2022年4月24日(日)は黒谷地区において、全3回のうち1回目の「春から初夏の野鳥観察会」を開催しました。薄曇りで風も弱く、バードウォッチングに適した天候の下、11名の参加者にお集まりいただきました。集合・解散場所は朝日駐在所横の駐車場で、そこから徒歩と車両での移動を交互に行いつつ、黒谷川を下流(六百狩)から上流(不動堂)へ移動しながらの探鳥会でした。山々にはまだ残雪が残るものの、ブナの新緑や、満開のオオヤマザクラの桃色が美しいコントラストを見せていました。
今回は、探鳥の基本である「双眼鏡で見つける」ことができるよう、視野が広くとれる観察地を選びました。また、河川を中心に点在する集落や水田、周囲を取り囲む山々など、様々な環境を含むことで、なるべく多くの種が観察できるよう考えました。
▲ニュウナイスズメ
まずは集落周辺です。電柱などの人工物にとまる鳥は見つけやすく、双眼鏡の練習にはもってこいです。電線にとまるムクドリやスズメ、カワラヒワなどがよく観察されました。珍しいニュウナイスズメも、つがいと思われる雌雄が観察されました。スズメと異なり頬に黒丸の斑がなく、雄は美しい赤茶色をしています。寒冷地を好み、只見町では谷あいの集落で観察されます。また、水田では融雪が進んでおり、田面で採食するイカルチドリやコチドリ、ハシボソガラスが観察され、その上空をツバメやイワツバメが飛び交っていました。
集落を離れ、山裾に近づくとまた鳥類相が変わりました。落葉樹林の高所からは、代表的な夏鳥・オオルリの囀りが聞こえてきました。山裾にある水田脇の電柱には、中型猛禽類であるサシバがとまっていました。近づくと逃げてしまいましたが、近くの水田でヤマアカガエルの卵塊が2つ見つかりました。サシバはカエルを好んで捕食する猛禽類で、水田を狩り場として利用しています。これでサシバの採餌生態の一端を観察できた訳です。
黒谷川は礫が多い河川です。そのような河川環境を好むイソシギが盛んに鳴きながら飛んでいたほか、上流域に多いカワガラス、キセキレイなどの水鳥も確認されました。ただ、この時期は雪解け水で増水しているためか、水鳥の種数・個体数ともに、さほど多くはない印象でした。
観察会終了間際のお昼近くになって、山の上を旋回するクマタカを計3個体見ることができました。比較的近かった1個体は成鳥とみられ、ブナ林の上空をゆっくりと旋回しつつ餌を探している様子でした。クマタカのような大型猛禽類は、上昇気流をよく利用するため、お昼前後に活発に飛ぶようになります。
また、野鳥の他にもカタクリやキクザキイチゲ、キバナノアマナといった春植物や、スギタニルリシジミのような春季性のチョウとの出会いもありました。
▼今回の観察会で確認された鳥類のリスト
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今回の野鳥観察会では、合計29種の野鳥が確認されました。夏鳥ではサシバやオオルリが見られた一方、冬鳥ではツグミがまだ残っており、冬から春へ向かう季節の端境期であることが感じられた観察会となりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。