2019年02月22日

ブナセンター講座「外来生物をどう防ぐか−外来種問題を知るところから始めよう!」

開催中の企画展「只見の外来生物−その生態と影響」に関連したブナセンター講座を2月17日に開催しました。この講座は、只見町野生動植物保護監視員※の講習会を兼ねたものです。
※の詳しくはこちら→ http://tadami-buna.sblo.jp/article/182642176.html

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外来生物は、地域本来の生態系や景観を変えてしまったり、人間の安全や生命を脅かす可能性があることから問題になっています。只見町の自然環境を守るためにも、外来生物に関する知識や意識を持つ必要があることから今回の講座を企画しました。

講師の池上真木彦氏は、国立環境研究所に所属し、外来生物や農薬などのリスク評価の研究をされています。今回の講座では外来種問題の一般的な知識と外来種防除の最先端の取り組みについてお話しいただきました。

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はじめに、池上氏がかつて滞在していたニュージーランドの外来種問題の事例が紹介されました。キウイやカカポといった固有の地上性鳥類がネズミやオポッサムの侵入で絶滅の危機に瀕していること、荒野に植栽したルピナス・レディーが増えて景観を大きく変えてしまっていることなど。しかし、ルピナス・レディーは荒れた原野を彩ってくれるため、この植物を良しとする人もあります。生態系への被害と人間生活への有用性との間でどう折り合いをつけるのかは難しい問題ですが、ただ、私たち人間はこの問題の加害者として、この影響を受ける生き物や環境に責任があるとおっしゃられました。

続いて、知っておくべき外来種の一般的知識を解説されました。外国から持ち込まれた生物のうち問題となるのは10%以下とのことです。しかし、生物の流通量が増え、移動時間が短くなった昨今、定着の可能性はますます高くなっています。外来種の多くは有用な動植物で、生活を豊かにするために持ち込まれたものです。それに加えて、貨物や輸入食物などに混入するなどして偶然持ち込まれる場合もあります。外来生物は人間活動で荒らされたような環境(市街地や造成地など)で定着しやすく、それは、そのような環境では在来の生物が事前に排除されているからです。つまり人間が外来生物の拡大に適した環境を作り出してしまっているのです。例えば、セアカゴケグモはエアコンの室外機や自動販売機、側溝など人工的な湿った暖かい環境を利用して分布を広げています。

外来生物の大きな問題点は、爆発的に増えることがあり、そのため大きな被害が生じることがある点です。この背景には、外来生物は導入された地域の生態系の一部となっておらずそれらを捕食する生物がいないこと、進化の歴史に入っていなかったことから在来生物がそれに対する耐性を持たないことがあります。例えば、ニュージーランドで生垣として導入されたハリエニシダは、それを食べる天敵がいないことから山を覆うほどどんどん増えています。また、ハワイ諸島固有のハワイミツスイ類41種のうち、17種がすでに絶滅、13種が絶滅寸前で、これは外来鳥類のソウシチョウやメジロが持ち込んだマラリアが原因といいます。

最後に、外来生物防除の最先端の取り組みについて説明されました。外来生物の防除は、予防原則、すなわち入れないという事が第一です。万が一入ってしまった場合には、早い段階で排除する必要があります。国の外来種対策では、対策にかける予算が限られていることから順位づけをして対策をしています。影響が大きい外来生物の中から、発見早期であるもの、根絶が可能であるものなどを有先的に対策しています。
そんな中で、ヒアリの存在をDNAを用いて検出する技術、アルゼンチンアリ用のアリの巣ころりの開発、ツマアカスズメバチの羽化を妨げる農薬の開発といった新しい技術開発が進んでいることを紹介していただきました。

まとめとして、地域の自然と文化を守るために外来種を入れないために、外来生物を持ちこまないこと、そして昔からの環境を大事にすること、外来種に早く気が付くために普段から周囲の環境に目を配る「自然を見守る」ことが大切であると教えていただきました。

外来種問題は人間社会の問題です。私たちひとりひとりが意識を持つことで改善することが出来るはずです!
posted by ブナ at 15:48| イベント