2022年05月12日

自然観察会「春の花と新緑のブナ林観察会」開催報告

P4300078.JPG

毎年恒例、只見町ブナセンター春の自然観察会の報告です。2022年4月30日・5月1日の2日間、ゴールデンウイークの頭に残雪の残る森林内を歩きました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
4月30日 春の花観察会
 温泉施設「湯ら里」の裏手に広がる余名沢の森林内を歩き、春植物を観察しました。幸い、雨もなくほどよい気温で天候には恵まれた観察会となりました。

P4300004.JPG
フクジュソウ

 森林に入る前、湯ら里の芝生広場で黄色い花を咲かせたフクジュソウに出会うことができました。只見町では最も早く開花する春植物です。パラボラアンテナのような形状の花を常に太陽に向けることで花を温め、暖をとりに来た昆虫に受粉させます。

P4300092.JPG
ミズナラ林の林縁でカタクリを観察する参加者

まだ開葉が始まっていないミズナラの二次林では、多くのカタクリを見ることができました。

P4300115.JPG
一方、かつて薪炭林として利用されていたブナ二次林では、林床の雪が解けているにも関わらず、春植物は見当たりません。春植物は、雪解けから樹木の葉が茂る前の短い間に花を咲かせ、種子を散布します。多年生である春植物は、その間に多くの日光を必要としますが、開葉が早いブナは、春植物が実を結ぶ前に林冠を覆ってしまいます。そのため、混みあったブナ二次林の中は、春植物が暮らしていくためには適さないのです。

P4300221.JPG
カタクリ

P4300209.JPG
キクザキイチゲ

P4300178.JPG
コシノコバイモ

P4300213.JPG
イワナシ

P4300202.JPG
キクザキイチゲの撮影をする参加者

ブナ林内とは打って変わって、陽当たりのよい用水路沿いの林縁では、カタクリ、キクザキイチゲ、コシノコバイモなどの春植物の他、可愛らしい常緑のイワナシの花も見られました。参加者の皆さんはここぞとばかりに撮影されていました。

P4300170.JPG
残雪が残るブナとスギの混交林での記念撮影(要明るさ調整)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
5月1日 新緑のブナ林観察会
5月1日(日)に癒しの森にて開催された「新緑のブナ林観察会」の模様をお届けします。

観察会当日の天候は雨予報でしたが、観察中は概ね曇り空で快適でした。
今回の観察地である「癒しの森」は標高約600mで、只見町と金山町の境界に位置し、只見町でおすすめのブナ林トレッキングコースの一つとなっています。癒しの森は、カラマツ人工林、コナラ・ミズナラ林、スギ人工林、最奥に原生林に近いブナ林と伐採後に自然再生したブナ二次林が広がっています。
P50101.JPG

松坂峠の入口から歩き始めると、すぐにカラマツ人工林の脇に出ました。さらにしばらく歩くとスギの人工林が見えてきました。スギは優良な建築用材になり、家屋の柱や建具として利用されてきました。カラマツは柱と柱をつなぐ梁や合板材として、近年のウッドショックで輸入が激減している米マツに代わって、需要が増大しています。
P50102.JPG

ブナ林に入ると今年の雪で倒れたオオヤマザクラが花を咲かしていました。オオヤマザクラはヤマザクラに比べて、北方や標高の高い場所に分布していることが特徴です。新緑のブナ林の中で薄紅色の花はとても美しかったです。
P50103.JPG

ブナが優占するエリアでは、原生的なブナ林とかつて薪炭利用されていた二次林のブナを観察することができます。また、スギが植栽された後に自然再生してきたブナが混交した林もあります。類似した環境に生育するスギとブナですが、枝葉の広がりである樹冠の特徴が異なります。ブナの樹冠は幹の上空を広く覆いますが、スギは尖った形です。そのため、スギとブナが同じような高さで接すると、ブナの樹冠がスギを覆います。また、ブナとスギが混交した林の中で大きなミズナラが枯れると、開いた空間は拡張してきたブナの樹冠で覆われます。
IMG_0201.jpg
IMG_0077.jpg

コースの終盤では、ヤマナシの名前でジャムになっているオオウラジロノキの巨木を観察しました。その先は、カシノナガキクイムシが原因で枯れたミズナラの木の枝が落下する恐れがあったため、トレッキングコースの折り返し地点である「大岐の戸板山眺め」までは行かずに、少し手前で引き返しました。

IMG_0210.jpg
新緑のブナ林を背景に記念撮影。残雪と新緑のコントラストを楽しみながら、春のブナ林を満喫した観察会になりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。冒頭で述べましたように本観察会は毎年恒例の観察会となっております。機会がございましたら是非ご参加ください。職員一同、皆さまのご参加をお待ちしております。
posted by ブナ at 16:47| Comment(1) | イベント

2022年04月25日

4月24日 野鳥観察会(黒谷川)開催報告

P4240036.JPG

 2022年4月24日(日)は黒谷地区において、全3回のうち1回目の「春から初夏の野鳥観察会」を開催しました。薄曇りで風も弱く、バードウォッチングに適した天候の下、11名の参加者にお集まりいただきました。集合・解散場所は朝日駐在所横の駐車場で、そこから徒歩と車両での移動を交互に行いつつ、黒谷川を下流(六百狩)から上流(不動堂)へ移動しながらの探鳥会でした。山々にはまだ残雪が残るものの、ブナの新緑や、満開のオオヤマザクラの桃色が美しいコントラストを見せていました。

DSC_0928_景観.JPG
▲黒谷地区の景観

 今回は、探鳥の基本である「双眼鏡で見つける」ことができるよう、視野が広くとれる観察地を選びました。また、河川を中心に点在する集落や水田、周囲を取り囲む山々など、様々な環境を含むことで、なるべく多くの種が観察できるよう考えました。

P4241217_ニュウナイスズメ.JPG

▲ニュウナイスズメ

P4241187_コチドリ.JPG
▲コチドリ

 まずは集落周辺です。電柱などの人工物にとまる鳥は見つけやすく、双眼鏡の練習にはもってこいです。電線にとまるムクドリやスズメ、カワラヒワなどがよく観察されました。珍しいニュウナイスズメも、つがいと思われる雌雄が観察されました。スズメと異なり頬に黒丸の斑がなく、雄は美しい赤茶色をしています。寒冷地を好み、只見町では谷あいの集落で観察されます。また、水田では融雪が進んでおり、田面で採食するイカルチドリやコチドリ、ハシボソガラスが観察され、その上空をツバメやイワツバメが飛び交っていました。

P4241248.JPG
▲ヤマアカガエル卵塊

 集落を離れ、山裾に近づくとまた鳥類相が変わりました。落葉樹林の高所からは、代表的な夏鳥・オオルリの囀りが聞こえてきました。山裾にある水田脇の電柱には、中型猛禽類であるサシバがとまっていました。近づくと逃げてしまいましたが、近くの水田でヤマアカガエルの卵塊が2つ見つかりました。サシバはカエルを好んで捕食する猛禽類で、水田を狩り場として利用しています。これでサシバの採餌生態の一端を観察できた訳です。
P4241238_キセキレイ.JPG
▲キセキレイ

 黒谷川は礫が多い河川です。そのような河川環境を好むイソシギが盛んに鳴きながら飛んでいたほか、上流域に多いカワガラス、キセキレイなどの水鳥も確認されました。ただ、この時期は雪解け水で増水しているためか、水鳥の種数・個体数ともに、さほど多くはない印象でした。

DSCN0195_クマタカ.JPG
▲クマタカ

 観察会終了間際のお昼近くになって、山の上を旋回するクマタカを計3個体見ることができました。比較的近かった1個体は成鳥とみられ、ブナ林の上空をゆっくりと旋回しつつ餌を探している様子でした。クマタカのような大型猛禽類は、上昇気流をよく利用するため、お昼前後に活発に飛ぶようになります。

P4241258_キバナノアマナ.JPG
▲キバナノアマナ

 また、野鳥の他にもカタクリやキクザキイチゲ、キバナノアマナといった春植物や、スギタニルリシジミのような春季性のチョウとの出会いもありました。

▼今回の観察会で確認された鳥類のリスト
(クリックすると別ウィンドウで開きます)

確認種目録.jpg

 今回の野鳥観察会では、合計29種の野鳥が確認されました。夏鳥ではサシバやオオルリが見られた一方、冬鳥ではツグミがまだ残っており、冬から春へ向かう季節の端境期であることが感じられた観察会となりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
P4240038.JPG
posted by ブナ at 16:39| Comment(0) | 自然観察会

2022年04月09日

「春の自然観察会」開催のお知らせ

<只見町ブナセンター「春の自然観察会」開催のお知らせ>
GWの2日間、余名沢でみられる春植物などを解説する「春の花観察会」と、癒しの森を歩きながらブナの花や芽吹きなどを解説する「新緑のブナ林観察会」を開催予定です。お誘い合わせの上、ぜひご参加ください。

202204-05_harunokansatsukai.jpg

日時:「春の花」:4月30日(土)13:00〜16:00
   「新緑のブナ林」:5月1日(日)午前9:00〜12:00
観察場所:「春の花」:余名沢
     「新緑のブナ林」:癒しの森
集合場所:「春の花」:季の郷湯ら里 駐車場
     (福島県南会津郡只見町長浜上平50 深沢温泉)
     「新緑のブナ林」:癒しの森駐車場
     (福島県南会津郡只見町布沢・県道352号線沿い 松坂峠)
持 ち 物:長靴、雨具、飲み物、軽食、マスク
参 加 費:高校生以上:400円、小・中学生:300円
     (入館料、保険料込み) 
     町内の小・中学生・高校生および友の会会員:100円
     (保険料込み)
定 員:15名(事前予約制・お申込み締切は各回前日)
 なお、新型コロナウイルスの感染拡大状況や天候によっては、開催方法を変更あるいは中止する場合があります。また、開催地および集合場所は変更になることがあります。その場合、参加をお申込みいただいた方に事前にご連絡いたします。
【お問い合わせは只見町ブナセンターまで(電話:0241-72-8355 )】
posted by ブナ at 12:50| Comment(0) | イベント

2022年04月06日

令和4年度「自然首都・只見」学術調査助成金事業募集のお知らせ

令和4年度「自然首都・只見」学術調査助成金事業の募集が開始されました。

只見町は人と自然との共生のための国際モデル地域であるユネスコエコパーク登録地となっており、その実現に寄与するような調査研究に取り組んでいただける方のご応募をお待ちしております。

只見町公式ホームページにて詳しい情報が掲載されていますので、応募を検討される方は下記URLをご参照ください。

https://www.town.tadami.lg.jp/information/2022/04/003564.html

応募締切:2022年5月6日(金)必着
申し込み・お問い合わせ先:
「自然首都・只見」学術調査研究助成金事業事務局(地域創生課ユネスコエコパーク推進係)
〒968-0421 福島県南会津郡只見町大字只見字町下2591-30
TEL:0241-82-5220 FAX:0241-82-2117
e-mail:tadamibr@town.tadami.lg.jp
posted by ブナ at 12:26| Comment(0) | おしらせ

2022年03月26日

「春から初夏の野鳥観察会」開催のお知らせ

 只見町でも夏鳥が続々と渡来し始め、ツバメが観察できるようになりました。
さて、この度ブナセンターでは4月から6月の毎月1回、最終日曜日に野鳥観察会を開催いたします。繁殖期を迎えた只見町の野鳥を観察できる機会です。ぜひともお誘いあわせの上ご参加ください。

観察会「春から初夏の野鳥観察会」チラシ.jpg


自然観察会「春から初夏の野鳥観察会」(全3回)

開催日時:1. 2022年4月24日(日)9:00〜12:00
     2. 2022年5月29日(日)9:00〜12:00
     3. 2022年6月26日(日)9:00〜12:00

開催場所:1. 黒谷川周辺
     2. 恵みの森
     3. 只見湖、新田沢

集合場所:1. 朝日駐在所横駐車場
      (〒968-0441 福島県南会津郡只見町御倉前1088)
    :2. 恵みの森駐車場
      (〒968-0607 福島県南会津郡只見町布沢)
    :3. ただみ・ブナと川のミュージアム駐車場
      (〒968-0421 福島県南会津郡只見町只見町下2590)

持 ち 物:双眼鏡、防寒具、飲み物、軽食、マスク
参 加 費:高校生以上:400円、小・中学生:300円
     (入館料、保険料込み) 
     町内の小・中学生・高校生および友の会会員:100円
     (保険料込み)
定 員:15名(事前予約制・お申込み締切は各回前日)

 なお、新型コロナウイルスの感染拡大状況や天候によっては、開催方法を変更あるいは中止する場合があります。また、開催地および集合場所は変更になることがあります。その場合、参加をお申込みいただいた方に事前にご連絡いたします。
【お問い合わせは只見町ブナセンターまで(電話:0241-72-8355)】

posted by ブナ at 15:46| Comment(0) | イベント