2016年08月11日

ブナセンター講座「只見地域で見られるカミキリムシとその生態」

7月30日(土)にブナセンター講座を行いました。遅くなりましたが、ご報告をします。

講師の槇原寛氏は、森林総合研究所の研究員をされていました。昆虫の、特にカミキリムシの分類をご専門とされています。只見町では、ユネスコエコパーク事業のひとつである自然環境基礎調査として、2014年から2015年にわたって槇原氏に只見町の昆虫相の調査をしていただきました。開催中の企画展では、その成果をもとに展示をしています。講座では、調査によって明らかとなった只見町の昆虫相の特徴をカミキリムシなど甲虫を中心にお話いただきました。

槇原氏は、喉のガンで手術をしており、声を出すことができません。調査をサポートしてきた役場総合政策課の中野陽介さんが、槇原氏の作成したスライドを読み上げる形で進めました。

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はじめにカミキリムシの一般的な生態の特徴について、説明がありました。日本にはホソカミキリムシ科とカミキリムシ科がいて、760種が知られています。カミキリムシの特徴は、触角が長いこと。この触角は、におい物質を拾うための器官で、繁殖相手や食物、産卵場所を見つけるのに役立ちます。また、つかむとギーギーという音を出します。これは口で発声しているのではなく、体をこすり合わせて出しているそうです。そして大あごの形態は、食物の違いや、産卵環境(産卵の際に樹皮を加工するかどうか)の違いを表しているとのことでした。豊富な写真を用いて、カミキリムシに様々な食性があること、カミキリムシの擬態(においを出す、ハチに似せる、味のまずい虫に似せるなど)について紹介してくださいました。カミキリムシは大きいか小さいかだけでみな同じにように思っていましたが、見て楽しむポイントがはじめてわかりました!

続いて、只見町の昆虫相の特徴や発見された珍しい昆虫について、ご説明くださいました。
ひとつは、カブトムシです。只見町で採集されたカブトムシは、小型のものが多かったそうです。中にはオスなのにほとんど角がないようなものも。これは積雪期間が長いために、成長に費やせる時間が短いからだということでした。幼虫の期間を伸ばすことできちんと大きくなる種類の昆虫もいますが、カブトムシはそれができないのだそうです。

もうひとつは、クワガタムシの種類が多く、豪雪地帯に生息するユキグニコルリクワガタがいる半面、暖地性のネブトクワガタも見られるといった多様性があることです。

ほかに大曾根湿原で見つかった珍しい甲虫や、良好な森林の指標となる昆虫が多いこと、マイマイガの大量発生時にチョウの幼虫を食べる昆虫が増えたことなどが報告されました。只見町の昆虫相の特徴を端的に解説していただき、只見町の自然を理解するすばらしい機会となりました。

26名の方にご参加いただき、ジョークを交えての槇原氏の人柄が表れる講座を楽しみました。

なお、槇原氏の行った研究成果は、ブナセンター紀要No.5にまとめられています。詳しくは▲こちら▲をご覧ください。
posted by ブナ at 12:30| ブナセンター講座