2016年03月31日

上福井オンベ焼き(サイノカミ)

ひと月近く前のことです。2月28日に上福井のオンベ焼き(サイノカミ)がありました。

オンベ焼きはマツ・注連(しめ)などの正月飾りや古いお札を一カ所に集めて焼き、1年の息災を祈る年中行事です。

オンベ焼きを行う日は集落ごとにまちまちで、1月初めから2月終わり頃までの2か月間にわたって各集落で行われます。上福井のオンベ焼きは町内で1番最後でした。

今年は雪が少なくオンベの柱を立てるのが一苦労です。柱の高さは5m近くあり、大仕事ですが、朝からみんなで力を合わせて作ります。柱の先端には扇をその年の吉方に向けて取り付けます。柱の下の方には火付きの良い杉の葉っぱを置き、カヤを周りに巻きつけていきます。
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日暮れとともにその年の厄年の人が火を点け、オンベ焼きが始まります。
参加した人は熱い熱いと言いながらも火に近づいて串に刺した餅を焼きます。
その餅を食べ、またお腹をあぶると1年間、腹病みをしないといわれています。
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地域に残る年中行事を行うことで地域内の人と人との繋がりが強くなるのかもしれません。こういった行事がずっと続いていって欲しいものです。
posted by ブナ at 12:05| Comment(0) | できごと

2016年03月18日

ブナセンター講座「葉と花の戦略と絶滅危惧種の保全」

さる3月13日(日)に、鷲谷いづみ氏(中央大学・教授)を講師にお招きし、植物が生き残り、子孫を残すためにとっている方法(戦略)と植物の保全についてお話しいただきました。鷲谷氏は、生態学をご専門とし、実践的な保全生態学研究を行っておられます。かいつまんで内容をご紹介します。

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講演をする鷲谷氏

はじめに植物と動物の違いについてのご説明がありました。植物の特徴として動けないことがありますが、他にも、目や手足の数が決まっている動物とは違って、成長に伴って葉や枝を増やす点が違います。前者をユニタリー生物、後者をモジュール生物と言うそうです。モジュール生物は、例えるとブロックのようなもの。色んな方向に増やしていくことができるので、植物は空間に合わせて柔軟に形を変えることができるのです。

また、ひとつの芽生えから複数の個体(株)ができます。これらは同じ遺伝子を持つので、いわゆるクローン個体です。場合によっては、かなり広い面積をクローン個体が占めることもあり、一見すると大規模群落なのに遺伝的には1個体でしかないこともあるそうです。

次に植物の葉や花の機能について説明がありました。主な機能は、栄養成長、貯蔵、防御、繁殖です。様々な植物が存在しますが、それらの違いはこの機能のバランスを反映しているとのだとか。
また、葉と花の戦略として、葉や枝の配置を柔軟に変える、強すぎる日差しから葉を守るために日中に光合成速度を低下させる昼寝をする、寒い冬は葉を落として安全な場所に栄養分を貯蔵する、花や実の形態で虫や鳥を引きるといったものが紹介されました。

最後に、鷲谷氏が長年研究されてきたサクラソウを中心に、植物を保全する際に必要となる考え方についてお話しいただきました。河川の氾濫や人為的な間伐や採取といった適度な攪乱が生物多様性を高めることや、攪乱後の回復を予測するための要素、花粉や種子を運ぶ動物も含めた保全の必要性など。

参加者からは、植物の生態や保全方法についての疑問についての質問があがりました。鷲谷氏は、それらの質問に丁寧に回答してくださいました。町内外の42名が参加されましたが、参加者からは、わかりやすかった、面白かった、野菜を育てる参考になったという満足の声が聞かれました。

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会場いっぱいの参加者
posted by ブナ at 17:06| ブナセンター講座

2016年03月14日

自然観察会「冬の鳥を見よう」

3月12日(土)に自然観察会を行いました。その様子をお伝えします。雪や雨が降らず、お天気は良かったのですが、風の冷たい日でした。

はじめに只見ダムでカモ類の観察を行いまいした。

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雪解け水で増水し、流れが速くなったせいか、カワアイサが多く集まっていました。

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※画像をクリックすると大きな写真を見ることができます。お腹の白いのがオスで、灰色がメスです。

他に、カルガモ、マガモ、コガモ、ヨシガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、アオサギ、トビを見ることができました。

只見町でカモ類が多くみられるのは、只見ダムや下流の滝ダムです。このことから、ダムができる以前には、只見町にはカモ類が少なかった可能性が考えられます。人間活動は、生物の生息地を消失させるだけでなく、創出することもあります。いずれにせよ、自然界への人の影響力の大きさを再認識させられます。

次に、ダム下流右岸の丘の上にある青少年旅行村に向かいました。
上流側の道路から入ると、斜面の上に小さなトンネルのようなものがあります。

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これは、田子倉ダム建設の際に使われたベルトコンベア用のトンネルです。青少年旅行村の敷地に資材置き場があり、なんと!ここから3km以上離れた田子倉ダムに資材を運ぶために巨大なベルトコンベアが敷かれたそうです!

今度は、かんじきやスノーシューを履いて雪上を歩きながら、森の鳥を探しました。歩き始めてすぐにコゲラが現れました。2羽が幹を突きながら、ゆっくりと登っていく様子をじっくりと観察することができました。

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ここは、コナラの森になっていて、木の中の虫を食べにキツツキがよくやってきます。

雪が解けて土がむき出しになった場所には、早くもフキノトウが芽を出していました。

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雪は湿って重く、歩くのが大変でしたが、いい運動になったという声も。

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雪の下から這い出た日本海要素の植物も観察できました。日本海要素の植物とは、多雪に適応した植物のことで、写真の様に雪の下に埋もれても青々とした葉をつけた状態で冬を越します。

ユキツバキ
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ハイイヌツゲ
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葉を落とさないことから、雪が解けるとすぐさま光合成をはじめ、成長して、再び立ち上がります。多雪地帯である只見町の森の林床に多く生育しています。

旅行村を出て町下橋を渡り、ブナセンターへと戻りました。

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参加者は9名と少数でしたが、残り少ない冬をみなで楽しむことができました。

posted by ブナ at 13:19| 自然観察会

2016年03月11日

あめ

今日は只見町の郷土食である「あめ」をご紹介します。
「あめ」は、もち米デンプンと、モヤシ(麦芽)のアミラーゼとの糖化作用を利用して作られるみずあめのような食べ物です。
砂糖は一切使いませんが、素朴な甘みが特徴で老若男女から好まれるお菓子なんです。

まずはもち米を蒸かして、ぬるま湯を加えます。
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もち米を大量に使う贅沢なお菓子ですね。

そこにモヤシを加えて7〜8時間ほど保温すると、ほんのり甘い匂いが漂い始め、こんな色に変わります。
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これをこして、何時間も煮詰めていくんです。
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最終的にはこんなにきれいな琥珀色に変わりました。
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これが只見町の「あめ」です。
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あめはゆるく、たぐり飴のようにたぐることはできないため、只見町では「あめを飲む」と言われます。
その際、好みでしぼったもち米のカスを混ぜて飲みます。
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結構な甘さがあるのですが、昔はこれを茶碗でおかわりして飲んだんだとか・・・
また大寒の水で作ったあめは悪くならず、これを飲むと風邪をひかないと言われていました。

そして、あめに欠かせないのが「あめよばれ」です。
あめの時期になると、家々の女性たちが互いに呼び合い、あめを飲んだり、漬物や煮物をつまみながらおしゃべりを楽しむ風習です。
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現代でいう女子会ですね。
雪が降り積もる寒い冬に、こたつでは世間話に花が咲く。
ほっこり温まる冬の行事です。
posted by ブナ at 17:13| Comment(0) |

2016年03月02日

河野昭一只見町ブナセンター名誉館長(京都大学名誉教授)が、松下幸之助記念賞を受賞!

只見町ブナセンターの初代館長である河野昭一先生が、このほど松下幸之助記念財団が主催する「松下幸之助花の万博記念賞」の内、松下幸之助記念賞を受賞しました。この松下幸之助花の万博記念賞は、「自然と人間との共生」という花の万博の基本理念の実現に貢献する優れた学術研究や実践活動を顕彰するもので、今回の河野先生の受賞は、河野先生が植物生態学、特に植物の生活史戦略の研究における優れた研究業績と、この奥会津地域を含めた日本列島に残された貴重な天然林の保護・保全に尽力されたことが高く評価されたものです。当ブナセンターの名誉館長でもある河野昭一先生の今回の受賞について、心よりお祝いするとともに、河野先生の志を引き継ぎ、只見町ブナセンターの発展に努めていきたいと思います。

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叶津・木の根沢のブナ林観察会で、ブナ林を解説する河野昭一先生

posted by ブナ at 16:09| Comment(0) | できごと