冠がスギを覆います。また、ブナとスギが混交した林の中で大きなミズナラが枯れると、開いた空間は拡張してきたブナの樹冠で覆われます。
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コースの終盤では、ヤマナシの名前でジャムになっているオオウラジロノキの巨木を観察しました。その先は、カシノナガキクイムシが原因で枯れたミズナラの木の枝が落下する恐れがあったため、トレッキングコースの折り返し地点である「大岐の戸板山眺め」までは行かずに、少し手前で引き返しました。

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新緑のブナ林を背景に記念撮影。残雪と新緑のコントラストを楽しみながら、春のブナ林を満喫した観察会になりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
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ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。冒頭で述べましたように本観察会は毎年恒例の観察会となっております。機会がございましたら是非ご参加ください。職員一同、皆さまのご参加をお待ちしております。
posted by ブナ at 16:47| Comment(1) | イベント